天然樹脂塗料
セラックニス
近年、住宅の気密化に伴い、アレルギー症状の増加や
焼却場や火災での有毒ガスの発生が問題になってきております。
私たちの住んでいる地球環境を守ろう!
昔から愛用されているセラックニスを見直そうではありませんか!?
セラックニスってどんなニス?
◎セラックは、貝殻虫の一種のセラック虫が、自分の身を守るために、
体の周りに分泌する自然が作った樹脂です。
◎最近では、その安全性が見直され、チョコレートのコーティング
(チョコが融けるのを防ぐ)や医薬品の保護膜として、色々な分野で
広く利用されています。
◎セラックニスは万一燃えても、炭酸ガスと水になる成分しか含んで
いないので、有毒ガスの発生はありませんので、安全です。
◎木や紙への相性は非常によく、又、アルコール類にしか融けず、
耐油性にも富んでいます。
種類
セラックニス :茶褐色
白ラックニス :セラックを漂白したもの
乳状セラックニス:セラックニスを漂白し、
ワックス分を除去していないもの
透明セラックニス:セラックニスを漂白し、
ワックス分を除去したもの
特徴
@速乾性で作業性が良い
Aアルコール系なので、環境に優しい
B下塗りから上塗りまで、万能に使える
C光沢があり、他のものに付着しにくい
使用上の注意
@耐水性、耐熱性、耐アルカリ性に劣るので、屋外塗装や、
テーブルやカウンター等の塗装には向かない
A白ラックニスは、長期保存すると乾燥しなくなるので、
なるべく早く使い切ること
Bアミノ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等には、
密着が良くない
C多湿時には、白化しやすい。
この場合には、リターダーシンナーを併用してください。
セラックニスって??
1.はじめに
天然樹脂中で唯一の熱硬化性を有するセラックは、
ラック貝殻虫(Laccifer Lacca
Kerr)と言われる、
体長約0.6〜0.7mmの虫が分泌する樹脂状物質を精製したものです。
このラック貝殻虫の生育条件は、亜熱帯地方の一部に限られ、
タイとインドが2大産地です。
2.セラックの歴史
◎セラックは紀元前2000年頃に中国でセラックに含まれる色素
(ラッカイン酸等)が染料として使われた。
又、漢方薬では、「紫こう」と呼ばれ、正倉院の中にも
保存されているそうです。
◎セラックは染料としてよりも、木工塗装に使われだした。
◎1830年頃、アルカリ水に溶けることから、紙の加工に応用され、
◎1950年頃、ドイツで漂白セラックが発明された。
◎1878年、エジソンの蓄音機の発明に伴い、セラック製レコード
(S盤レコードのSはセラックのS)が作られた。
◎1928年頃より、セラックを使ったフロアーワックスが使われだした。
◎1930年には、酸性の胃液には溶けず、アルカリ性の腸で溶解する
コーティング剤 としてセラックが用いられ出した。
◎最近では、セラックの無毒性、防湿性を応用して、粒状チョコ、ガム、
他の食品の防 湿剤としても用いられている。
3.用途
◎酒精ニス(セラックニス) 塗膜が堅い、密着性が良い、耐油性がある
家具、楽器の塗料、健在の塗料、金属下地塗料
◎電気絶縁材
電気仕上げ用ワニス(W−10号ワニス)
◎印刷インクのバインダー
クラフト紙、セロハン、アルミ箔の印刷用バインダー
◎化粧品
毒性がなく、石鹸落がよいので、ヘアースプレー用
◎フェルトの成型用
フェルト帽子の型付け糊剤
◎医薬品のコーティング
無毒性、耐酸性、防湿性⇒糖衣錠に塗布
◎食品コーティング
無毒性、光沢性、防湿性⇒チョコレート等の菓子のコーティング、
柑橘類の保護膜(フルーツワックス)
☆☆最近のデータでは、ホルムアルデヒドの抑止性能は、
汎用塗料以上にあることが判った。