慢性硬膜下血腫

慢性硬膜下血腫は、60-70才以降の比較的高齢の方に生じる、頭部打撲後の頭蓋内出血です。あまり聞き

慣れない疾患かも知れませんが脳外科医にとっては日常的に治療する疾患で、一般 に知っておいていただ

きたい病気と言えます。脳の表面は、硬膜、くも膜、軟膜の3層の膜におおわれており、硬膜下出血は、硬

膜とくも膜の間の出血をいいます。急性硬膜下出血と慢性硬膜下出血に分けられ、多くの場合、頭部の打

撲が原因となりますが、急性硬膜下出血が頭蓋骨骨折を伴うような強い打撲で生じる場合が多いのに対し

、慢性硬膜下血腫はごく軽微な打撲でも生じるといわれています。また原因が良くわからない場合もあり

ます。出血は頭部打撲後すぐに生じるわけではなく、打撲後数日から数週間で、少しずつ脳と硬膜の間に

隙間がで生じ、そこに血液が溜まってきます。血液量が多くなるにつれ頭痛や吐き気、手足の力が入りに

くい等の神経症状があらわれるようになります。この段階で頭部打撲より約4週間程度経過していること

が多く、症状が発現するころには既にかなりの量の血液量になり、手術が必要になりなす。手術といって

も、局所麻酔で、頭蓋骨に1〜2ケ所小さな穴をあけて、溜まった血液を洗い流す手術で、生命に関わるこ

とはほとんどないと言えます。ただ、治療が遅れた場合、後遺症が残ったり、再発率が高くなる可能性が

あり、適切な診断と、迅速な治療が必要です。比較的高齢の方が頭部を打撲した場合、医師としては常に

この疾患の発症を考え、数週間は経過を見ることが重要と言えます。