2003年4月26日(土)。
”BORO FESTA”
ROVO / ASA-CHANG & 巡礼 / FLUID
@京大西部講堂


会場である西部講堂の外ではキャンプファイヤーと屋台。
ちょっとしたフェスティバルって光景。
テントでは、ナゼか山本精一の前衛芸術も売られていた、、、。


FLUID
今までに2回観たことがあって、その時は
「特に好きでも嫌いでもないかな。」
ってくらいの感想だったんだけど、今回で急変。かなりパワーアップしたような気が!ギター2本+ベース+ドラム、という基本的なバンド編成で、出してる音色自体は特別変わってるわけじゃないけど、おもしろかった。
1つの固定したフレーズを繰り返して、ガラッと変わる。メロディは一定だけど、周りが突発的にどんどん変化してく。どっちかというと、ギターは鳴り物というか飛び道具的な音が多くて、ベースがフレーズを反復するっていう構成。ベースの音自体はトゲトゲしてて、本来あんまりするなタイプの音じゃないんですけど、ナゼかすごい心奪われました。それは多分弾くフレーズ弾くフレーズが、ことごとく好みな雰囲気だったからかも。
繰り返してるのに、支離滅裂で先が読めないようなブレイクとか展開だったり。突然狂ったようにギターをかき鳴らして、轟音で高音なノイズの洪水になる場面とかもあったり。終始、スリリングで痛快。
ヴォーカルは主にギターの女の人で、語りのようでもある歌が音に合ってたし。時にはもう1人のギターの男の人が軽くラップっぽいのを披露し、弦楽器3人で掛け合うような時もあり、曖昧で起伏のあまりない旋律なのに単調にならない。全体的には、狂ったような風景がコマ送りするみたいな空気感。
特にリズムが疾走する曲はよくて、downyっぽい変拍子なミニマル感に、ちょい界っぽいラップの質感も混ざってたりする心地もあり、やっぱりツボ。注目度、一気に上がったのです。


ASA-CHANG & 巡礼
一言でいうと
「今まで観た中で一番不思議なライブ。」
衝撃というか、とにかく何かすごい!ブラックライトを両脇に置いたのみの照明で、じゅうたんがひかれている光景自体が独特。さらに、メンバーは白い浴衣を着てるので、服がブラックライトで照らされて発光。プリントされてる模様が浮かびあがって、ASA-CHANGが登場した時からすでに不思議な世界観。

編成は、ASA-CHANG → 打楽器、笛、トランペット(?)などなど。
U-ZHAAN → タブラ、管弦楽器、などなど。
そして、巡礼エレクトロニクスっていう怪しげな機械。それを真中に2人が囲むように座って演奏。

最初はクラムボンのカバーの「トレモロ」。
森の中っぽい自然音が静かになる中、ASA-CHANGが笛を吹いた瞬間に、音がぐにょーん、ぽわーんってエフェクトされていく。これでもう完全にやられちゃいました。
「なんだこれっ!?」
って、ぷにょーんと広がりながらくるくると宙を舞う音。笛が鳴らされると同時進行で、音が生き物みたいに飛び回りだして、トレモロのメロディを形成していく。これがとっても心地よいのです。驚愕なのです。
「2人だけでどうやってライブするのかな?」
と疑問に思っていたことなんて完全にどっかに一掃されて、ASA-CHANG & 巡礼の音空間に引き込まれていく。さらに、曲の後半でタブラが入って来てからは、もう何て言っていいのやら。”タブラが歌う”そんな感じ。打ち込みの声に合わして、どうやって弾いてるか分からないリズム感抜群なタブラが炸裂しながらハモる。
「すげぇ・・・。」
と言葉を失う。と、1曲終わったトコで軽いMCとメンバー紹介。ASA-CHANGはとても丁寧で、何だかおもしろかった。タブラのチューニング(!)を終えて、「つぎねぷといってみた」。クラムボンの郁子ちゃんの語りがカワイイ。好きな曲だったので嬉しかったし、やっぱりタブラが歌う。打楽器なのに歌ってる。わけわからないけど、心地よい。続く「PREACH」では2人とも管弦楽器を演奏。どこか懐かしいコード感が中学校の放課後の吹奏楽部みたいな雰囲気。そんな日常の普通の夕方に、ヘンテコで、けど何かかわいらしい世界に迷い込んだような感覚。何だか少し哀愁も。それから、「JIPPUN」。ぐにょーんぐにょーんって繰り返されて上昇していくドローン音に、叩き荒れるタブラにASA-CHANGの打楽器も重なって、ゆるーいトリップ感がたまらない。リズムが生き物みたいでもあり、気付けばゆらゆら体が揺れる。続く曲も打楽器旋風が巻き起こり、もう完全にこのヘンテコで可愛らしい世界にはまり込む。

「巡礼ジャージも売ってます。8000円は高くないですよー。
 考えてください・笑。」
と、ASA-CHANGがMCで笑いを誘った後、最後の曲「新しい花」。レイハラカミさんが参加してるこの曲。何でか分からないけど、ちょっとグッときて。色んなこんがらがった感覚や物思いや考えが緩やかにほどけていった。サラサラ流れていった。そして、最後の最後の
”光は要らない。水をください。”
って言葉が頭の中にスーっと響いて終演。ちょい機械ちっくで自然な薬みたいなライブ。それは、めちゃくちゃドラッキーでヘンテコなんだけど、日常の延長線上にきっちり位置していて、とても優しかったりもする。ホントに不思議で素敵でした。終わった直後にCD衝動買いしちゃったもん。


ROVO
時間をかけて高揚してくライブは相変わらず。
ツインドラムもめっちゃくちゃ上手くて、
「バスドラ、どんだけ入ってるんですか?」
という、リズムの凄まじさ。どんどん空間が白くなっていくような空気感。
ヴァイオリンとギターと鍵盤で静かに始まって、ドラムとベースが入って、徐々に盛り上がっていって、一気にガツッと来る展開に、色が変わるというか、空気が変わるというか。お客さんのテンション上がりまくり。ステージの熱も上がりまくる感じ。
今回はちょっと陽気でわくわくするような始まりや、ロックっぽくリズムが走っていく展開、ヴァイオリンがものすごくメロディアスな瞬間とかもあって、よかったです。後半、リズム隊がいなくなって、ゆるーく静謐な雰囲気の音響な曲を演奏。そこからリズム隊が戻ってきて、ややガムランみたいな音になる。今度はドラム以外のメンバーがみんないなくなっちゃって、延々とツインドラムのリズム合戦。この辺は意外だったけど正直ちょっと退屈、、、。と、そしたらメンバーが戻ってきて、軽く演奏した次の瞬間にめちゃくちゃドラマチックな変化が!一気に急上昇して急降下する、空中でジェットコースターに乗ってるみたいな感覚。鳥肌立ちまくり、踊り狂いまくり、
「狂喜乱舞ってのはこのことかいっ!」
という高揚感。テンション上がりすぎてやばかったです。さらに、ふっとブレイクをおいて、
「キたっ!」
っていう具合な怒涛の音の流れ込み。もう勝井さんのヴァイオリン最高です!他の音も全てが合わさって、どこまでも昇っていく感覚。
終わった瞬間に拍手の嵐と大歓声。その後のアンコールでの盛り上がりも尋常じゃなくて、またしても、急上昇の急降下のジェットコースター状態。
踊りすぎて足くじいちゃったり。そのくらいの高揚感。最後のブレイクからの一瞬の大爆発の時とか、両手を上げて、ジャンプしまくり。ASA-CHANG & 巡礼のライブがあんまりにもインパクトが大きかったので、
「今日はもうそれは超えられないかなぁ、、、。」
と思ってたんだけど、ROVOはまた違った最高な音の宇宙でした。