家具って、どんな塗装をしているのかな?
深みのある高級家具・・・
木の目もきれい・・・
家具の塗装はこんな風にされています。
まず、
1)下地処理、素地調整で
す。
木って、切り出されて、
カンナを当てて、
でも、よく見ると、表面に毛羽がたっている。
鉋掛けだけで鏡面に仕上げることの出来る棟梁が減ってきました。
ですから、ペーパーをあてて、表面の毛羽を落とします。
これを素地調整といいます。
使うサンドペパーとしては、#180〜240程度です。
次いで、気に入った色に
2)着色します。
このとき、木には、導管という、水分や栄養分を運ぶための配管???
これを導管といいます???があり、木の表面の欠陥部分となります。
導管に垂直にカットされると、穴が開いた感じになるし、
導管に平行にカットされると、筋状の溝のような感じになります。
又、木は、季節により成長の速度が変わり、
夏場は成長が早く、従って、すかすか(柔らかい)構造、薄い色となります。
一方、冬場は成長は遅いですが、その分、緻密な構造、濃い色となります。
濃い部分と薄い部分で、1年間の成長を示します。
これが年輪です。
さて、話がそれてしまいましたが、
この木の目、穴の部分を埋めないと、平滑な表面にはなりません。
昔は、との粉の様な、土?泥の様なものを水でといて、擦り込み、
次いでこれを、布などで拭き取り、木の目の中に粉を刷り込みました。
しかし、粉ですので、この上に塗料を塗装しても、密着が悪く、
塗膜が剥がれるといったことが往々にして生じました。
今では、粉成分を木と密着性の良い樹脂で練ったものが使われます。
弊社では、「アートフィーラー」という商品があります。
ここで、このフィーラーに着色剤を入れたものを使うと、
着色剤と粉成分が木の目に刷り込まれます。
つまり、木の目の部分が着色された感じになり、木の目が際だった感じになります。
これを、「目止め着色」と
いいます。
それから、もう一つ、大切なこと
着色剤には、
染料系と顔料系とがあります。
染料と
は、構成している分子の大きさが余り大きくないので、
溶剤などに溶けています。
又、色目も鮮やかです。
しかしながら、塗り重ねをすると、再び、溶けて、滲んでしまいますし、
又、良く染み込むので、染み込みムラが出ます。
つまり、柔らかい部分は良く染み込み、従って、濃く着色されます。
一方、顔料と
は、構成している分子が大きく、
溶剤に溶けているのではなく、粒の形で分散しているものです。
だから、塗り重ねをしても再び溶け出すことがないので、
色が安定します。
又、粒なので、吸い込みムラが出にくいのですが、
色目が、あまり鮮やかではありません。
木工用に使われる顔料は、粒子の大きさが小さく、
なるべく、隠蔽性の少ないものが好まれます。
(木目を生かしたいからです)
これに
3)下塗り塗料「シーラー」を
塗装します。
昔は、ヤニ成
分の多い木が使われることが多かったのですが、
近年は、そのような木は減ってしまい、成長の早い、ヤニ分の
少ない安価な輸入材が主流になってしまいました。
このヤニ分は、木自身が、自分を守るために分泌する物質で、
防虫性能や、耐久性に大きく寄与します。
ヤニの多い木は塗料の密着が悪く、そのため、ヤニ止め塗料
としての下塗り塗装が必要でした。
ヤニのない木は、加工がしやすく、塗装も容易なので、下塗り
塗装は多くの場合不要です。
ヤニ止め塗料は、緻密な塗膜を形成し、木からしみ出てくる
ヤニを物理的にシャットアウト(シール)します。
昔は、シケラックニスがヤニ止めシーラーして使用されてきましたが、
今では、ウレタン樹脂系の架橋密度の高い、緻密な膜を形成する
塗料を塗布します。
仏壇に使用される紫檀や黒檀といった高級木は、ヤニが多く、
材としても非常に重く比重も1以上あり、水にも沈んだりします。
これには、ヤニ止めシーラーを2〜3回塗装します。
弊社では、「ヤニトップ SA1400 ポリプラス」です。
塗装後、1日以上経過すると、塗装する前に、
軽く、サンドペーパーをかけて下さい。
塗膜が非常に緻密なので、完全乾燥すると、
密着性が落ちます。
4)サンディングシーラー
目止め着色をしても、木の目は完全には止まりません。
表面を滑らかにするために、サンディングシーラーという中塗り塗料
を塗ります。
この塗料は、名前の通り、厚く塗装し、次いで、塗膜ごと
サンドペーパーで削り落とします。
これにより表面を滑らかにします。
サンディングシーラーを厚く塗って削ると、表面は鏡面の様に
つるつるで滑らかになります。
このような塗装法を、クローズド仕上げ、
又は、鏡
面仕上げといいます。
一方、中途半端に塗ると、木目を若干残した状態で仕上がります。
完全に木目が塗料で充填されないからです。
この様な塗装法を、セミオープン仕上げと
いいます。
更に、塗装を少なくすると、木目が十分に出た仕上がりとなります。
このような塗装法を、オープン仕上げと いいます。
クローズド仕上げとするためには、木の木目の状態にもよりますが、
ウレタン系サンディングシーラーでは、3回以上の塗り重ねが必要です。
一方、ポリエステル系サンディングシーラーでは、塗料の不揮発分が
高いので、少ない回数で鏡面仕上げが可能です。
但し、ポリエステル系は、使い方がウレタン系より難しいので、
慣れが必要です。
商品名としては、
ウレタン樹脂系
: ポリプラス SB920、
ポリプラス VS130
ポリエステル樹脂系: ポリエース
次いで、表面を研磨します。
使うサンドペーパーとしては、#240〜320程度です。
5)上塗り
次いで、仕上げとして、丈夫な上塗り塗料を塗装します。
塗膜としては、ウレタン樹脂系が最も多く使われます。
化学的にも、安定で丈夫だからです。
塗料には、艶ありと艶消し塗料があり、
艶の消え方により、
1分消し、3分消し、5分消し、7分消し、全消し
等があります。
なお、着色が不十分だったり、深みを出すために、
上塗り塗料に、若干量の着色剤を添加して、
「カラーリングクリヤー」として塗装する場合もあります。
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塗装は、スプレー塗装、刷毛塗り塗装
その他、ロールコーター、フローコーター
等があります。
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