3amigos

Laura Henryさんが書き起こしてくれたものです。原文が載っているのは「Heart Of A Chanpion」のこちら
青い字はLauraが付け足した状況説明です。*は私が後で蛇足かもしれない注釈をつけています。

Lauraの説明より
「1999年12月、Sears Canadian Openの男子シングルの前日に行われたインタビューです。「3amigos」はエルビス・ストイコ、ブライアン・オーサー、カート・ブラウニング。インタビュアーはデビ・ウィルクス。インタビューの間3人は横並びに座っていて、ブライアンが左、カートが真ん中、エルビスが右に座っていました。
時々カートの発言を聞き逃しています。彼は時々とても早口で小声で話していました。それと、彼らはお互いにささやき合っていて、マイクで聞き取れていませんが、できるだけ正確に書きました。インタビューが始まった時にはもう話をしていました。」


デビ:カート、エルビス、ブライアン、ここ最近の世界チャンピオン達ほどカナダのフィギュアスケート界に影響を与えたスケーターはいません。シアーズ・オープンの間にこの3人が一度に集まって彼ら自身のスケートについて、そしてお互いについて話を聞くことができるというのはとても喜ばしいことです。

カート:オレ達でタイトル20個ぐらい取ったっけ?
エルビス:うんうん。
カート:20個取ってるはず。
ブライアン:15個。
カート:ああ、トライしたんだ!
エルビス:トライしたんだよ!
デビ:来年ね、そうでしょ?
(ブライアンとカート、無表情のエルビスを指差す)
エルビス:はい!


デビ:ブライアン、カートを初めて見た時のことを覚えてる?
ブライアン:ええ、86年のカナダ選手権です。僕が優勝して、彼はノービスで優勝しました。
(ブライアンが話す間、当時の演技のダイジェストが流れる)

ブライアン:エキシビションがあって、更衣室でのことをよく覚えています。カートは全てのことにちょっと圧倒されていたと思います。全種目のジュニア、シニアチャンピオン全員とエキシビションをするということで。それに彼はとても緊張していました。ある意味おかしくなるくらい。
デビ:カート、覚えてる?
カート:うん。更衣室でみんな話をしていて、みんなが本当にこんな感じで(いろんな手まねをする)とてもエキサイトしてたりいろいろだった。
(カート、いきなり手を止めてスケートの紐を結ぶジェスチャーをする)
カート:(ささやき声で)おい、見ろよ!ブライアン・オーサーが入ってくるよ!(普通の声で)それでみんなが静かになった。
ブライアン:(ささやき声で)Rob McCall!
(エルビス、デビ、カート、笑)
カート:Rob McCall!実際はRobがみんなを怖がらせたんだと思う!君らが入って歩いてくるなりみんな静かになって、それで静かになったから笑いだしたんだ。一枚板になった気がしただろ!
ブライアン:(しわがれ声で)そのとおり!(モンスターのようにブーブー言い、胸を張る)
カート:Huge!


デビ:じゃあカート、エルビスを初めて見た時のことを覚えてる?
カート:チームのセミナーか何かでテレビのクリップで彼を見たんだ。おまえのクリップ。(エルビスを見る)有名だったんだぞ、知らなかっただろうけど。
エルビス:知らなかった。何やってたっけ。
カート:パウダーブルー!(笑)
デビ:パウダーブルーの衣装を着ていたの?
エルビス:ああそうか、多分、多分それ
カート:(ささやき声)パウダーブルー!
エルビス:(ささやき声)パウダーブルー!
(カートとブライアン、笑)
エルビス:うん、パウダーブルーだった。
カート:パウダーブルーは忘れられないよ?(手を上げる)俺着たもん!*
エルビス:(無表情)実際のところはターコイズ。彼はパウダーブルーと言うけど、こっちの方が男性向けの表現だからターコイズと言います。(カートを軽く突く)とにかくそれは88年のカナダ選手権だと思います。その映像のはずです。その年16歳で、ジュニア選手権で優勝したんです。その映像のはずです。


デビ:それではあなた達3人のスケートの流れを見ましょう。ブライアン、あなたはカートと戦った。カート、あなたはエルビスと戦った。でもエルビスとブライアンは戦ったことがないのよね。
(エルビスとブライアンがお互い相手を見る。カート、コミカルに体を後ろにそらす)
エルビス:ええ、一緒にトレーニングはしましたけど。
デビ:ああ、そうだったわね。
エルビス:実はバリーに行く前にOrilliaでトレーニングしていました。
デビ:マリポサの前に。
ブライアン:ええ、意外なことに。エルビスがOrilliaのリンクに来た時は本当に小さかったからおもしろいですよね。ノービスを始めたばかりで、僕はもうシニアに入っていましたから。競技上はね!(目をくるっとさせ、笑う)
(カートとエルビス、笑)
ブライアン:それで練習の度に彼は僕の足を引っぱって、(小さな子供の声で)「トリプルサルコウ見てくれる?フリップ見てくれる?」って。最終的にはいつも「トリプルアクセル見てくれる?」になった。
デビ:じゃあ彼は寄生虫だったのね!
ブライアン:いや、寄生虫ではないです。今は彼に全部質問していますから!「トリプルルッツ見てくれる?トリプルアクセル見てくれる?」
(カートとエルビス、笑)
ブライアン:だからこのすばらしいスケートの世界では物事はめぐってくるんです。
デビ:(エルビスに)ブライアンを尊敬してる?
エルビス:もちろん!(カートもうなずく)マリポサに行く前から。ブライアンとトレーニングして、ダグ**の指導を受けること、明らかにそれがマリポサへ行った理由でしたから。ブライアンと彼のスケートをいつも尊敬していたし、彼のスケートと彼がスケートにもたらしたものが大好きでした。それとトリプルアクセル、それが決め手でした。トリプルアクセルをマスターしたかったんです。多分13歳でOrillia***へ行ってノービスを一年やって、マリポサ***へ行って、彼にたくさん質問をし続けました。あまりうるさがられないようにして。
(ブライアン、笑)
エルビス:彼は世界選手権とオリンピックの準備をしていましたから。僕はその場に居合わせたんです。それで一番よかったのは、彼が初優勝した97年(発言の通り)****世界選手権やオリンピックへ向けて準備していくプロセスの全てを見られたことです。自分の初めてのオリンピックや94年と98年にあったプレッシャーを振り返ってみて、ああ、ブライアンはこういうことを乗り越えていったのだとわかりました。決して理解することはできなかったんです。彼の周囲に起こっていることを見られる状況にあって、同情することはできても自分がそのポジションにおかれるまで全て認識することはできませんでした。おかれて彼がそうした理由や行動について全てわかりました。
(ブライアンが何か言い、カートとブライアン、笑う)
エルビス:ストレスやついてくる全てのものに対して、彼は彼自身のやり方で通したんです。それもチャンピオンにふさわしいやり方で。
(エルビス、ブライアンとこっそりおどけているカートをこづく)
エルビス:(シリアスな顔をつくって)まじめな話してるんだけど!(笑)
(カート、涙を拭くまね)


デビ:オリンピックの話といえば不思議なのが、あなた達はワールドのタイトルはたくさん持っているのにオリンピックではそうは行かなかった。
カート:(聞き飽きたように)評価しすぎ!
(エルビスとブライアン、笑)
ブライアン:評価しすぎ!
エルビス:評価しすぎ!
カート:つまり、世界チャンピオンはオリンピックチャンピオンに相当するということ。
ブライアン:(エルビスを指差して)銀磨き買おうか!
カート:おう、銀メダル磨け!
(カート、メダルを磨くまねをする。ブライアンとエルビス、まねをする)
カート:オレ持ってないのに!なんで話してるんだろう!


デビ:難しい質問なのは承知しているけど、お互いを説明してくれないかしら?ブライアン、あなたが最初で。
(カート、ブライアンのすぐ近くまで身をのりだして脅迫するふりをする)
デビ:プレッシャーはだめよ!
ブライアン:(笑)その、つまり僕達3人に関して言えば、自分自身のことをしたから、それがよかったのだと思います。だから全員チャンピオンになれました。カートは僕みたいになりたくて僕みたいに滑ったわけではないようです。そしてエルビスもカートみたいになりたかったわけではありません。つまり、僕らは思うがままに、自分のやり方で行ったわけです。
(カート、両腕を広げたポーズをとり、エルビスを見る)
カート:でもおまえこういうの少しやってたよな!
(ブライアン、同じポーズをまねする)
エルビス:ああ!それブライアンに敬意を表してね。
(エルビス、手を打ってポーズをとる。全員笑)
エルビス:これやらないと!
ブライアン:だからエルビスは、つまり僕らはみんなスタイルが違うんです。カートは一言で言えばカート!
カート:(もごもご)結局そうなるんだよな。
ブライアン:そしてエルビスはエルビス。僕やカートよりアスリートとしての面が強いかな。


デビ:じゃあカート?他の二人についてどう思う?
カート:ブライアンは洗練さ、エルビスはガッツというところかな。ブライアンは光沢も全部含めて車の外観みたいなもので、エルビスはエンジン。
ブライアン:(カートに)じゃあ君は何?
カート:で、オレは運転する!(運転するまね)
ブライアン:マフラー!(車の変な音まね)
カート:(笑)マフラー!
エルビス:内装は!
(全員笑)
エルビス:Fuzzy Dice!*****
ブライアン:Fuzzy Dice!
カート:オレは四六時中ダイヤルが変わっているラジオ!
デビ:エルビス、あなたは
カート:Fuzzy Dice?
デビ:じゃあ、Fuzzy Diceは誰?
カート:(エルビスのくせ毛を指差して)今まさに、こいつ!
エルビス:うんわかってる、髪切らなきゃ!(髪をかきあげる)


デビ:エルビス、あなたは他の二人をどう思う?
エルビス:そうですね。振り返ってみればブライアンは僕が見ていた始めの頃から洗練さ(両手で包み込むような手つき)、全てのものををもったスケーターでした。まさにカートが言ったような洗練さを。そしてショーマンシップに伴ってスケートがその時代から変わり始めました。よりショーマンシップをもつものに。より表に出して観客へアピールして心をつかむようになって、カートはよりユーモアがあった、少し多めにやったという点で少し抜きんでいました。
(カート、ブライアンに何かささやき、ブライアンがうなずく)
エルビス:(カートとブライアンに向かって)何?(デビヘ)あそこで密談してますよ!全く違うスタイル、全く違う観客へのアピールの仕方やスケートへの取り組み方。ブライアンが言ったとおり、すばらしいのがそれぞれのやり方で各分野で抜きんでいた。違ったスタイル、精神のもち方で。僕がカートやブライアンより多分激しかったというのは認めないといけないでしょうね(笑)。実際いつもそんなふうに、そんなやり方で、とても闘争的だったから。
(カート、熱心にうなずき、目を大きく見開く)
エルビス:いつもルーティンの練習をやってから、ウーシーと組んでいろんなことを学んで(ブライアンを見る******その洗練さを身につけて、僕は自分がもっている力強さと技術とを併せて全てを一つにしました。とても違っていたことがすばらしいんです。僕は単にカートみたいになりたかったのではなくて、彼の足跡をたどって先へ進みたかったんです。「うん、俺はあの位置にたどり着いて、最終的には乗り越えてこのスポーツに何かをもたらしたい。でも彼みたいにはなりたくない、それはただのコピーだから。」


デビ:あなた達がここに座っているのを見ると、まあ、あなた達3人は何年も何年もカナダの男子シングルで鉄壁みたいなものだったように思うの。
(カート、頭を振る)
ブライアン:まあそういうところなのでしょうが。
デビ:カートはそう思わない?
カート:違いますね。確かに始まって以来オレ達の誰も勝たなかった年はなかったと思うけど、オレ達はつまり、ある意味世界を独占していたんだ!本当におもしろいのが、同じ国から、同じクラブ(ブライアンとエルビスへジェスチャー)からしていたこと!でもこの壁はBrian PockarとToller Cranston*******のようなものだと思うけど。
(ブライアン、うなずく)
ブライアン:そう!僕がある意味Brian Pockar と Toller Cranstonから与えられて、それからひたすら進んだことで別のレベルに達した。この二人が引き継いで一つのレベルからもう一つ上のレベルへ引き上げた時代にいたことは僕にとってある意味光栄なことだよ。
カート:それとその一部にいたことに。
ブライアン:うん。いわゆる化け物のたまり場にいたような気がする。
(全員笑)

デビ:あなた達が引き上げた領域は興味深いものね。あなた達それぞれがアマチュアのチャンピオン、世界チャンピオンだった時にはとても熱狂的に愛されて、尊敬されて、一大ブーム!隣近所のお兄さんが1年で世界チャンピオン。どう思っていた?ブライアン。
ブライアン:おもしろい話があるのを話さないわけにはいかないですね。88年、違う、89年にツアーで一緒になって(カートを指差す)、どこだったか覚えていませんが部屋が一緒だった時、カートは真夜中の時みたいな状態でした。パリから戻ってきた、初めて世界選手権で勝ったばかりで、すばらしいことでいっぺんに起こったのが明らかで。ある日の真夜中に彼がクスクス笑ってるような、寝ながらクスクス笑っていたのを覚えてますよ!
(ブライアン、頭を片方に傾けて目をつぶり、高いトーンでクスクス笑う声まねをする。カート、笑って困惑したように頭を抱える)
ブライアン:一番おもしろかったのが、明らかに彼は世界選手権で優勝した時のこと全部をまだ体験しているようだったんです。家に帰ったその日のようで、本当におもしろかった。隣のベッドから「彼は夢見ごこちなんだな!」と思って見ていましたよ。
(カートを見る)
ブライアン:まあ少なくともワールドのことだといいんだけど!
カート:(口の端から)あとで話すよ!
(エルビス、笑う。ブライアン、笑って顔をおおう)
デビ:ノーコメント?
ブライアン:オーマイガーッ!(目、耳、口をカバーする)
カート:でも言ってることわかるよ。何週間もまともに考えることもできなかったから。何週間もだよ!
デビ:予想外のことだったの?
カート:いや、勝つことを考えるにはナイーブ過ぎただけ。
(1989年優勝の足跡)
カート:勝ったし、その期待もしたけど、それを実現させようとは思っていなかった。ただ他の人達よりよかったら勝つだろうと思ってた。振り返ってみると本当に単純なことで、考えすぎていなかった。ただ「オーケー、彼はトリプルいくつ、コンボをいくつ跳んだ?オーケー、じゃあコンボを追加したら勝つのか?オーケー、いける、やろう!」その練習はせずに、単に実行したんだ。初めての世界選手権のタイトルを獲った後、何週間もまともに考えることができなかったよ!
ブライアン:(変な声で)おもしろすぎる!


エルビス:でもシンプルな考え方だよね。つまりカートが一つのことをやろうとして、僕はそれを上回ろうとした。それがレベルを押し上げたんだ。深くは考えない。ただトライして実行するだけ。ミュンヘンで一緒に練習した時********に、僕はクワドとクワド−ダブルにトライしてた。
(カートを見る)
カート:あれはおもしろかった!
エルビス:おもしろかったね。いわゆる「クワド抜き」をやったりクワドがらみのこともやってた。僕はいつも他のスケーターの物まねにトライしてた。ブライアンとか。
カート:それとオレのショート全部!(笑)
エルビス:「T」のショート全部。観客は僕が練習でやったのを知ってるから、Peter Jensenが「カートにやってやれよ!」って。で僕が(押し殺した声で)「今はやりたくないよ、ワールドなのにやりたくない」っていう感じで言うと、(声を大きくして)カートが「やれよ」「プログラムやれって!」って。で、やったんだ。Da, da, dum dum,
(エルビスはメロディーを口ずさみながら腕でオープニングの振り付けをし、カートとブライアンが笑っている。)
エルビス:それでプログラム全部やって、アクセルの入りのまねもやった。彼はアクセルで膝をこう使うので、それを。彼が戻ってきて、「俺アクセルでそうやってるの?」って。「うん、やってるよ」と答えたら、「げっ、気づかなかった。」って。
(カート、パニックになっている変なジェスチャー)
カート:(パニックになった声で)今は考えるな、今は考えるな!
エルビス:「うわ、混乱させちゃったよ!」
(3人全員笑う)
エルビス:僕は勝ちに来てなかったけど、彼は勝ちに来ていたから!
(エルビス、両手で顔を覆う)
エルビス:「うわ、カートのチャンスつぶすつもりじゃなかったのに!パニクらせちゃったよ、オーマイガーッ!」でもそれだけのことで、一緒にやっていてすごく楽しかった。Michaelもいたね、Michael Slipchek。本当に楽しかった。今も新しい選手はたくさん出て来るけど、前と同じ状況ではないからある意味一人になってしまったような気がする。


カート:今はもっとリスクがあるから。金銭的に大きな話になっているし、より責任も求められる。練習中にいつ鼻かんだかまでインターネットでみんな知ってるから。
(エルビス、うなずいている)
カート:報道されるし、多分転換期の初めの部分にいたんだろうな。フィギュアスケートはもっとおもしろくなって、大きくなっている。変わってもっと大きくなって、いろんな点でよくなっている。今はちょうど成長期にあるスポーツなんだ。とても歴史があって、尊敬を受けているスポーツだけどすごく変わっていっていて、成長期をほとんど終えたところなんだと思う。
エルビス:もっと強力なものになってきている。
カート:よくなっているけど、習熟するためのカーブにさしかかっている。
ブライアン:それと成長に伴う痛みを感じているんだよね。もう一つ上のレベルに引き上げる時に起こる痛みという意味で。
カート:P.G.A.はぴかぴかのマシンみたいなもので、いつかたどりつくんだろう。*********
ブライアン:そうなるんだろうね。
エルビス:うん。
ブライアン:最近の連中のやっていることを見るとびっくりするよ!(エルビスを指差す)アマチュアの状態でいたるところにいるんだから。ツアーやスペシャル、プロアマをやって!
カート:オレ達の常識では世界選手権前の2ヶ月間は何もやらなかったからな。カナダ選手権に出て、それで終了!
エルビス:(後悔するように頭を振って)今はすごく大変だよ。
カート:まあ、でもそういう流れなんだよ。
エルビス:やっていくんだよね。俺はその段階でやってきたから。カートに対抗するために練習して練習して、94年に世界チャンピオンになって、その後トミーのツアー*、自分のツアーとあってこれを全部やっていこうとしていた。今はちょっと手を引き気味だけど。
カート:不満を言い始めるんだったら、「ノー」という言葉がこの世界にないことを思い出さないとな。
エルビス:(少し笑う)うん、わかってる。
ブライアン:(おどけた、低い声で)ノオォォォォォォ!


カート:昨夜オレの睡眠時間は4時間。(エルビスを指差して)オレ達は両方他のイベントからやってきた。もし明日うまく滑れなくても言い訳にはできない。出るのを選んだんだから。
エルビス:はい、その通りです。
カート:だから時代が変わっていってる、睡眠時間2時間で週に3つのイベントに出るのが可能だなんて8年前には思いもしなかった。
エルビス:そうだね。1つの試合へ向けて準備して、そのために1ヵ月時間があって、それだけに全部費やしていた。準備ができた状態で自分のすべきことをやっていた。今は「オーケー、一週間にに3つのイベントをこなして、その全部でトライして成功させる。」っていう感じ。今はショートにクワド、そしてあれこれトライしている。
カート:(エルビスへ向かって身を乗り出し、確信たっぷりに)この試合でもやるのか?
エルビス:(不思議そうにカートを見る)うん…。
カート:よっしゃ。がんばれよ。
(カート、ブライアンに何かささやき3人とも笑う)
エルビス:とにかく、シーズンへの準備にいい、というかこのイベントに出ることでシーズンに、ワールドへの準備につなげるようにするよ。タイトルを俺達のもとに獲り返せるようにね。


デビ:ここにいる3人が初めて同じイベントで試合をするわけね。どんな気分?
カート:潮時かな。
ブライアン:そうだね。
カート:もっと早く実現すると思ってた。
(しばらく感慨深げな沈黙)
エルビス:2、3年前にやりたかったのですが、脚のせいでにアマチュア関連のことだけでプロアマのことまでできなかったから。でも今はできます。去年そんなイベントでコメンテーターを少しやっておもしろかったから、活動範囲を広げて試合に出られる、その一部に入れるのは光栄です。
デビ:あなた達全員のご健闘を祈ります。
ブライアン:ありがとう。
エルビス:サンクス。
(カート、デビに感謝の身振り)
ブライアン: Good luck guys!**
(ブライアン、カートと握手)
カート: Cheers!**
(ブライアン、エルビスと握手)
ブライアン: Go get 'em Tiger!**
エルビス: Thanks, man!**
(エルビス、カートと握手)
カート: Rah, rah!**
エルビス: Rah, rah!**
カート:Boom bah!*
デビ:このスポーツが向かう先について、世界タイトル合計8つの彼らの言うことを信じることにします。


蛇足かもしれない注釈

*まさかこれ読んでカート先輩が本当にエルビスの衣装を着たなんて考える人はいませんよねえ……しかし「I wore it!」なんて言われたらこう訳するしかないわけで。まあ、彼流のジョークだと思いますが。
大体サイズ的に無理…あ、着られないわけじゃないのか。


**言わずと知れたダグ・リーコーチ。彼はオーサーの指導もしていました。
だから「オーサー兄ちゃん」なのです。

***この時のエルビスは「there」を連発していたのですが、「そこ」ばかりだとわかりにくいのでこちらで地名を勝手に入れました。妙に指示語が多いこの方、もう少しわかりやすく言ってくれ…長島茂雄タイプか?

****97年世界選手権はあなたがローザンヌで優勝したでしょう、エルビス……(^^;)

*****Fuzzy Diceの実物はこちらをごらんください。

******エルビスの前のコーチであるウーシー・ケスラーさんはカルガリーオリンピックの頃はオーサー兄ちゃんの振り付けとしてダグ・リーコーチと組んでいました。

*******誰か私にBrian PockarとToller Cranstonについて教えてください…何を比喩しているのか全然わかりませんでした(^^;)。この二人は前の時代の双璧だったということでいいのでしょうか?
じゃあスコット・ハミルトンは?

********このエピソードは91年ミュンヘン世界選手権の時のことでしょう。この時カート先輩はクワドを、エルビスは4+2を成功させました。
(「ミュンヘン」「ワールド」だけでいつのことかわかる人少ないんじゃないかなあ……^^;)

*********P.G.A.はゴルフツアーのP.G.A.でいいんでしょうか。フィギュアスケートがそれくらい大きな存在になるという比喩なのかなと解釈したのですが…。

*トム・コリンズのツアー、すなわちCOIのことだと思います。

**わからないのでそのまま表記しました。まあ、じゃれているんでしょう。