三次元漂流記 2002
生まれたてほやほや仔犬 50KB [2月のモデル; たった今、生まれました!]
ステキチが連れて来た宿無し犬は、
キョンのおうちで出産した。
残念ながらと言うべきか、ステキチの子ではない。
小屋の床板を掻きむしっては嗚咽を洩らし、
苦しそうに2匹目を産んだ後、
暫くして落ち着いたようなので、
キョンの散歩に出掛けた。
帰って観察していると、
急に吠えて立ち上がり、3匹目をコロリと産んだ。
誰にも教えられずに、自力で産み、育てている。
母たる資格とは、持って生まれるものなのだろうか?
ヒトを含む現代の哺乳動物に於いては、
全ての雌が備え持つとは言い切れないと思うのだ。

□■■ Feb. 28th

クロちゃんはやっぱり死んでいた。
ステキチは3日位、捜すように歩き回っていたらしい。
そして、あの子のいつもいた場所の近くに座っていたんだって。
近所の人が「クロちゃんはもういないんだよ」と言い聞かせると、悲しげな顔をしたと話していた。
馬鹿げたことじゃない。
犬には、友の死が判るんだ。

遙かな記憶の薫る土の上 足跡を重ねる
「怖がらずにおいで」
振り返っては 頼もしい足取りで先を行く
追い付くまで待ってくれないのは
ためらわずについて行く私を信じているからだね

ピンと立った凛々しい尻尾がたよりだよ
草っ原の向こうにいても見失ったりしない
こわもてのギャングに出くわしても平気
でも 君がいなくなってしまったら
誰が導いてくれるの?
人間なんて
目の開いていない赤ん坊だよ

ねぇ、クロちゃん。
うちの母さんは、君達と一緒に暮らそうと思っていたみたい。
随分前になるけど、東京へ行く前、ステキチと君のことをお願いしたんだ。
可哀想だと反対したけど、犬は環境に慣れるものだから、と言って。
暫くして帰って来たら、お散歩用のリードが2本、増えていた。
君達が、つながれるのをひどく嫌がった、と、がっかりしてたよ。
私が病院に連れて行こうと首輪を触った時も、急に怯えたね。
ねぇ。
今夜は少し暖かいよ。
春が来る。
にゃんがそろそろ、土の中から顔を出すよ。
今度、命あるものに生まれる時は、みんなで虫になろうか。
人間の害にも益にもならず、美しくも醜くも、珍しくもない虫になろう。
てくてく歩いて、のんびり日なたぼっこをして、せっせと草を食べようね。


□■■ Feb. 27th

母犬のしつけを始めた。
新しいおうちで困らないように。
従わせるのではない、犬の言葉が判らない人間の為に、頭のいい犬の方に覚えて貰うのだ。
ステキチと仲良しになってもう4年か。
リーダーたる資格がどんなものであるかを教わった。
力だけでは誰もついて来ない。
信頼されるに足る存在であるか否か、それが全てだ。
これは人の世界でも同じ。

知恵とは、宇宙に対する畏敬。
力とは、勇気。
運とは、茶目っ気。
自然界で生き延びるのに必要な3要素。

知恵とは、二枚舌。
力とは、金。
運とは、卑しさ。
人間界で成功するのに有用な3要素。


□■■ Feb. 26th

まがい物は何も、芸人だけじゃない。
プロは一体、どこへ行ったの???

キラキラと瞳を輝かせて語る、ありきたりで大きな"夢"を叶えてあげたい......
判るけど、人の夢の中には入れないし、入りたがっているのはあんただけだから。


□■■ Feb. 25th

すっかり誕生日を忘れていた父上にケーキを焼こう。
足りない材料を買いに、歩いて行った。
クロちゃんがよく座っていた所を通って。
ステキチと一緒に、旅立つ私を駅まで送ってくれたよね。
背の低い影が動いていないかと、いつも探してる。
尻尾の先の白い、ふさふさした黒い毛の子じゃないかって。
今日も、もしかして...... と思って。

母犬のお腹に群がるモグラ達。
2日で体重が倍になると言う。
もう3日経ったが、寒そうなので量っていない。
大きくなったのは確かだ。
梅図かずおの不気味な漫画のように、這い回っている。
8日目位から、立てるようになるらしい。
お願いだから、あんまり可愛くならないでよね。

キング牧師のような"夢"を語る人は少ない。
みんな自分のことばかり。
いちいち感動できないのは、年寄りだからかもね。
世界の事が、地球の事が気にかかる。


□■■ Feb. 24th

夜中に小屋を覗きに行った。
入り口近くで子供達が、うにゅうにゅと鳴きながら重なり合っていた。
奥では、人なつっこい捨て犬の顔に戻ったお母さんが、ひとりで丸くなっていた。
ダメじゃん。
お腹の辺りに子供達を置いてやると、思い出したようにママを始めた。
頼むよ、ほんとに。

編曲を自分で出来ない人が、曲を"書く"なんて言うから笑ってしまう。
一体、何を"書く"んですか???
インタビューに答えるだけで"伝記"が"書けて"しまう業界の専門用語かしら???
曲作りとは、オケ作りであると言っても過言ではない。
この世界、昔からの人材不足の事情は判っているが、基準が甘いにも程がある。
ミュージシャンの出発点は、音楽に対する敬意だと思うのだが、どうだろう。

「スター隠し芸大会」
なんだ、隠してんのか。

歌手を志すことは医者を志すことと同じ。

朝の5時に起こされた。
トイレかと思ったが、違うらしい。
隣の子がお散歩に出掛けるからか。
ご飯をがつがつ食べて水を飲み、小屋に戻って子供達のお尻を舐めている。
いやぁ、大変だ、引き取る人。
大変なのはむしろ、引き取り手を判断するあたし。
家の中を糞尿だらけにされて、睡眠時間を奪われても平気な人でなきゃ。

自分の信ずる音楽と商業性との板挟みになって自殺した、
とされる人気ロックミュージシャンについて、
コメントを求められた、あるベテランギタリストの言葉。
「どうせ、薬か何かだろ。本当に芸術がやりたければ、発表しなければいいんだ。」
冷徹なまでに正しい。
音楽に甘えるな。
本物のミュージシャンだからこそ、そう言える。


□■■ Feb. 23rd

キョンに教えられて、表を見に行った。
コンクリートの上に転がって鳴く仔犬を、母犬が懸命に舐めていた。
こんなに早く生まれるなんて!
ステキチが、道路の向こうに寝そべってこっちを眺めている。
君達は、生命の誕生に敏感だな。

キョンの為に作ったのに、よその子ばかりが寝泊まりしている檜の小屋。
2匹目以降はここで生まれた。
最初の子は、コンクリの上で産んだのか、それとも、小屋から転がり落ちてしまったのか???

犬のお腹から白い玉のようなものが覗いた。
出て来た仔犬は、液に守られ、皮に包まれていた。
宇宙服みたいだ。
母の体の中は、やはり宇宙。

苦しそうにしている母犬を見て、祈った。
同じく雌犬だったニャン、ピヨ、助けてあげて。
小屋の入り口で、優しく歌ってみた。
元気な子が3匹、無事に生まれた。
ありがとう。
頑張ったね。
昨日まで仔犬みたいだった君は、もう母の顔。

2匹目を生んで暫くしてから、落ち着いたようなので、
仔犬が落ちないように段ボールで小屋の入り口に敷居をこしらえて、キョンと散歩に行った。
帰りに、3匹の子を産んだばかりのチェリーに会った。
ひょうひょうとしていた。
キョンが近付くと、ガウと怒った。
君達は凄いな。
ひとりで子供を産むんだもんね。
えっ、当たり前だって???

2匹の子に授乳している最中、急に苦しそうな声で吠えて立ち上がった。
訴えるように私の手を咬んだ。いや、実際は触れただけだった。
犬は、恐怖や苦痛から、人を咬むことがある。
お尻から、3匹目の宇宙飛行士の頭が覗いている。
2匹目と違って、すぐに生まれた。
み〜んな、焦げ茶色。
ねぇねぇ、お父さんはどんな犬?

数日前の夢の中。
いつもなら不注意で死なせてしまう生き物を、助けることが出来た。
2羽の鳥だったように思う。
何かのサインだったのだろうか。
私は相変わらず、他の人達同様、ダメな動物だけれど。

何かできる。きっとできる。
望みが無いなんて言い訳は通らない。


□■■ Feb. 22nd

クロちゃんが死んでしまったという噂を耳にした。
この寒い時期に。
ほんの一ヶ月前に逢った時には、頭よりも大きな癌を抱えながらも、まだニコニコしていた。
あの子に笑顔を貰った我々は、お返しひとつ、してやれなかった。
あの子も、何も要求しなかった。
ただ、生きた。
果てまで、生きた。
生き物として当たり前の姿勢を貫いた。
真の知恵とは何なのだろう。
他人の建てた家の中、暖かい毛布にくるまって眠る我々には、判らないことかも知れない。
きっと、語る資格もないのだろう。

ありがとうって言いたいのに
もう いないんだね
奇蹟なんて起こらない
サンタクロースはやって来ない
苦しいよって泣かない子のところには


□■■ 〜 Feb. 20th

独りでいると、現実が目に突き刺さる。
真実を睨んだままでいるには、気晴らしなど無い方がいいのだろう。
充血を無理に取り除く目薬みたいなものだから。
幸せでなんかいられない。
こんな世界で、幸福なんて感じている場合じゃない。

可愛そうな動物を引き取る顔をして、店に売り飛ばしたり、実験に使ったりする人間達がいるらしい。
自分が別人種だとは言えない。
動物用の薬を使ったことがあるのなら。
家畜か、奴隷か、いけにえか。
あたかもヒト以外の生き物にはいずれかの道しか無いように。
地球は何の為に回っているのだろう。
雪解けも光合成も、とうの昔にその意味を失った。
こんな人間なんて怪物を、どうやったら本気で愛せるのか、誰か教えて欲しい。

他人に厳しくするのはとても難しい。
本当のことを言うにも勇気がいる。
とても自然にそれらができる人もいるけれど。
自分がダメだから人にも甘い、利用したいから大目に見る、そんなのは協力とは言わない。
寄りかかり合い、堕落して行く輪に溶けたくない。

野良犬は待っていた。
もう、みんな眠ってしまったかも知れない家の門の前で、
夜風に凍えながら、時折、困ったような声をあげて。
今日も待っていた。
誰が帰って来て開けてくれる訳じゃない門の前で、
雨の中、いつ開くとも判らない扉を見つめて、じっと、ただ待っていた。
忘れられたんじゃない、君が来るから鍵が閉まっているのに。
妊娠しているからと閉め出した、昨日までは暖かい寝床を貸してくれた家。
同じ理由で棄てられたのかも知れない野良犬は、きっと一晩中だって待ったのだろう。
だからこそ、今日まで生きて来たのだろう。
善良な生き物。
懸命に生きる。
生きる為に、生きる。
ひたすらに、善良な生き物。

かすみを食らい、夢を売る。
かすみで腹が持たない者は、魂を売る。
夢を食らっている人が商売を始めると、かすみぐらいしか売るものが無い。
今日もかすみに長蛇の列。
あ。切らしてたっけ、うちも買いに行かなきゃ。

大股で進むか、セコくちょこちょこ行くか......
選択が難しい。
同じ道でも、その歩幅によって結果がかなり違って来るから。
大事なのは、どこを目指しているかということなんだな。
目標の地が見えているなら、大きく踏み出してみるのもいいかも知れない。

ただいまぁ。
小屋の中に茶色い顔がふたつ。
これまた茶色いうちの子は、裏庭で鳴いている。
とことこ出て来たのは、ちっちゃな口の見知らぬ子。
首輪はしていない。
初めて見る私を、ぴょんぴょん跳ねながら観察する。
遅れて、ぬーっと出て来たのは見慣れた、落ち着いた大きな体。
少し太った?
ねぇ、ステキチ。
この子、、、、、、どうしてあげたらいいの???

極上。
人にとっては並なのかも知れないけれど、とにかく最高級。
違いが判るのか、イマイチ判っていないのか、よくわからないけれど......あたし。

耳の良し悪しとは、2つの音を聞き分ける能力を言う。
比較すべき絶対的な基準に対して、或いは、実際に2つの音を並べて、
演奏家ならば2つの音の高さの違い、エンジニアであれば2つの音質の違いを判別することだろう。
良い録音とは。
理想的な音が既に鳴らされているものとして、
それを如何にして、そのまま記録するか、ということを指すのであって、
決して、機材で尻拭いすることを言うのではない。
ここに一台のハードディスクレコーダーがある。
音が悪いと言われているが、実際に悪い。
エンジニアリングに関しては大した知識の無い私にも判る。
何故なら、マイクやコードや、セッティングなどに原因を探す必要もなく、
直結した電子楽器の音が、input から output を通してこの機械を通過するだけで、
音楽になど全く興味のない人にも判るほど、劇的に音が変わってしまうからだ。
デジタル故に、更にここから音は変えられて行く。
これで"いい音"を本気で追求しようという人が少なくないみたいなのだが、困ったものだと思う。
あんたたちは、一体、何がやりたいんだ???
エフェクターとして使うのであれば、話は別だ。
私は正直言って、どんなに金を掛けた最近のCDよりも昔のレコードが好きだ。
レコードは音が温かく、などというのでなく、単に演奏されている音楽そのものの質が高いから。
音楽も音作りも、あさっての方へ爆走して行く。
本当のプロは、全部、判っていてやっているのだろうが、
そのうち、金の為と割り切ってでなく、本気でそれをやっている人が業界に溢れる時が来る。

音楽は絵画と同じ。
「幼児でも描くことが出来るが、売りさばくにはプロの手が必要」
近頃は internet などの影響で、他の分野もそうなりつつある。
機械が、退化する人を置き去りに進化する。
猿より賢いつもりでいる人、
科学技術の氾濫する国に生まれたからと言って、自分が優れていると勘違いしている人。
物事の悪化のグラフは放物線。
気付いた時には、手遅れだ。

楽しく暮らそうと思えば、幾らでも楽しく暮らせるみたいだな。
そうすることに意味を見いだせたなら、努力するだろう。
充実感が、楽しさに比例しない。
仕事の質も、精神状態に左右されるもんじゃなし。

チーちゃん。
今日も思い出していた。
長くて綺麗な黄色い尾。賢そうなルビー色の目。
おまえが大きな空へ飛び出してしまった後、ずっと名前を呼びながら探し歩いた。
あの時、私のどこかで時が止まってしまったんだね。
毎日のように思い、心配するのはあの時のおまえ。
気のいい雀達と仲良しになって一緒に眠っているといいけれど。
淋しくない?
寒くない?
おなか空いてない?
鳥になったおまえは私のことを覚えていたろうか。
今、何になってる?
私はあの姿のまんま、体が大きく、理屈っぽくなっただけで、
未だにおまえの出していった宿題ができないでいる。

探していた訳でもなく むしろ
避けて通っていた 見ぬ振りをしていた
安らぎというもの
こんなところにあったのか
こういうものだったのか
素直に 自然に 当たり前に
受け入れてもいいんじゃないかと思えるのは
気負わなくても崩れ落ちないという自信が
作り物でも頑丈な外殻が
生まれてきたからかも知れない

極楽は地獄にこそある。
快楽だけを求める人は、結局は何も得られないだろう。

せめて正直でありたいけれど、なかなかそうは行かないもんだ。
どうすれば、これ以上、ひどくならずに済むのだろうか。
雲を見上げて、ぼーっと寝転がってみるか。
何が見付かる訳じゃないんだろうけど。

大人になりたいと思った事もなければ
子供のままでいたいと願った事もない
時の間をさまよう クラゲにならなりたいかな

残りの欠片を見付けたとき
そのとき 初めて
それまで半分であったことを知る

ヒトが嫌いだからと言って
猿の群れに紛れ込める訳じゃない
せめて 土は抱いてくれるだろうか
せせらぎは溜息を聞いてくれるだろうか

草の香りにのびをしながら口ずさむ歌が懐かしいね
そよ風がなでる髪が つやつやと綺麗だね
木々の洞から 動物達が顔を出すよ
足下の小さな黒い塊は
君が朝 おはようを言った
ありんこだ

君達に会うのが何よりも楽しみで
君達に会うのが何よりも怖い
君達はいつも たくましく善良で
私は君達のように善良には生きられない
侵略者の仲間だから

天使のような赤子よ
無邪気なお前に笑みを与ようと働く父を
お前は汗臭いというのだね
無力なお前を守る為に闘った母の手を
血生臭いと罵るのだね
お前が赤子のままでいる限り
代わりに誰かを汚して行くのだよ

どうでもよくない
知ったこっちゃないし
もう沢山だけど
使命などでもないけれど
他の人には無理だから
やっぱり 一生こうだね

間違いだらけの歴史のファイル
だれがこじ開けたのか アクセス自由
どちらへ向かうも決断しだい
さぁ 今のうち
望みを託されたあなたは
修正するどころか 自分の名を書き込んだ
英雄志望のにわかファシスト
間に合ううちに その野心ごと
ざっくり消去してあげようか

鈍い訳でもなく
嘘つきな訳でもなく
利己主義でもない
そんな人間を怖がる人はきっと
その人の良心を怖れているのだろう

寝て、起きる。
夢はとうに忘れた。
悪夢は夜に置いて来た。
陽は実体のあるこの体だけを照らす。
風は何も運んで来ない。
当たり前の時間が戻って来た。
他の誰もと同じように、自分の為に存在する権利が戻って来た。

日本人にはR&Bなんて出来ない。
......という言葉の意味を理解できない人には、絶対に出来ない。

「やれば出来るんだけど」と自分で言う人は、まず何も出来ない。
能力のある人間は、決して言い訳しないものだ。

君のいけないところは、このままじゃダメだと気付かないところだ。
何かと弁解をする、何でもいいように取る。
私のいけないところは、既にどん底だと気付いているところだ。
気付いているのにどうする気にもならない、この無気力はどうしようもない。

桃ネクターにおぼれてふやけた勾玉のような月。
面白い形、面白い色。
何も意味していない。
見る者の心の中の何を象徴する訳でもない、あの月に見入る。
ただ、珍しくて。

醜いものの醜さを見抜くことが出来るのは、己の中に同じものがあるから。
美しいものの美しさを見いだすことが出来るのは、己の中に同質のものがあるから。
必ずしも醜いものを嫌いはしないし、必ずしも美しいものに惹かれはしない。
身の回りに、未知の本質を持つ存在は少ない。
未知なる部分に気付くことが少ない、というべきか。
本当に新しいものに出会った時には、ただ衝撃だけがある。
分析に必要なデータが無い為、頭の中が真っ白になってしまうのだ。

さばいばる......
スリルを欲しがる安全な人々

ハンターごっこがしたいなら囲いの中でしな
銃を持ったボディガードを従えて森に入り
自然と闘った気分になるなんて
手作りのちゃちな矢を手に命を張っている人間達に失礼だ
邪魔だからどいてな
薄っぺらい胸を貫かれたって文句言う位なら

力が抜ける。
何が変わった訳じゃない。
相変わらず本物を求める人はなく、
求める者のないものを配ろうとする人はなく、配る場所のないものを作る人もない。
らせんを描いて落ちて行くその環の中に、依然として私はいない。
巻き込まれて行く友を見ながら、途方に暮れる。
私には関係のない事だけれど。
ビジョンを欠いたプロパガンダ。
主導者のいないファシズム。
私は君の手を握っている事で精一杯。
たとえそうでなくとも、誰かを助け出す義理も無い。
背中の荷と共に翼を棄てた者には、もはや空を見上げる意味すら無いのだろう。

下を見ればキリが無い。
横を見ても意味が無い。
人間というのは、100点目指して80点しか取れないもんだ。
世代を経て、堕ちて行くのは当然なのだ。
"神"を目指すのは、実はとても正しいことなのかも知れない。
現状維持の為に。

金儲けの才能が無い人間は、至って簡単だ。
無いと判っている知恵を絞らずに、ただ信じるものを貫けばいいのだから。
売れるものを追って手にするものはと言えば、せいぜい虚しい一時の栄光。
たとえ一世を風靡したものであっても、時を経て振り返れば、懐かしさしか無いじゃんか。

やる価値のないことはすべきでない。
作る価値のないのないものは作るべきでない。
やりたい、やりたくないは別。
受ける、受けないも別次元。
意味があるかどうか判らないということは、意味がないということ。

運命なんて言い過ぎ
必然とは呼べない
偶然では決してない
出会いは 法則

編曲は創作であるということを知らないシンガーソングライター。
訳詞は作詞であるということも理解できない作詞家。
音痴は機械で直して貰うものだと思いこんでいる歌手。
信じられないが、こんなのがうようよしている。
裏方の人間達が日夜、泣かされる訳だ。
プロは仕方がない。仕事だから。
勘違いミュージシャンを嘲り、罵りながら、夜を徹して尻を拭うのさ。
情けないのは、生活のかかっていない、
まだ音楽について理想を語る余裕のあるプロデューサー志望者達が、
そんな連中に媚びを売ることを"プロフェッショナル"であることと履き違えていることだ。
アマチュアだろうが。
音楽がやりたいんだったら、余計な下心は捨てて、良心に従うがいい。
利害関係に振り回されず、純粋に本物を追い続ける特権を持つのが、アマチュアなのだから。

© K. JUNO ALL RIGHTS RESERVED.
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