三次元漂流記 2001
変な草 33KB [6月のモデル; 鹿面草?]
うちの庭にある草。

名前は知らない。

ある日、見たら変な顔して咲いていた。

鹿の顔に眉毛を付けたような妙な花。

雨上がりのおどけた表情に、ついカメラを向けた。

上品であでやかなつゆ色の花。

何故だか急に、粘土の臭いを思い出した。
油っぽい、頭痛を催させるあの臭い。
大嫌いだったあの臭い。

高温多湿を言い訳に
ねちょーっと癒着して
換気を怠って窒息してみようか
時にはナメクジのようにつややかに
適度にぬめって生きてみたいから

情け容赦無く狙いを定め
的確で鋭角的に行動する
ライオンでなくて良かった
二者択一の決断すら出来ずに
所構わず欲望を垂れ流し
万遍なく周囲を汚しながらだらだらと生きる
ヒトで良かった

石ころだと気付いていれば
落胆することも無く気ままに生きて行ける
自分を石ころだと知っていれば

溶ける。
真っ赤に煮えたぎりながら。
町を呑み込んで、君ごと押し流して。

長く家を離れた時のあの感覚に久しぶりに襲われた。
ニャンは元気にしてるかな?
........馬鹿か。
とうの昔に死んでしまっただろ。
一瞬の後に訪れる答えに、どっと疲れさせられる。
必要とされない気楽さに慣れた筈だったのに。
命を賭けて守るものの無い身軽さに。

死の際に。
抱き締めても少しも楽にさせてやれない事は、傍にいてやれない事よりもずっと辛いと判っている。
たまたまではなく、どこにいても救ってやる力など無かったのだ。
後悔でも自責でも無く、絶望を与えて欲しかった。
他の可能性を考える暇すら与えられずに、一気に裁かれ、地獄に陥された方がましだ。

流して下さいな
どぶ川にでも
便所にでも
多分、泳がない
抗い、浮かぼうとなんてしない
いさぎよく溺れて行くから

揚羽蝶がひらひらと舞いながら、慌ただしく蜜を吸っている。
ほら、オレンジのグラデーション模様!
参ったな。
又、おとぎの国に迷い込んでしまったみたい。

勿体ないね。
コップから溢れる水はどこかに溜めておきたい。
せめて、もう少し欲張りになれたらいいのに。

宇宙が明日、失くなってしまっても構わない。
時の終わりが今すぐに訪れてもいい。
生まれたばかりの赤ん坊には悪いけれど、いつもそう思っている。
もしかしたら昔から。

橋の上に立ってせせらぎを聴こう。
川面に映った街灯が長くさざめく。
昼間見るとただのどぶなんだけど。
起きているのか眠っているのか判らない街を、少し歩こう。
白く照らし出された建物。動かない電車。
まるで薄闇の中、懐中電灯を片手に昆虫を観察する子供たちのように。
三日月が縁をにじませながら雲の間を泳いで行く。
今、君んちの屋根の上にいるね。

潜在能力。
とてつもないものを秘めていても、本人或いは周りの人間に引き出す力が無ければ宝の持ち腐れ。
日本の音楽業界には勿体ないおばけが出そうだ。

いつでも馬鹿になれるけれど、決してハメは外せない。
とてつもなく非現実的な思考を、いつも理性的に操ろうとしている。
ただの夢想癖よりタチが悪い。

余りにも美しいものを見た時には、体を寒気が走る。
少し気の遠くなるような感覚を伴って。
醜いものを見た時にぞっとするのに似ている。

殊更に自分の財産を否定することは、傲ること、開き直ることと同じ位に良くない。
冷静な観察眼を失い、自らの成長を止めてしまうという点で。

どこかから音楽が聞こえるって???
.......ちゅん、ちゅん。
うん。
「いい加減におやすみ」っていう歌かもね。

厠みたいな心。
自分一人で満員。
一見、つまらなそうだが、便利なことこの上なし。
つまらなくもないか。
貧乏人には僅かなパンもありがたい。

いかん、オーバーロードや......
そら魚を身ごもった夢も見るっちゅうねん。

日本語ヘンやね。
"シンデレラ"は、長い苦労の末に、不幸から救い出される娘のお話。
大した努力もせずに望みの叶うことを夢見るのは、"のび太ガール"。

夢だよ。
何をやっても、醒めたら跡形も残らないんだよ。
判ってるよ、んなことは。
明日は気持ちよく目覚めて、新しい事をしたいんだよ。
それだけ。

いたずらして
はしゃぎ回って
笑い転げて
疲れたら
冬眠してしまえばいい
春が来ても目覚めずにいれば飢えることもなく
氷の下にいれば腐ってしまうこともないだろう

こ、このまま、、、、、、
がっく〜〜〜と倒れ込んで、ZzzzzzZZZ........
て感じ。
いや、ダメだってば、今ここで耐えなくちゃ。

鏡に映った姿が不意に遠くなった。
何となく見覚えのあるような、無いような顔。
何じゃこりゃ???
ははーん、未来ってやつか。
大人になれたんだ。
自信に満ちた背筋と厳しい瞳。
長い髪が似合っていますね。
少し疲れていませんか。

時間を掛けたからと言って、必ずしも報われる訳ではない。
忘れた頃にようやく形になるものもあれば、無惨に流れ、消えてしまうものもある。
後の損得などいちいち考えてはいないが、今すぐに少しずつでも手応えを感じられる時はいいもんだ。
無駄かどうかなんて、死ぬ時まで判らないことの方が多いのだから。

地図は自分で作るもの。
全ての袋小路に迷い込み、自分の足だけを頼りに抜け出して。
新たな道を書き足して、空白を埋めて行くもの。

梅雨の晴れ間。
それはそれで暑いと文句を言うのだから、贅沢なもんだな。
太陽が少し陰ったら、次はどっちへ行こうか?
足下まで緑色の場所を探して。

家族連れで賑わう晴れた週末の公園は、正に人の為に作られた"施設"だった。
夕刻が訪れ遊び回る子供達がいなくなると、この間の鳥達が帰って来た。
侵入者の姿のままでは近付かせてくれない。
庭に花鳥風月をはべらせようなんて、下らない思い付きだ。
風景の一部に過ぎない。
何もかも。
誰も彼も。

現代文明人の支配する世界は、
所詮、不自然なものであるという前提に話を進めなければ、歪みはどんどん大きくなる。
"神の領域"など、既に踏み越えてしまっている。
新たなる聖域は、人類の欲と理性のバランスによって区切られる。

執念深い不運の星よ。
気付いているだろう。
私は逃げも隠れもしないと。
たとえ運命をその手に握られていると知っても、
お前に屈する事は二度と無いのだと。

命を救うこと、病を治す手伝いをすること、それらは医師の勤めである、それは否定しない。
だが、死にかけていることと、欲しいものを手に入れられないことは違う。
色々なケースがあるとは推測するが。
人は切なる願いを、生きている他人の体を借りてまで叶えるべきなのか。
その権利があると、断定すべきなのだろうか。
倫理的には試験管の方がましだろう。
生み出される子供のアイデンティティーへの影響は、どちらも似たようなものではないか。
加えて、説明・納得済みの筈の協力者の精神や、被協力者との人間関係に於いて、
後に問題が生じる場合が皆無では無いというのなら、
即ち問題の発生する危険が少しでもあるのなら、試みるべきで無い。
元々は無関係である筈の人間の権利を"賭ける"ということに他ならないのだから。
アカの他人の関係でさえもめにもめるというのに、腹を痛めて他人の子を産むのに、
感情がこじれない方が不自然である、それ位は医師なら気付いて欲しい。
たとえ、その時に本人が快諾したとしても。
どちらに原因があるにせよ、子供を持てないという事に対して社会の偏見があるのなら、
そちらを先に解決すべきである、との、いつかの新聞に掲載されていた意見に全く同感だ。
実際にその手の差別は残っていると私は感じている。
代理出産禁止。
このことに、それ程大きな議論の余地があるとは思わない。

良い出来事、悪い出来事。
大変な時、気楽な時。
まんべん無く分散させてくれっ.......てな気分だ。
メリハリはもうええから。
いや、むしろ偏っているとメリハリが無いてば。

細長い葉の上を流れる脈のように
水を含み
太陽から与えられた緑色を運んで
逆らうことも滞ることも無く
まっすぐに行けばいい
今はただ

物事に集中している状況は、電車に乗っている時に似ている。
本人には移動しているという自覚が無い。
集中すべき事柄が同時に幾つもある場合は、乗り継いで行ったり来たりする感じ。
ふと見回せば、見知らぬ場所へ来てしまっている。

最も美しいとされる時期は少し過ぎていたのかも知れない
誇らしく咲いたその淡桃の花の
日々枯れて行く様子に何故かほっとする
その陰につぼみを見付けた事よりも

時は流れるのではない。
無造作に引かれた幾本もの境界線を跨ぎ越すのだ。
自分の意志で。
或いは背中を押されて。

薔薇の園。
どこまでも続く芝生の青。
踏み固められた道の端の、名も知れぬ雑草のつけた花房が綺麗だ。

己と引き替えに何かが叶うと信じ込む程、若くはない。
身を投げ出した母親だって赤ん坊を救えなかったじゃないか。
苦しむピヨを、今すぐ代わってあげると念じながら抱いてなだめたって、助けてと呼び続けたじゃないか。
こんなに軽い命を棄てたって、何が変わるという訳では無いかも知れない。
結果のもたらされる保証が無ければ命を賭けられないならば、それは"覚悟"とは呼ばない。
そんなのは、もはや"賭け"ですら無い。

太陽をすっぽかして星を待とう
月から姿を隠して洞窟に寝そべろう
時など流れてはいないから
慌ただしく移ろいゆく季節の壁絵の前で
写真なんて撮らなくてもいいよね

安心して休んでいるみたいだけど
守ってあげている訳じゃないんだよね
楽しげにつついてくれるけど
君は痛くて食べられないだけなんだよね
カクレクマノミにそう言いたいけれど
魚の言葉を知らないイソギンチャクは
ちょっぴり悔しい気分のまま
どことなく嬉しげに手足をひらひらさせていた

人との対話を好まない日本人。
匿名なら何か言えそな日本人。
NETの普及は理想的な事なのかねぇ。
"出会い系サイト犯罪"の急増なんて、最初から見えていた結果じゃないか。

明らかに目の前にあって、感触もあって、臭いもあって、
ど〜〜〜考えても実在するものの筈なのに、全く現実感を伴わない景色。
いつからだろう???
ずっと昔からだったような気もする。
"子供時代"を抜けてからずっと。
現実というもの自体に現実感を求めていなかった、それだけの話なのだ。
別にこれでいっか。

こんなに悪人でいいのかと常に疑いながらも、
依然として、善人たることに少しも興味を持てない。
これ迄に善い人など現れたか、助けてくれたか.........
そう考えると、何もかも胡散臭くて仕方がないのだ。

国の長があれこれ発言するもので周りが"大変"なのだとか。
"周り"ってアンタ..........
まさか時給600エンやら日雇いじゃあるまいし。

エンジェルでもキューピッドでも
神でも予言者でも
超人でも救世主でもなく
いつもロクな事をしない
そいつはドラえもん

人間という生き物は所詮、醜い。
他人より少し清いだけで何の意味がある。
人間という生き物は所詮、愚かだ。
他人より少し賢いだけで何の意味がある。
人間という生き物は所詮、のろい。
他人より少し速いだけで何の意味がある。

"絶対"。
目指す意義のある唯一のもの。

美しさといういい加減な尺度について考えてみる。
顔にアザのある者は美しくなれないのか。
片足を切断せざるを得なかった者は美しくなれないのか。
たまたまその時のその土地の流行の姿形に生まれ落ちなかった者は美しくなれないのか。
だとすれば、そんなものは私の眼中には無い。

強さとは。
見せびらかす必要の無い境地に達して初めて完成するもの。

"人"に触れる度に"人"への興味が失せて行く。
本当に同じ種の生き物なのだろうか。
そんな疑問さえ、笑い飛ばせないのだ。

悪魔が天使に出会い
天使が悪魔に出会い
重なり 溶け合い
混じり 与え合って
やがて分かたれ
ふたつのヒトとなった

生存競争に於けるルールとは。
強い者が生き残る。
賢い者が生き残る。
幸運な者が生き残る。
他にあるのか。
あるべきか。
武器を振りかざす者。
弱い振りをする者。
ずるい者。
彼らが守られるべきか。
そうなってしまった社会は進化したと言えるのか。
現代文明社会は勿論自然ではなく、かと言って平等でもない。

善良であることとは。
人の役に立とうとすることではなく。
人に迷惑をかけないように勤めること。

日中の少し暖まったアスファルトの上にでも
こぼれたことにして
ベターっととろけて
くっついてしまわない?

雨は嫌いではないけれど..........
梅雨の晴れ間は、何だか得した気分。

母は娘に首飾りをつける
美しく生んだ筈の娘に
美しくは育ってくれなかった娘に
本当は何になれたかを教えようとするかのように
母は首飾りをつける

咲いていた
それはそこに咲いていた
隣でそれは枯れていた
その影でそれは膨らみかけていた

雨の平日の電車は、思いの外、込んでいた。
目の前でくるくると巻いてしまわれる折り畳み傘を見て思い出した。
昨夜のほうれん草のおひたし。
この気温なら冷蔵庫に入れなくても良かったかな。

世界には2種類の場所がある
君のいるところ
君のいないところ

梅雨入りしたそうだ。
雨は好きだ。
雨の音を聞くと何故か落ち着く。
いや、何故かは判っているけれど、とにかく好きなんだ。
外出や洗濯が面倒だけど。
どんどん好きになる。

その子の為にも。
ここで倒れる訳には行かない。
がっかりさせてはならない。

えっ、そんな大胆な事もできるの?!
時の鏡の向こう側で、あたしにそっくりな子供が目を丸くしてる。
そうみたいだね。
あたしもあなたと同じ気持ち。
感心するやら、呆れるやら......

「気持ちは要らないけど、物だけ貰っとくわ」
欲張ってないで返してやりな
物と一緒に気持ちも持って帰って"初期化"して
明日、別な女にプレゼントするんだろうから
そいつは君の為に死にはしない
君が誰の為にも死ねないように

死人に脈があるという話。
相手の脈だと思い込んでいたのは、実は指先の自分の脈。
ほら、布団にも脈があるでしょ、と医者が言う。
なるほど。
脈に限らず、そういう錯覚は多いらしい。

ばか笑いがステキだね
今日は何をして笑わせようか
お馬鹿な私は

泣きたい時って笑わない?
腹筋の動きがとても似ているからね
笑ってはいけないのに笑ってしまう時は泣いているふりを
泣いてはいけないのに泣けてしまう時は笑っているふりをして
ごまかすといい

布団を干して
水槽の掃除をした
真人間な一日
かっ食らってパッパラパー!

あれからもう一ヶ月になる。
書いておかなきゃ、山麓散策記。

山の麓の道は一月前とは変わった顔をしていた。
入り口では精霊達のショッキングな洗礼が待っている。
雑草の、緑に黄やオレンジの混じった絶妙の色合い。
人の役に立っていない土地を"荒れ地"と呼ぶのだろう。
それは人里よりもはるかに美しい。

きいろ虫。
あの、黄色い服を着ているとすぐにたかってくる、
小さなちいさな蠅のような虫を勝手にこう呼んでいた。
見たところそれと形と大きさが全く同じ虫が、藤色の花をつけた葉の上を歩いていた。
透けた羽に、何と紅色の体。
血を吸って赤くなったのとは明らかに異質な、東洋の朱の色。
朱雀だ。
少し前に明日香で発掘された、壁画の朱雀を思い出していた。

野苺の実が沢山なっていた。
こんなに身近にあるなんて!
楽園。
蝶達の、恋の舞というには強引なダンス。
鯉の池に浮かぶ菱の実。
うっすらと桃に染まった細い花びらの草。
かなわない。
美しいものを作り出そうという人間の必死の努力が、何とも虚しいものに思えてしまったのだ。

自然とは何とも不思議に満ちたものだ。
不思議なものがあることを不思議だと思うようになってしまった、
現代の生活がおかしいのだろう。

何だか訳わからんがこれでいいのだろう。
いや、良くはないのだろうが、私は良しとしよう。
良しとできる人は多くはないのだろうが。

浮き沈みとは言わないな。
私の居場所は最初から泥の中。
たまに少しは浮いてみようとする。
魚の真似事などしてみたりする。
ちょっとした道楽だね。

丸腰で生まれて来た事を思い出せば何てことは無いんだよ
寄ってたかってほじくられることも今は拒んでいい筈だから
ただの一文無しでいられるなんて夢の様にラッキーじゃないか

蛍が何か囁きかける
何?
私、そんなに淋しそうだった?
大丈夫だよ ありがとう
私は根暗なの、それだけ

空には桃のような月
月の好きな訳
都会の空には、月とオリオン座ぐらいしか無かったからかな
ビール瓶のラベルが青い空に浮いているのが不思議に見えたもんだ

落ち着いてみる。
気分を昂揚させてみる。
器用なカメレオン。

蛍を探して歩いた。
"何とか分水"の開く前だから、いないだろうと言いながら。
道を間違えながら歩いた。
畑の横の茂みに黄色く光るもの。
........いた!
何十匹と。
飛ぶ姿が何ともあでやかだ。
向こうから来た親子が嬉しそうに捕まえていた。
後ろからは、虫取り網を持ったおじさんがやって来る。
蛍のはかない美しさと同時に、それとは対照的な、人間のなさけない本性を見せられた。

あの一匹の蛍が飛びながら優雅な光を放っていなかったなら、
親子連れは気付かずに通り過ぎたろう。
伴侶を見付ける為の愛の光が、その主と仲間を危機に陥れる。

光るな
貪欲な生き物の前で光るな
飢えを知らぬ卑しい獣の前で
光るな

強気な発言は自分を追い込む。
強がりは闘っているという事。
自分に荷を課す事が出来る人は好きだな。

何だか違う。
全然違う。
何となく、これでいいような気もする。
理想から離れたものを望んでしまう事もある。
毒を望む子には与えないのが一番いい。

薄情な人の甘え声って可愛いもんだな......
困ったもんだ。

雀の言葉を少し、覚えた。
雀は私の言葉を覚えてはくれないけれど、いいじゃない。
私の声に反応してくれる。
呼びかけに答えてくれる。
それだけでいいじゃない。

© K. JUNO ALL RIGHTS RESERVED.
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