電気伝導度(率)で調べる産廃処分場の周辺環境への影響
産廃処分場問題で住民の一番の関心事は、産廃の汚水が飲み水や農業用水に影響を与えるのではないかということである。そして、その影響が住民の命や健康まで脅かすのではないかという点である。
私たちは、産廃処分場の周辺への影響をさぐるために水質調査の一つの方法である水の電気伝導度調査をおこなってきた。水は純水に近ければ近いほど電気を通しにくいが、そこに廃棄物などが溶けると電気が通りやすくなる。これを数値であらわしたものが電気伝導度であり、簡易な測定器で測ることができる。この数値を見れば汚染の広がりが簡単に把握できる。単位はμs/cm(マイクロジーメンス)であらわされる。
雨の直後の水溜りは18μs/cm(以下単位略)、何も汚染されていないきれいな谷川は50以下。生活排水が混ざると100を超えてくる。地質などによっても電気伝導度は変化すると思われる。桜井市では汚染されていない山間部でも130前後の数値を示す。いろんな場所で測定してみておおよそ次のことか言える。山間部では特に汚染源がなければ150以下、生活排水が多少混ざっても200以下の数値である。
ところが廃棄物処分場の周辺になるとこの数値がけた違いに高くなる。例えば、奈良市法用町の松谷建材処分場の放流口集水桝では6800であった。桜井市の中和営繕処分場の排水口では4300、室生村の大願興産処分場排水口下では2710であった。このように、多様な廃棄物が投棄をされている廃棄物処分場周辺では、この数値が異常な高さを示す。数値は処分場から離れるにしたがって低くなる。この数値を見ていけば処分場の影響がどの範囲までおよんでいるかがわかる。
桜井市の中和営繕産廃処分場の場合、安定型処分場である。安定型処分場はもともと汚水を出さないということを前提としてつくられている。ところが電気伝導度調査では、明らかに汚水を排出していることを示す高い数値となっている。もう一つの重大問題は、汚水の地下浸透である。処分場設置場所の地質は花崗岩の風化したマサ土で覆われており、廃棄物層をとおりぬけた汚水が、本来流れ込まないはずの寺谷川でも上流で522、
の異常な値を示している。米川に流れる小河川でも387、348と同様の傾向があらわれている。周辺の井戸水の数値も高くなっている。一刻も早く地下水の水質調査などを実施し、その原因と対策を講じるべきである。
電気伝導度を丹念に調べれば汚染源や漏水が容易に発見できる。しかも水質検査では表れない汚れも含めて総合的な汚染の進行度を早くキャッチできる。行政でも測定器をそなえ、処分場周辺の汚染防止につなげることが必要ではないだろうか。
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