装い新たに復活なった京都府立図書館
手前が旧館の建物(外観だけを残してある)後ろのガラス張りのビルが新築された図書館
京都市左京区岡崎に明治以降の古い歴史を持った府立図書館が一時的に閉鎖されて丸四年、ようやく今年の五月に改装・新築されてまた本好きが集まりだしました。
阪神淡路大震災で、建物が大きく破損したことがきっかけで建て替えが検討されたのではありますが、従前よりもより府民のためのものとして、新たなスタートを切ったと言えるでしょう。
明治の名建築(武田五一設計)と言われる旧館のファザード部分はそのまま保存され、その背後に地上四階、地下二階の図書館が建っています。以前の内装は一新、特に一階から地下の主開架室への螺旋状の階段に意趣が凝らされています。(すこし、目がまわりそうですが…)
今回の新築に際し、府立総合資料館の日本歴史と美術工芸の分野以外の図書資料が約四十万冊、引っ越してきたそうです。開架棚にもちらほらと資料館の蔵書印のあるものがありました。資料館では、貸出が出来ませんから、一歩サービス前進と言えるでしょう。
さて、佐伯総務課長さんに案内されてもぐっていった地下の閉架スペースには、深さ十メートル、奥行十八メートル、幅十三メートルの書庫がありました。いくらなんでも十メートルの梯子をかけて蔵書を探索するなんて出来るわけはありません。その仕掛けたるや物流倉庫そのままに、端末で希望の書籍を入力すると、その本の入ったコンテナをあっと言う間に見つけてつかんで手許にとどける、(ゲームセンターでおなじみの)コンビニキャッチャーの化け物が存在しているのでした。この規模で実用している図書館はここだけだと課長さんのお話でした。お値段を聞きそびれましたが(何億するんだろう?)、古書組合に一台欲しいもんではありました。普通の閉架書庫もあり、今では珍しくなくなった電動の移動本棚が延々と並んでいました。
この書庫をみて、再び開架室を見まわすと、本当にほんの一部の蔵書が氷山の一角として置いてあるに過ぎないことが明瞭にわかります。これら閉架の蔵書は府民全員のための蔵書であり、もちろん来館者にも開かれているわけですが、府域それぞれの市町村図書館からのリクエストに応じるべくその出番を待っているのです。
OPACがインターネットで公開されていますから、いつでも蔵書検索と貸出可能の確認が自宅や勤務先のパソコン上で簡単にできますので、後日、地元の図書館にリクエストをかければ府内一円の定期便で一週間以内には届けられるというシステムになっています。
とはいえ気持ちよく本が読める環境になった新館は来館者は大幅に増えて、貸出のカウンターに行列の出来る日もあるらしいです。平日の昼過ぎにお邪魔したのですが、閲覧席では、皆さん熱心に調べ物されている方が目立ち(机と顔が一体化してる人も若干…)、図書館を後にするころには、入る人ばかりで出る人がないような人気振りでした。ただ、蔵書があんなに隠れていることに気付けないのは残念です。もっと、リファレンスサービスを利用して蔵書に日が当たるようになればいいとは思いました。あ、そうだ、今度行くときにはあの自動式書庫の作り方と費用をリファレンスカウンターで聞いてみよう! (取材・文責 三浦了三)
棚の間のちょっとした折り畳み机。閲覧席が少ない関係で、写真のように、踏み台を逆向けにして椅子代わりに使う人が多数いた。(モデルはN君)
京都府立図書館
京都市左京区岡崎円勝寺町 (075)762-4655
http://www.library.pref.kyoto.jp
休館日 月曜(祝休日のときは翌日)
第4木曜・祝休日・年末年始
開館時間 日曜 9:30−17:00
火曜〜土曜 9:30−19:00
交通 市バス−東山二条・徒歩5分
京都会館美術館前・すぐ
地下鉄東西線−東山下車徒歩10分
駐車場 岡崎グランド地下駐車場(有料)
利用資格 京都府内または隣接県在住の方
京都府内に通勤・在学の方
貸出冊数 1人5冊・2週間
蔵書 約100万冊(蔵書可能数約140万冊)
うち開架約7万冊(可能数約10万冊)
マルチメディア閲覧室(2階)
資料館蔵貴重書データベース閲覧
インターネット閲覧コーナー
マイクロ資料閲覧コーナ
AVブース(CD・ビデオ等)
外部データベース(有料)
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