DOIの感想記(後半)

友加里ちゃんは全身黒のタンクトップにオールタイツ、帽子を小道具に使って「シカゴ」(01−02シーズン、ボーン&クラーツのOD) を格好よく演じてくれました。こういうきりっとした感じの演技を見たのは久しぶりのような気がします。運飛張りの新作スパイラル(今までやってませんよね?)も見せてくれ、逆襲体制が整った印象。競技用プログラムが楽しみです。


田村君はエキシビバージョンのカンタループ。
ある意味古典的ともいえるオーソドックスな振り付けですが、それに華を添えられるのは田村君だからでしょう。どこか力が抜けているのも田村君ならでは。やっぱり美形が正統派を演じると映えますね。

このショーを見る前にネットで田村君の引退を知りました。
演技が終わった後にマイクを持って競技からの引退発表。引退=別れのあいさつというよりは、新しい道へ向かっての決意宣言という、前向きな印象のあいさつでした。そんな田村君にそぐわない言葉かと思いつつ、試合会場で姿が見られなくなるのが寂しくなるという気持ちを少しだけ添えて、「お疲れさま」、そして「Good luck!」という言葉を。
そしてその田村君を支え続けてきたファンの方々にもお疲れさまという言葉を。似たような経験を持つ身としては、ファンの方の気持ちを想像するとお見舞いを送りたい気分でいます。


渡辺さん&木戸さんのアナスタシアはオルゴールの人形のようにコンパクトで可愛らしい、そして少しもの悲しいナンバー。田村君の引退発表の流れと妙に合っていました。
メダリストオンアイスの時には二人がエキシビナンバーを持っていることに感慨がありましたが、今見直してみると物足りない気がします。かなり短いですよね、このナンバー?もう少し見たかったです。このナンバー、二人にとっては手慰み程度のものなのではないかという気がしてきました。

大ちゃんの曲はロックのサウンドに隠れがちになりながらも聴きなじみのあるフレーズ。
はい?
目が点、頭が音声多重放送状態のまま目の前で演技が進んでいきます。ラストの盛り上げどころ、これでもかというような複雑なストレートラインステップ。
はい!?
見終わって目が点になりましたが、会場は盛り上がっていましたし、動きに先シーズンとは別の種類のパッションも感じられました。大ちゃんのキャパシティが広がるのだろうと思います。
しかしアランフェスを耳にするだけで目が点になるあたり、いかに過去に縛られているかということに気づかされてしまいました。そろそろ新しい世代にソルトレークの幻影をブチ破られるべきなのでしょう。がんばれ大ちゃん、オールドファンは手強いぞ(笑)。

少し話がずれますが、無良君と南里君と大ちゃんがそろって似たような髪型だったのには驚きつつ笑いました。
田村君に影響されたのでしょうか…田村君、いい兄貴分なのかも(笑)。


由希奈ちゃんの二つ目のナンバーはマダムバタフライ。ボーカルがないので試合用のプログラムなのでしょう。ジャンプの調子が悪かったのですが、こちらも由希奈ちゃんワールド全開の演技でした。
先シーズンの由希奈ちゃんは自分の得意分野を把握しておきながらあえて別ジャンルに挑戦したという印象がありましたが、今シーズンはストレートにその分野で勝負に出るような印象を受けました。どう来るのか、シーズンインが楽しみです。

アニシナ組は01−02シーズンODをアレンジしたフラメンコ。キャンデツアーでアニシナさんのソロバージョンを見ていたので、一人と二人の違いがわかっておもしろかったです。
「このリンクは私のもの!」というキャンデツアーでのアニシナさんのオーラは感じられなかったものの、やはりこのプログラムは二人でするためにあるものだと認識しました。ソルトレーク以降二人で滑る機会がかなり減ったこの二人。しかし少々のブランクがあってもダンスはそう簡単に崩れるものではない、という二人の間にあるものの一環を見たように思います。
ところでペイザラの「ウェーイ!」という感じの掛け声はどう反応すればよかったのでしょう?スペイン語もフラメンコもよく知らないので、拍手以外に反応しようがないのが残念でした。そのまま叫び返せばよかったのでしょうか?

すぐりんはボーカル入りのアダージョ。由希奈ちゃんと曲がかぶっちゃいましたね(^^;)
ただ同じアダージョのボーカルアレンジでも達観と諦念を美しく謳いあげる「Anytime, Anywhere」とは違い、凝り固まった情念をぶつけるような女性ボーカルでした。二人の演技へのアプローチの違いが選んだボーカルの違いに現れているように思えておもしろいところです。
情熱の赤と彼女のベースにある青を融合した紫の衣装。今年のテーマはそういうことなのですね。競技用プログラムも楽しみにしています。
(と書いたのはいいですが、試合のエキシビで別の色の衣装で滑ったらどうしよう…^^;)

ジュベールは全身布に包んで登場、不気味な音楽。ほほー、こういう路線なのね…と思ったら、布を脱ぎ捨てた姿は半袖シャツに黒いパンツのシンプルな格好。曲調もいきなりリズミカルなものに。何何何???展開についていけず、アイリッシュダンスの音楽というのに気づくのに少し時間がかかりました。
そしてリバーダンスのおなじみのサウンドに、おなじみのストレートラインステップ!
はい!?!?

やってくれましたね……。
内心引きつりもしましたが、リバーダンスといえばAさんやBさんなどの軽やかな印象があったので、ジュベールのようなパワーのある選手のリバーダンスは新鮮でした。ヤグディンと動きがかぶって見えるジュベールですが、ヤグディンがこれを滑るとリバーダンスを蹴り飛ばして踏みつけてボロボロにしてしまいそうな気がします。(どういう表現だ)ジュベールはOK。意外に滑る人を選ぶ音楽なのですね。
追記:ジュベールのこの音楽、ロードオブザダンスの間違いでした。ツッコミ入れてくださった皆様、ありがとうございます。

美姫ちゃんはおへそを出したショートパンツ、ポンポンを持ったチアガールの登場。
かわいい―――!!
こういう路線で来るとは!いやでも似合う、可愛い!!
こういうナンバーは滑るより踊るよりひたすらノリが勝負。いやあ、可愛かったです。

ヤグディンはSOIでも滑っていた「Ain't That a Shame」。ノリノリのロックに合わせてポーズ、踊る、観客にサービスする。滑っているところが見たかったのですが、これはこれで楽しみました。
シニアデビューした頃から彼を見ているので、ソルトレーク以降の日本での「王子様」的ブレイクは正直ピンと来なかったのですが、こうやって見ると彼は確かにかっこいいですね。さすがSOI仕込み、こういうロック系もきっちり演じられるロシアンは貴重だと思います。

しーちゃんはいかにもタラソワさんという衣装に身を包んだミュージカル、キャッツから「メモリー」。いかにもタラソワさんというか、キャッツらしいというか妙な雰囲気の振り付けなのですが、それをしーちゃんが演じているのはある意味新鮮でした。
モロゾフ+タラソワさんプロデュースで鍵穴がぴったりはまって無敵モードになったしーちゃんですが、その先は全く別のジャンルへの挑戦になるのでしょうか。案外これまで以上に挑戦のシーズンになりそうな気がしました。


今までの全日本メンバーのショートは違い、このショーはエンディングでも本格的に振り付けされています。シンクロチームが出てきて、色とりどりの布を使ったパフォーマンス。このショーの副題は「Road to Torino」なので、この布はオリンピックの五輪を象徴しているのでしょうが、四色しかありませんよ。(黒がない)
いやまあその辺はご愛嬌ということで(笑)。
でもまさか振り付けされたオープニングとエンディングが見られるとは思いませんでした。照明もいつもより写真が撮りやすかったですし、日本スケ連、やればできるじゃん!
一足早く新プログラムが見られたり、そもそもこの時期にスケートが見られるあたり、いい状況になったものです。スケーターおよび主催者のみなさん、ありがとう&お疲れさまでした!