2月27日(金)。
クラムボン
”imagination tour 04”
@なんばHatch


実はよく観てるこのバンド、ココ3作のアルバムツアーは全部行ってたりして。
クラムボンの音、と言えば、
「カワイイ」 「ほのぼの」 「あったかい」 「ファンタジック」
など、まぁそんな感じの印象でほぼ8割は間違いない気がする。
でも、残りの2割でとてつもなくアヴァンギャルドなことをやっているのも確か。
それが、クラムボンの ”くらむぼんはかぷかぷわらったよ。” という、バンド名の由来である宮沢賢治の一節のような、一種の掴みどころのなさになっていると思う。 ものすごくポップ、かつ、めちゃくちゃマニアックとでもいうか。
今回のライブはそれがいかんなく発揮された一時が何回もあった。
特にニューアルバムからの曲は、どれも非常にある種のトリッキーさがあって、「意味はない」という曲の、
「これって違うバンド?」
とすら感じるほどの、変態的な音の絡まり具合は、正しく狂ってた。

「シカゴ」や「パンと蜜をめしあがれ」、「君は僕のもの」 などのシングル曲やノリいい曲をを連発する中盤の流れなどは、躍動感が気持ちよかったし。
終盤の「Re:残暑」から「サラウンド」へ繋がる活き活きした空気も感動的。
さらに、お客さんの携帯に前もってループ音源をダウンロードしておいてもらい、それを一斉に鳴らしてもらった中で曲を演奏するという、業界初らしい、オーディエンス参加型の斬新な試みも、おもしろかった。

と、多種多様で両極端な性質をも自然に持っているクラムボンなのだけど、個人的には、その中の一番地味かもしれない部分が好きだったり。
それは、移り変わっていく模様を的確に淡々と捉えたような音。
ニューアルバムに入っている「Floklore」や「Y.S.G.R」、「タイムロス」などに、これは顕著で、その辺にいそうな人々の様子や心模様をさりげなく表現してる。
 「実験的やアヴァンギャルドなことを、
 あくまでポップに夢見心地に音に変換してる。」
そんなバンドが奏でる、半径50mで起こってそうな些細な人模様の変化や、風景の移り変わりは、独特で、短編映画を観ているような感触がある。
その音は決して押し付けがましくなく静かにゆっくりと広がっていって、ぼんやりとした感覚がこっそりと残る。
しかし、それは曖昧でありながら、不思議と確かな余韻が続く感覚なのである。

圧巻の名曲「ララバイ サラバイ」を聴けなかったのは正直残念だったけど、アンコールでの、「ドブロノッツ」や「ナイトクルージング」(Fishmansのカバー)は、正に前述の 「ゆっくりと時間をかけて静かに音が広がっていく。」 時間が流れた空間であり、何だか優しい心地にさせてくれた。
あー、でも「ララバイ〜」聴きたかったなぁ、、、。そこだけ消化不良です。