「シックハウス対策アドバイザーテキスト」        
T.はじめに                      化学編  桔梗谷 正

U.対象となる化学物質

V.種々の対象物質と規制値
 1)優先取組物質:健康住宅研究会
 2)VOC規制対象化学物質
 3)VOCの種類
 4)室内空気におけるガイドライン
 5)VOCの特徴
 6)ホルムアルデヒドが発生する可能性のある建材
 7)材質とホルムアルデヒドの放散量
 8)種々の化学物質の発生源について
  (住居内空気汚染物質)
  (塗料に含まれる主な有機化合物)
  (建材に含まれる主な有機化合物)
  (その他)
  (接着剤に含まれるVOC)
  (天然の木材に含まれる主なVOC)
  (木材の主要成分)
  (溶剤の分類と中味)

W.化学物質各論
   ◎ホルムアルデヒド  CH2O
   ◎VOC
   ◎トルエン C6H5CH3
   ◎キシレン  C6H5(CH3)2
   ◎パラジクロロベンゼン  C6H4Cl2
   ◎木材保存剤
   ◎可塑剤
   ◎防蟻剤、クロルピリホス
   ◎エチルベンゼン  C6H5C2H5
   ◎スチレン  C6H5C2H3
   ◎殺虫剤
   ◎一酸化炭素  CO
   ◎二酸化炭素(炭酸ガス)  CO2
   ◎二酸化窒素  NO2
   ◎ダニ、カビ

X.MSDSについて

Y.PRTR法について


T.はじめに                      測定編  桔梗谷 正

U.測定方法
 ◎ホルムアルデヒドの場合
 ◎TVOCの場合 簡易測定法
 ◎サンプリング(捕集)する方法は、
 ◎室内空気中化学物質の採取方法と測定方法
 ◎種々の分析測定方法
 

V.記録項目
  (1)住宅に関わる項目
  (2)測定時間の生活状況に関わる項目
 

W.測定時の気温・湿度による濃度の補正について
 

化学編

T.はじめに

 近年、住宅の高断熱高気密が進み、建材等から発生する化学物質による室内汚染と、それによる健康への影響が問題となってきています。 発生する汚染物質としては、ホルムアルデヒドをはじめとする種々の揮発性の化学物質が問題視され、その対策がなされてきています。 2001年は、VOC(Volatile Organic Compound:揮発性有機化合物)に関する指針値や、PRTR法(Pollutant Release and Transfer Register:環境汚染物質排出移動登録制度)が施行される年であり、製造業者にとっては、MSDS(Material Safety Data Sheet:物質安全データシート)の提出の義務化など、世の中の意識が変わってきた感があります。この章では対象となる化学物質がどの様な物であるかについて解説します。
 

U.対象となる化学物質

 室内の空気を汚染する化学物質としては、ホルムアルデヒド、防防腐剤、トルエンやキシレンの様なVOC等が知られていますが、これらの化学物質は建材、施工材以外に居住者の持ち込む家具、カーペット、カーテンや、生活することによる暖房や喫煙等からも発生します。

VOCの発生源
 1.施工時に決まる  構造材、壁材、床材など
 2.入居後の持ち込み 家具、調度品、暖房機器、空調システム
 3.居住者の活動 呼気、喫煙、芳香剤、防虫
 4.外気 排気ガス、周辺の発生源

 健康に影響を及ぼす可能性のある因子としては、化学的因子、生物的因子、そして物理的因子等がありますが、この章では、主として、化学的因子について述べます。
 

V.種々の対象物質と規制値

 かねてより健康住宅研究会では建築する者の立場から健康への影響を勘案し、建材、施工材から放散される可能性の高い物質として3物質、3薬剤を「優先取組物質」として選定しています。 

1)優先取組物質:健康住宅研究会

表1

 
物質名
発生源
傷害の例
厚生省ガイドライン

 


ホルムアルデヒド
 

合板、パーティクルボード、集成材、壁紙等の接着剤

喘息
発ガン性
0.08 ppm 100 μg/m
(作業環境濃度:0.5ppm)
 

トルエン
 

接着剤、塗料の溶剤
 
 

 


倦怠感、知的障害、吐き気
 

 


0.07 ppm 260 μg/m
(作業環境濃度:50ppm)

キシレン
 

0.20 ppm 870 μg/m
(作業環境濃度:100ppm)

 3


 

 


可塑剤
 

ビニルクロス、断熱材、接着剤、塗料

環境ホルモンの疑い
 

フタル酸エステル類、リン酸エステル類

木材保存剤

有機燐系化合物
有機塩素系、ピレスロイド系

 


 
 

 


 
 

 


防蟻剤
 

2)VOC規制対象化学物質

更に、2001年4月より、厚生省より、VOCの室内環境濃度に関する規制対象物質として次の物質があげられています。

表2
 物 質 名
室内濃度指針値(厚生省ガイドライン)
備   考

 @ホルムアルデヒド
 Aトルエン
 Bキシレン
 Cパラジクロロベンゼン
 

 0.08 ppm   100 μg/m3
 0.07 ppm   260 μg/m3
 0.20 ppm   870 μg/m3
 0.04 ppm   240 μg/m3
 

 合板,ボード,壁紙,接着剤
 接着剤や塗料
 接着剤や塗料
 防虫剤等
 

その他の検討されているVOC対象物質として次の5物質があります。
 

 Dエチルベンゼン
 Eスチレン
 Fフタル酸ジ-n-ブチル
 Gクロルピリホス
 HトータルVOC
 

 0.88 ppm  3,800 μg/m3
 0.05 ppm   220 μg/m3
 0.02 ppm   220 μg/m3
 0.07 ppb      1 μg/m3
           400 μg/m3
 

 混合キシレン中の成分
 発泡スチロール,FRP
 プラスチックや塩ビの可塑剤
 防蟻剤(農薬)
 新築は、1,000 μg/m3
 
ppm:parts per milion(百万分の1の濃度)、ppb:parts per billion(十億分の1の濃度)、μg:百万分の1グラム
 

 3)VOCの種類

 VOCは、その沸点(蒸発のし易さ)により次のように分類されています。沸点が低いほど、蒸発しやすく、従って、気温の上昇により高濃度になる可能性が高いですが、その反面、揮散しやすいので、時の経過と共に濃度が減少しやすい傾向もあります。
逆に、高沸点の物質は、いつまでも蒸発しないで残留する可能性も大です。
(ただし、ホルムアルデヒドだけは別格ですので注意が必要です。 後述)

表3

名称

名    称 


沸点

VVOC

Very Volatile Organic Compounds

高揮発性有機化合物,ホルムアルデヒド

 0- 50℃

VOC

Volatile Organic Compounds

揮発性有機化合物,トルエン,キシレン,スチレン

 50-260℃

SVOC

Semi Volatile Organic Compounds

準揮発性有機化合物,可塑剤

260-400℃

POM
 

Particulate Organic Matter
 

粒子状有機化合物,農薬,難燃剤
 

  >380℃
 
 

4)室内空気におけるガイドラインVOCに関する基準値としては、WHOでは下記の値が出されています。

表4 VOCの長期低濃度暴露に対する目標値

WHO                                      各機関

VOCの分類

濃  度

アルカン類
芳香族炭化水素類
テルペン類
ハロカーボン類
エステル類
アルデヒド、ケトン類
その他

  100 μg/m3
  50 μg/m3
  30 μg/m3
  30 μg/m3
  20 μg/m3
  20 μg/m3
  50 μg/m3

TVOC
 

  300 μg/m3
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 


TVOCガイドライン

濃  度

北欧建築物規制協会
 一般住宅
 オフィス
 学校

オーストラリア

スカンジナビア
 IAQ1
 IAQ2
 

 400 μg/m3
1,300 μg/m3
 300 μg/m3

 500 μg/m3
 

 200 μg/m3
 500 μg/m3
 

TVOCの濃度は、トルエン換算で約0.08ppmとなり、ほぼ、ホルムアルデヒド濃度と同じであり、非常に厳しい数値です。

(注) ◎アルデヒド、ケトン類には、ホルムアルデヒドを除く。
    ◎個々の化学物質濃度は、属する化学物質類の濃度を50%を超えないこと。

     又、TVOC濃度の10%を超えないこと

5)VOCの特徴

VOC汚染の特徴は、非常に多数の混合物の汚染であること各々の化合物は普通の環境では低濃度であり、発癌性や変異原性、肝臓や神経毒性等の問題にはならないですが、全体としては問題になる可能性があります。VOCの濃度と健康への影響については、医学編に譲るとして、まず、シックハウスの最も大きな要因と考えられているホルムアルデヒドを取り上げます。

6)ホルムアルデヒドが発生する可能性のある建材

表5

建材

接着剤

集成材

尿素樹脂系接着剤

合板
パーティクルボード
 

尿素樹脂系接着剤
メラミン樹脂系接着剤
フェノール樹脂系接着剤

断熱材
 

グラスウール
ロックウール接着剤

塩ビ、クロス貼り
 

澱粉糊系接着剤
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 ホルムアルデヒドやVOCは天然の材料にもいくらかは含まれていますので、全くゼロの材料を使用するのは困難です。そこで、できるだけ含有量の少ない材料を選択することが必要です。その目安として、次のような材料の規格があります。

◇合板類に関する日本農林規格(JAS*1
◇ミディア・デンシティ・ファイバーボード(MDF)及びパーティクルボードに関する日本工業規格(JIS*2

*1 ホルムアルデヒド放散量に応じて、FCO、FC1、FC2、の3段階で区分(Fc0が放散量最小)
*2 ホルムアルデヒド放出量に応じて、E、E、Eの3段階に区分(Eが放出量最小)
(社)住宅生産団体連合会では、これらに基づいて、表のような指針を発表しています。 

この指針が、当面の目安になると思われます。

(社)住宅生産団体連合会の指針(抜粋)
 

 
 
 
 
 
 

 

表6

使用部位

使用材料レベル

内装仕上材
収納や建具類

壁紙
壁紙の接着剤
 


 Fc0、E1レベルまでのもの
 Fc0、E1レベルまでのもの
 または、Fc1、E2レベルのものに表面塗装等で被覆したもの
 ISM(※2)または同等のもの
 ホルマリン不使用を明記したもの
 

 
 
 
 
 
 

 

7)材質とホルムアルデヒドの放散量旧
表7−1

       合板のJAS

 中質繊維板のJIS

区分

  平均値

   最大値

区分

    値

F1
F2
F3
 

 0.5mg/L以下
 5.0mg/L以下
10.0mg/L以下
 

 0.7mg/L以下
 7.0mg/L以下
12.0mg/L以下
 

E0
E1
E2
 

 0.5mg/L以下
 1.5mg/L以下
 5.0mg/L以下
 

 
 
 
 
 
 

 

新      ↓
表2

       合板のJAS

 中質繊維板のJIS

区分

  平均値

   最大値

区分

    値

c0
Fc1
Fc2
 

 0.5mg/L以下
 1.5mg/L以下
 5.0mg/L以下
 

 0.7mg/L以下
 2.1mg/L以下
 7.0mg/L以下
 

E0
E1
E2
 

 0.5mgL以下
 1.5mg/L以下
 5.0mg/L以下
 

 
 
 
 
 
 

 

JAS:日本農林規格  
JIS:日本工業規格
 

試験方法:デシケーター法 合板等から放散されるホルムアルデヒドが蒸留水に溶け込んだ量で測定します。
従って、溶け込んだホルムアルデヒドの水中濃度であり、気中濃度ではないので、注意が必要です。
より理想的測定方法として、チャンバー法が有ります。
これは、一定の容積のチャンバー内に試料を置き、チャンバー内の気中濃度を測定する方法です。
値はより現実的ですが、測定機器、装置が大がかりな為、コストがかかります。 

図1 デシケータ法の図 

 
 
 

   8)種々の化学物質の発生源について

図2
 
 
 

(住居内空気汚染物質)
表8−1

化学物質
 

      途

     状

溶剤(VOC)
 

塗料、接着剤、ワックス、スプレー
芳香剤、洗浄剤

神経障害、肺、肝臓、腎臓機能障害

イソシアネート

 


接着剤、塗料、合成物質、断熱材

 


粘膜の刺激、アレルギー性喘息、加熱すると猛毒のシアンやホスゲンガスが発生する

ホルムアルデヒト
 

接着剤、塗料、繊維物質、断熱材、防腐剤、合成物質、防シワ加工剤

頭痛、喘息、湿疹、疲労感
粘膜や気道の刺激、舌の白化

重金属類
 

塗料の着色剤、合成物質
 

高血圧、腎臓機能傷害、気道や皮膚刺激

木材防腐剤、
防蟻剤
 

木材防腐、白蟻防止用塗布剤、散布剤
 

肝臓、腎臓機能障害、頭痛、めまい、悪心、嘔吐
 

 (塗料に含まれる主な有機化合物)
表8−2

材料

    

ペンキ
合成樹脂ペイント

トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、ケトン類
ミネラルスピリット(デカン類)

ラッカー

トルエン、キシレン、アルコール類、エステル類、ケトン類

非水分散型塗料

ミネラルスピリット(デカン類)

ビニル樹脂系

キシレン

2液ウレタン系

トルエン、キシレン、エステル類、ケトン類

シーラー系

トルエン、キシレン、エステル類、ケトン類

植物油系

脂肪族炭化水素類、オレンジオイル

セラック系

アルコール類

化石樹脂系

トルエン、キシレン、アルコール類

エマルション型

アルコール類、グリコール類

水溶性型
 

アルコール類、グリコール類
 

(建材に含まれる主な有機化合物)
表8−3

   

    

塩ビクロス可塑剤

フタル酸エステル(DOP、DBP)、リン酸トルクレシル

壁紙難燃加工剤

リン酸トリステル系(TBP,TCP)

木工用接着剤

酢酸ビニル、アクリル(モノマー)、可塑剤、ホルムアルデヒド

床ワックス
 

トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、ブチリルベンゼン、トリエタノールアミン、ベンジルアルコール

畳防虫剤

ナフタリン、フェニチオン、フェニトロチオン

木材防腐剤
 

クロルピリホス、クレオソート、オキシムピレストロイド
キシレン、クロロピリホス、アレスリン、ペルメトリン、フェニトロチオン、フェンチオン、マラチオン、ダイヤジノン

クレオソート
 

1,1,1-トルクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、デカン、ウンデカン、ナフタリン、
インドール、ナフタリン系化合物、ビフェニル、アセナフテン、ジベンゾフラン、フルオレンなど

断熱材
 

フロン11、ジクロロメタン
 

(その他)
表8−4

材料

有機化合物

洗浄剤(クリーナー、ワックスなど)

ホルムアルデヒド、トルエン

塗料及び関連製品(塗料、スプレーなど)

トルエン

化粧品など(シャンプー、香水、ヘアスプレー等)

ホルムアルデヒド

自動車用品(オイル、フルード、ガソリン、ワックス等

トルエン、キシレン

趣味用品など(写真用薬剤、専用接着剤等

トルエン、キシレン、ホルムアルデヒド、可塑剤(DEHP)

家具、衣類など(カーテン、マットレス、カーペット等)

ホルムアルデヒド、可塑剤(DEHP)

開放型燃焼機器など

ホルムアルデヒド

煙草の煙

ホルムアルデヒド
 

(接着剤に含まれるVOC)
表8−5

接着剤名

代表的なVOC成分

ゴム溶剤形
 

トルエン、ノルマルヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサン、
ケトン類

酢酸ビニル溶剤形

アセトン、エステル類、アルコール類

合成デンプン系

防腐剤(ホルムアルデヒド、最近はノンホルマリン)

尿素系

ホルムアルデヒド

その他

 


アセトン、メタノール、可塑剤、石油ナフサ、
防腐剤(一部ホルムアルデヒド)、トルエン
 

 (天然の木材に含まれる主なVOC)
表8−6

  

   


α-ピネン、β-ピネン、リモネン


α-ピネン、β-ピネン、リモネン

米松

α-ピネン、β-ピネン、リモネン、ノナン、テルペン

ラワン
 

α-ピネン、β-ピネン
 

(木材の主要成分)
表8−7

骨格成分
 
セルロース、ヘミセルロース、リグニン

抽出成分
 

 


炭化水素、脂肪酸、テルペノイド、ステロイド、トロボノイド
フラボノイド、スチルベン、クマリン、キノン、リグナン、
高分子ポリフェノール、糖、アルカロイド、アミノ酸
 

(溶剤の分類と中味)
表8−8

分  類

具 体 的 な 名 称

芳香族類

トルエン、キシレン

エステル類

酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチル

ケトン類

アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン

アルコール類
 

メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、 イソブタノール

グリコール類

ブチルセロソルブ、メチルグリコール、

その他
 

セロソルブアセテート、PMGなど
 

 
 

W.化学物質各論

◎ホルムアルデヒド  CHO  室内空気質ガイドライン:0.08ppm 100μg/m3整理番号 96−7 官報公示 整理番号 2−482 CAS番号 50−00−0分子量=30.03  CAS No.50-00-0  色:無色透明融点:-118℃  沸点:-19.2℃  気体密度:1.03(空気=1)爆発限界:7〜73%、室温で気体、 水に易溶無色で強い刺激臭のある物質。
合板やパーティクルボードなどの建材、壁紙を張る際の接着剤などに含まれているものがある。
30〜50%水溶液をホルマリンと称する。
防腐剤、殺虫剤、衣料品の防縮、防しわ加工、カーテンなどの難燃加工、合板や壁紙の接着剤等として、又、かつては、フローリングなどの塗料の原料として使用されていた。重合しやすいので、安定剤としてメタノール等を添加してある。
日光により容易に光酸化され、二酸化炭素になる。尿素・ホルムアルデヒド、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂として、接着剤や塗料に使用されていた。尿素ホルムアルデヒド発泡体は建物の断熱材としても使用されていた。滅菌剤や保存剤(防腐剤)としても使用されている。
これらは、未反応のホルムアルデヒド以外に、既に反応して高分子化した物からも、水分の存在下、分解して、発生する可能性を有している

 その他 ガスに対し高い発火危険性。蒸気に対しては中程度の危険性。
炎や火花にさらすと引火点以上で燃える。
水溶液を引火点まで加熱すると爆発の危険性がある。非常に重合しやすい。
 ホルムアルデヒドの反応と逆反応建材や換気に気を付けている建物では、濃度は低く押さえられていますが、防虫剤が使われていると、異常値が生じます。
ホルムアルデヒドはベークアウトの前後で、一旦濃度は減少しますが、又、増えてきます。これは、リバウンドというより、奥の方から出てきたためです。
ホルムアルデヒドは、重縮合するとき、まず、付加反応し、次いで縮合反応します。この反応が順次繰り返されて高分子化します。

                         k
                  →
 1)付加 HNCONH + CHO   NHCONHCHOH
                 ←

 2)縮合 NHCONHCHOH + NHCONH2   NHCONHCHNHCONH + HO
                     ←   3)付加 NHCONHCHNHCONH + CHO   NHCONHCHNHCONHCHOH
                        ←   4)縮合 NHCONHCHNHCONHCHOH + HNCON  NHCONHCHNHCONHCHNHCONH + HO

                            ←

 しかしながら上記の反応は可逆反応ですので、水(湿気)が存在すると、逆向きの加水分解をしながら、ホルムアルデヒドが出来てきます。
当初は、過剰なホルムアルデヒドが最初に発生します。
ところが上記の加水分解反応は、樹脂や接着剤と水分が存在する限り、継続的に生じます。
すなわち、ホルムアルデヒドは他のVOCと異なり、例えば、尿素接着剤は、尿素とホルムアルデヒドを反応して製造しますが、未反応のホルムアルデヒド以外に、既に反応したものでも、湿気の存在下、反応が逆に進み、再び分解してホルムアルデヒドを生成する可能性が有ることです。
すなわち、接着剤が存在する限り、発生し続ける可能性があるので注意が必要です。
 

◎VOC
室内空気質ガイドライン:400μg/m3(新築時は、 1,000μg/m3)一方、VOCは、材料の中に存在している物質が拡散によりしみ出てくるのが発生の機構ですので、徐々に減少します。トルエンやキシレンなどの揮発性有機化合物(VOC)は、揮発しやすく、皮膚や目、肺からも吸収され、頭痛、めまい、吐き気などの症状を訴える場合があります。

◎トルエン C65CH3
室内空気質ガイドライン:0.07ppm,260μg/m3分子量:92.1、CAS No.108-88-3、化審法:3-2、作業環境濃度:50ppm、ACGIH:50ppm、IARC:3、LD50=5,000mg/kg(ラット経口)、比重:0.867、引火点:4.4、発火点:545、爆発限界:1.3〜7.0%、UN No. 1294、 PRTR一種、劇物、第2種有機溶剤、海洋汚染:C類、比重:0.87、蒸気密度:3.1、融点:-95、沸点:110.6
無色液体、芳香性、水に不溶、アルコールやエーテルに易溶。接着剤や塗料の溶剤などに使われる。

◎キシレン  C65(CH32
室内空気質ガイドライン:0.20ppm、870μg/m3分子量:106.2、CAS No.106-42-3 o-:108-38-3 m-:95-47-6 p-:1330-20-7、化審法:3-3、作業環境濃度:100ppm、ACGIH:100ppm、IARC:3、LD50=5,000mg/kg(ラット経口)、比重:0.860、蒸気密度:3.7、引火点:28、発火点:464、爆発限界:1.1〜7.0%、UN No. 1307、 PRTR一種、劇物、第2種有機溶剤、海洋汚染:C類無色液体、芳香性、水に不溶、アルコール、エーテルに易溶。接着剤、塗料の溶剤や、可塑剤の原料として使われる。
トルエン,キシレンは,施工用の接着剤や塗料の溶剤などに利用されます。トルエン,キシレンの人体への影響については,200ppm程度の濃度で倦怠感や知覚異常,吐き気等が多くなることが報告されています。 

◎パラジクロロベンゼン  C64Cl2
室内空気質ガイドライン:240μg/m3 0.04ppm衣料用防虫剤、防臭剤、燻蒸剤、防ダニ剤。
パラジクロロベンゼンは,衣料用防虫剤や防臭剤などに利用されます。
急性中毒は中枢神経系の抑制作用があり,頭痛,めまい,アルコール中毒様の興奮,全身倦怠などを起こします。非常に強い臭気があり,眼,鼻,咽喉に刺激性を示しますが,一過性の軽度の刺激です。
皮膚に接触すると,その部位に熱感を生じますが,刺激は軽度です。動物実験では,ビーグル犬を用いた経口投与による反復投与毒性試験で,肝臓や腎臓などへの投与影響が認められています。

◎木材保存剤 
木材の防腐や防虫を目的とした薬剤。主成分に、クレオソート油やアルキルアンモニウム、有機リン系殺虫剤、ピレスロイド系殺虫剤などが使われる。
木材保存剤や防蟻剤には有機りん系やピレスロイド系の薬剤などが含まれることがあります。
人体への影響としては,軽度の場合,倦怠感,頭痛,めまい,悪心,嘔吐など(有機りん系)や頭痛,くしゃみ,鼻炎など(ピレスロイド系)の症状を示す場合があることが報告されています。 

◎可塑剤
 ポリ塩化ビニールなどの材料に柔軟性を与えたり、加工しやすくするために使用される。可塑剤を含む空気を吸入あるいは接触した場合,最も多く使われているフタル酸ジオクチルについては5mg/m3程度の濃度で目,気道(喉,気管)を刺激することがあると報告されています。 

フタル酸ジ-n-ブチル(DBP)
室内空気質ガイドライン:220μg/m3 0.02ppmCAS No.84-74-2、化審法:3-1303、作業環境濃度:5ppm、LD50=5,280mg/kg(ラット経口)、PRTR一種 フタル酸ジオクチル(DOP)  CAS No.117-81-7、化審法:3-1307、IARC:2B、LD50=3,060mg/kg(ラット経口) PRTR一種 

◎防蟻剤、クロルピリホス
室内空気質ガイドライン:0.001mg/m3建物をシロアリの被害から防ぐために用いる薬剤。主成分は有機リン系殺虫剤やピレスロイド系殺虫剤。

◎エチルベンゼン  C6525
室内空気質ガイドライン  3,800μg/m3 0.88ppmCAS No.100-41-4、比重:0.900、引火点:25、発火点:432、爆発限界:1.0〜6.7%、  PRTR一種、劇物、第2種有機溶剤、海洋汚染:C類  沸点:136℃無色透明の液体、芳香性、水に不溶。スチレンモノマーの原料。混合キシレン中の成分 

◎スチレン  C6523
室内空気質ガイドライン  220μg/m3 0.05ppmCAS No.100-42-5、化審法:3-4、作業環境濃度:50ppm、ACGIH:50ppm、IARC:2B、  LD50=5,000mg/kg(ラット経口)、比重:0.907、蒸気密度:3.6、引火点:31℃、発火点:490℃、爆発限界:1.1〜6.1%、UN No.2055、PRTR一種、融点:-31、沸点:145.2無色透明の液体、芳香性、水に不溶。発泡スチロール、合成ゴム床材、合成樹脂塗料ポリスチレンフォーム、ポリバス等のFRP、ポリエステル樹脂系塗料等の原料。 

◎殺虫剤 
p-ジクロロベンゼン クロロピリフォス PCB ダイアジノン アルドリン フェニトロチオン デルドリンなど 
 

次に、VOCではありませんが、その他の空気汚染物質と、症状、対策を記します。

◎一酸化炭素  CO
ビル管理法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)による一酸化炭素の室内環境基準:10ppm以下開放型暖房器具(燃焼ガスが室内に排気される),調理用ガス器具および喫煙など、不完全燃焼により発生する。空気中の酸素濃度が18.5%を下回ると急激に不完全燃焼を生じ,一酸化炭素の発生率が増加する。
自然環境では0.01〜0.2ppm程度であるが,交通量が多い幹線道路では,排気ガスの影響で10ppmを超える例もある。
人体への影響全身へ酸素を運ぶ役割を担っている血液中のヘモグロビンは,酸素より一酸化炭素と結合しやすく,一酸化炭素を吸入すると,空気中に十分な酸素が存在しても,ヘモグロビンが一酸化炭素と結合してしまい,人体内で酸素不足を生じる。頭痛,めまいなどの中毒症状になり,濃度を増すと中毒死につながる。 
対策・対応一酸化炭素は不完全燃焼によって発生するため,対策として室内での燃焼ガスの発生のない燃焼器具の使用や禁煙がポイント。
また,燃焼ガスが発生する場合は,換気により酸素不足を防ぐことが大切。 

◎二酸化炭素(炭酸ガス)  CO2
ビル管理法:1日平均値として0.1%を超えないこと。
二酸化炭素は人や動物の呼吸,燃焼器具の燃焼により発生する。大気中の二酸化炭素濃度:約0.04%です。 
人体への影響空気中の二酸化炭素濃度が1.0%になると呼吸深度が増加し,4%を超えると肺からの二酸化炭素排出が阻害され,頭痛,めまいが生じる。 
対策・対応二酸化炭素濃度は室内空気の汚染の指標として重要。
低減のための対策としては,換気が最も効果的。 

◎二酸化窒素  NO2
気汚染の環境基準(0.04〜0.06ppm以下)空気の約78%を占める窒素は,高温で酸化し二酸化窒素(NO2)となる。二酸化窒素は褐色の刺激臭のある気体。0.1ppmを超えると臭気を感じる。高温燃焼になるほど発生しやすい。
現在の大気汚染の主要物質。室内では主として燃焼器具使用時に発生する。 
人体への影響二酸化窒素は0.1ppm程度でぜんそく患者等に呼吸機能の低下をまねく。
0.2ppmを超えると慢性気管支炎患者や児童に呼吸機能の低下がみらる。
5ppmでは健康な成人でも呼吸機能の低下がおきる。 
対策・対応(提案)燃焼器具を使用する際の十分な換気が必要です。 

◎ダニ、カビ他編参照 
 
 

X.MSDSについて 

MSDS(Material Safety Data Sheet)とは、先にも述べましたが、製造物安全データシートの略です。製造物、製品の安全性に関する情報公開の為、メーカーよりユーザーに配布することが義務づけられています。
商品や製品の原材料、成分、それに対する毒性、安全な取扱い法、廃棄方法などの注意が記載されています。建材や塗料、接着剤など、素材に関して、疑問点があれば、ディーラーやメーカーにMSDSを請求して下さい。内容に関しては完全には把握できませんが、有る程度、中身は知ることが出来ます。なお、素人向けではありませんので、不明な点は専門家に尋ねて下さい。

 又、PRTR法(後述)関連物質については、成分含有量として小数点1位までの精密な記載が必要ですが、それ以外の物質に関しては、10%刻みの記載が認められています。 
MSDSの例を、示しました。コメント欄に記載してありますが、MSDSにも限界があります。
危険性のある有機溶剤や、毒性のある重金属などを含むものについては記載の義務がありますが、それ以外の物質に関しては記載されない場合が多いです。

更に、含有物の名称や含有量については、次の場合には記載する必要がありません。
 @有機溶剤では、含有量が5%未満の場合、
 A重金属では、含有量が0.1%未満の場合、そして、
 B企業秘密に関わる内容の場合

又、トータルとしての安全性評価に関しては、メーカーサイドとしても、分かっていない点も多々ありますので、MSDSといってもパーフェクトではないことをご認識下さい。この項の最後にMSDSの例をあげましたので、ご参照下さい。 
 

Y.PRTR法について 

PRTR(Pollutant Release and Transfer Register:環境汚染物質排出移動登録制度)法も、2001年4月より施行されています。PRTR対象物質は、現時点で、第1種:354物質、又、第2種:81物質と、合計435種にも及んでいます。
これは、近年のダイオキシンや内分泌攪乱化学物質に対する国民の不安が高まっている中、事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止するために平成11年7月13日に公布されました。
各事業者に報告の義務が生じますが、かなり手間がかかりますので、すべての事業者に対してではなく、中堅以上の規模の事業者のみが法の対象となります。

その条件としては、
 @従業員数:21名以上、かつ、
 A特定化学物質の使用量が有る一定量以上の事業場に限る。
  特定1種は0.5トン/年以上、1種は、1トン/年以上使用する事業者) 
 
 

参考単位
 1t  トン 1,000,000g 10
 1kg キログラム 1,000g 10
 1g グラム
 1g 10
 1mg ミリグラム 千分の1g 10−3
 1μg マイクログラム 百万分の1g 10−6
 1ng ナノグラム 10億分の1g 10−9
 1pg ピコグラム 1兆分の1g 10−12
 1fg フェムトグラム 1000兆分の1g 10−15g 
 
 

「シックハウス対策アドバイザーテキスト」分析測定編 桔梗谷 正****************************************目次 

T.はじめに

 環境測定の目的として、実態を知ることと、素材による影響を知ることがあります。建材などによる影響を調べる場合には、建材そのものから発生するホルムアルデヒドやVOC量の評価となります。
一方、環境実態の調査では、そのときの換気回数、気温、湿度、材質、住まい方等の条件によって変わりますので、非常に難しい点があります。近年の科学の進歩により、微量の化学物質の分析も出来るようになってきました。
例えば、ダイオキシンなどでは1兆分の1gのオーダーの分析も可能となっています。
 又、測定方法としては、短時間で簡便に測れる簡易測定と、時間と費用はかかりますが、夾雑物の影響を除いて、厳密な濃度測定が可能な精密測定とがあります。 具体的な測定方法とその限界について次の表にまとめました。
 

U.測定方法◎ホルムアルデヒドの場合 

簡易測定法 表1−1

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 


方  法

原 理、 方 法

備  考

検知管
 

ヒドロキシルアミン塩との反応で、酸が遊離し変色する
この変色幅より濃度を測る

妨害ガス
 

定電位電解

電解電流を測定

妨害ガス

吸収吸光度
 

DNPHやアセチルアセトンとの反応により変色する
この変色の度合いにより濃度を測る
 

検知紙
 

呈色反応による変色度合いを比色する
 
 
 精密測定法 表1−2

 
 
 

 


方  法

原 理、 方 法

備  考

DNPH-HPLC

 


DNPHシリカゲルカラムにガスを通し、アルデヒド類を固定 する→溶剤により溶出→HPLC分析
 

アルデヒド類の分離 分析可能
 

◎TVOCの場合

簡易測定法 表2−1

 
 
 

 


方  法

原 理、 方 法

備  考

半導体

 


半導体にVOCが吸着されると、電気的性質が 変わる
 

妨害ガス

 

  精密測定 表2−2

 
 
 
 

 


方  法

原 理、 方 法

備  考

GC-MS
 

 


活性炭などの吸着剤に吸着固定→
溶剤により溶出→ガスクロマトグラフによる分離
→質量分析計による分析
 

同時に多種類の分離分析が可能

 

  
 
 

◎サンプリング(捕集)する方法は、

 真空瓶やテドラーバッグの様な容器に捕集する方法 :容器捕集法 
 活性炭の様なもので直接吸着させて捕集する方法  :吸着法があります。

これらの場合、なるべく早く分析することが必要です。
 

◎室内空気中化学物質の採取方法と測定方法

窓を開放し、30分間換気後、密閉し、5時間後における概ね30分間採取の濃度(μg/m)で表す。
正式な測定方法としては、空気資料の採取場所は、室内は居間及び寝室の2ヶ所、室外1ヶ所の計3ヶ所とする。
試料の採取は、2回又は2重並行採取とする。
 

ホルムアルデヒドは、NDPH誘導体固相吸着/溶媒抽出−高速液体クロマトグラフ(HPLC)法によるものとする。 
VOCは、活性炭などの吸着剤を充填した捕集管に外気を吸引して測定対象物質を捕集する。

次いで吸着剤から、吸着物質を溶媒で溶出させ、これをキャピラリーカラムに導入して、ガスクロマトグラフ−質量分析計(GC−MS)により分離、定量する。
MS(質量分析計)が無い場合には、検出器としてFID(水素炎イオン化検出器)を用いることも可能である。 

採取場所は、室内では、部屋の中央付近の少なくとも壁から1m以上離した高さ1.2〜1.5mの位置で、屋外では、外壁及び空調給排気口から2m以上離した高さ1.8m以上の場所とする。  
 

◎種々の分析測定方法
表3

 

  分析測定方法

VOC

CH








 

活性炭管に50〜500ml×10分〜24時間吸引 GC-MS
捕集容器(真空瓶、テドラーバッグ)に吸引  GC-MS
DNPH/TEAカートリッジに0.1〜1L/分×30分〜24時間吸引 LC
バッジやパッシブサンプラーを8〜48時間放置  抽出/LC,GC-MS
バブラーに吸収液を入れバブリング
ガスセンサー
検知管
 

 ◎
 ○
 −
 ○
 −
 △
 △×
 

 −
 ○
 ◎
 ○
 ○
 △
 ○
 

V.記録項目

(1)住宅に関わる項目
   1)戸建構造(木造、2×4、木質プレハブ、鉄骨プレハブ、RC、その他)    階数(平屋、2階建、3階建、その他)
   2)集合 階建、階部分
   3)規模 1階(u)、2階(u)、3階(u)、延面積
  4)改修の有無 改修時期(年月日)、家具購入時期(年月日)

(2)測定時間の生活状況に関わる項目
   1)1日の窓の総解放時間
   2)1日の換気扇の総使用時間
   3)1日の暖房器具の総使用時間
   4)暖房器具の種別
   5)1日のクーラーの総使用時間
   6)1日の喫煙本数
   7)芳香剤の使用状況
   8)スプレー等の使用状況
   9)殺虫剤、防虫剤の使用状況
  10)調理の状況
  11)防蟻処理を行ったか否か
  12)室内の温度、湿度(日平均値、最高、最低)
  13)天候
  14)建物の新築、中古の別
  15)戸建て、集合の別
  16)その他
 
 

W.測定時の気温・湿度による濃度の補正について
 単位あたりの放散量(EF、mg/m2・h)は、EF=(C-C0)×Q/A=(C-C0)×N/Lの式があります。
   C:チェンバー内(室温)化学物質濃度
    Q:換気量(m3/h)
   C0:初期(外気)化学物質濃度
   A:試験体(建材)表面積(m2) 
   N:換気回数(h-1)
   N=Q/V (V:チェンバー(室)容積(m3))
   L:(loading factor):試験体(建材)負担率(m2/m3
   L=A/V 23℃で、湿度45%の時に0.08ppmとした場合、温度や湿度が変わった場合の推定濃度を図 に示しました。

なお、この図の計算には、次の式を参考にしています。
デシケータ値による一般条件における気中濃度予測式(森林総合研究所 井上氏)

    換算式     温度係数 湿度係数  換気係数
    C=(0.158D+0.017)*1.09(t-23)*(h+55)/100*2/(1+Q/S) 
    C:気中濃度(ppm)
    t:温度(℃) 
    Q:換気量(m3/hr)
    D:デシケーター値(mg/L)
    h:相対湿度(%) 
    S:建材の面積(u) 

上記の式で、気温と湿度以外は一定条件とすると、式は下記のように簡素化されます。 
       C=A*1.09(t-23)*(h+55) 

ここで、温度23℃で湿度45%の時の濃度を0.08ppmとすると、下の図の如く、30℃、湿度80%では、0.20ppmになり、濃度は、2.5倍に、又、温度40℃、湿度100%では、0.54ppmとなり、濃度は、7倍近くとなると推定されます。

従って、気温20℃で、湿度45%で厚生省基準の0.08ppmをクリヤーしていたとしても、夏場の高温、高湿度の下では、何倍もの濃度になる可能性が有りますので、注意が必要です。
 

図2