2005年6月11日(土)。
eo SONIC WAY-V LIVE “音STAGE” ”
Salyu
@神戸クラブ月世界


Salyuのライブは前々から、
「観たい!」
と思っていたので念願の日。

クラブ月世界の中に入って、吃驚。
元々キャバレーだったみたいで、豪華なシャンデリアと半円形のステージを囲むように置かれた高そうなソファとテーブルが並ぶ内装。
「こんな場所には、縁がないだろうなー。」
と思う豪華さのあるライブハウス。

整理番号がそこそこ早かったため、前の方の席をゲット出来て。ステージとの距離は3mくらいと、相当近かった。

1曲目から、感覚のひだをグッと掴まれた気がした。恥ずかしそうに登場したSalyuは、MC時のテンパり具合も合わさって、
「緊張してるんだろうなぁ。」
という印象で、ライブ慣れをあまりしていない初々しさで。シャイっぽく、何処にでもいるっぽい小柄な女性だった。でも、一旦唄い出すと、一気にその唄声の力に吸い込まれてしまう。最初の「Dialogue」の中盤、キーがめちゃくちゃ高くなる瞬間に、涙が出そうになった。理由なんてないし、意味も分からないけど、
「光で溢れてる。」
感触がした。
何なのだろ?この感触は。

Salyuは小林武史がプロデュースしていて、曲を自分で作ってるわけじゃない。
けど、唄うとナゼか完全にSalyuの曲になる。
「もうSalyu以外じゃ無理じゃね?」
技術的にどうだとかいうわけではなく、そんな空気が宿る。バックメンバーは鍵盤が小林武史だったり、ドラムがあらきゆうこだったりして。豪華で、皆ライブ慣れも音を出すことも上手だ。そんな中で、Salyuはとっても不器用にも思えた。前記したように、ライブ慣れはしていないし、曲間にはおどおどしまくり。ただ、唄うと完全にその唄声が、他のどの音よりも雄弁に空間を満たしていく。

その空気や呼吸のようなものは、神秘的だと言われそうな。
いや、ホントにそう?
クオリティが高くて的確にアレンジされた音楽は、神聖な雰囲気が漂ってる。でも、Salyuの唄声は遠く雲の上のような感触でありつつ、すぐココで掴めそうな、すぐココで生まれそうな感情が丁寧に溶け込んでる。だから、泣きそうになる気がした。それは、すっごくちっちゃいのにすっごくおっきくもあり、優しくて、悲しくて。
「無理しなくてもいいよ。」
と、不安定なんだけど、絶対的に暖かく、そっと何かを提示してくれる。

夏の匂いがする「Peaty」や、ポップな「彗星」、リリィシュシュ時代の曲「エロティック」、大きな世界観の「VALON-1」、曲数は少なかったけど、全て素晴らしかった。そして、最後に唄われた「TO U」に至っては言葉に出来ない程。何と唄われているのかちゃんと聞き取れない言葉達が、しっとりと皮膚に染みこんでくる。
「あー、また泣きそうだ…。」
Salyuが額に手を当てて、最初の「Dialogue」と同じくらいに高いキーのパートを唄った時、思わず席から立ち上がりそうになった。同時に動けなくもなった。
「光で溢れてる。」
感触がした。バカみたいなことかもしれないけど、確かにそう感じたんだもの!
何なんだろ?この感触って。

そんなこと理解できなくてよくて、
「人の声の力って凄いな。安心も不安も見えない何かもたくさん混ざってんだな。凄いな。」
ということだけはしっかりポツリと残った。圧巻の一時。