三次元漂流記 2001
闘病魚 28KB [5月のモデル; 闘病中のパールちゃん]
薄いピンクの体に、透けた青い光を放つ不思議な夢色ライン。
ネオンテトラの白変種、パールと名付けたニューゴールデンネオン。
控えめで神秘的な色合い、熱帯魚の中では最も美しいと思っている。
ネオンテトラは、一般に言われる程に丈夫ではないと思うが、
この魚も又、あまり強くはなく、知らない内に数が減る。
隔離病棟で治療中のこの一匹は元気の衰える事も無く、
快方に向かっている。
口をぽかんと開いて見とれてしまう。

カラスノエンドウを探しに行った。
ちょうど小学生の下校時間だったらしい。
ふ〜ん、この辺の子供って、畑の中の道を通って帰るんだ。
いいな。

何だかやる気なしモード。
どん底でもなく、はしゃぐ程でもなく、判断力、集中力ともに良いバランス。

無責任で不器用で
自分本位で冷たくて
"君みたいな人"はほんとに嫌い
君じゃなければ大嫌い

散歩帰りにチェリーに出会った。
振り向きふりむき、ついておいでとばかりに先導する。
いや、私、道知ってるし。
帰り着いたら、ドアの前にちょこんとお座り。
........あんたのうちは隣だよ。

悪気の有無と、罪の有無は関係無い。

こんな生活はやめた方がいい。
こんな一生ならやめた方がいい。
このままだらだらと進み続けるには大義名分が必要だ。
どこかに落ちていないだろうか。
インチキな、薄っぺらいのひとつぐらい。

無邪気な雀が愛しくて
今 虫をついばんだばかりの嘴に
猫の目を釘付けにしている尻尾に
優しく触れたくて
その残酷さと脆さに身を委ねたくて

山の中で暮らしたい。
熊と出くわさなかった事に感謝しながら、真っ暗な茂みで眠りたい。
人に出くわすよりは危険の少ない木の上で、星を見上げて笑いたい。

もう一々感情が動かなくなった。
これは"平穏"と呼んで来たもの。
取り戻した今、人里に降りたくない。
人間てやっぱりコワイもんね。

つぼみが開いたのは
心が閉じたから
開けっ広げじゃ危ないでしょう

振り出しに戻る。
絶望というところ。
明日、世界が終わればいいのに。
そんな毎日があった場所。
懐かしい故郷だ。
"だたいま"と言って後ろ手に扉を締め、鍵をかけよう。
留守にしていた書斎みたいなもんだ。
但し、もう何も盗ませはしない。
私は汚く成長した。
自分が何者か、今では判っている。

どんなに判り易い言葉を使う政治家であっても、その語彙は大衆のものと全く同じである筈は無い。
彼らの言う"平和"と、一般大衆の言う"平和"は、形は同じでも意味が違う。
別な言語であると言えよう。
如何に誤訳の少ない翻訳で意志疎通を図った上で実行するかが、
民の為の政治に於ける最大の課題ではなかろうか。

返事をしない人に話しかけるのって情けない。
てめぇなんて所詮はその程度の存在なんだ、そういう意味だろう。
存在を否定されること、それは最も耐え難いこと。

な〜〜〜〜〜んか..........
身を置きたい場所が無い。
帰るべき場所も見付からない。
楽しく生きたいと願えたらどんなに簡単だろう。

必要とされたいのではなく、必要とされない所にいたくないだけ。
道端でティッシュペーパーを配っているんじゃないんだから。

"清純派"と"清純"。
全く無縁な2つの言葉。

私が死んだら 遠慮せずに泣いてくれ
悔いなく生きたろうなんて言われたくない

今度、あんなに接近したらぶっ飛ばしてやる。
同情なんてしなくていい。
"君みたいな人"は大嫌い。

みんなおかしい。
ラリってる。
ちくしょう、私も真人間になってやる!

君の心は流線型。
よく見ると尖っているね。
重くて鋭いカンナの刃の様だ。
風の抵抗を受ける事も無く、向かって来るものは真っ二つにして行く。
切れ味が良過ぎて、気付く事も無いだろう。

元気そうだった。
私も元気そうだったらしい。
幸せそうだった。
私も不幸せそうでは無かったらしい。
相変わらずいい人だった。
いい人とはああいう人の事を言う。
ニャンの事を訊かれると、言葉に詰まった。
私の笑い方は全く変わらないらしい。
この距離でいるのが正解だ。
もっと早く互いを解放するべきだった。
結果的には、あのタイミングで良かったのかも知れないけれど。
改めて日々を数えれば、気の遠くなる程、昔の話。
結局、大した事は何も言わなかった。
月は昨夜よりも少し太っていた。

砂に頭を埋めてみたところで、問題は消えて失くなりはしない。
醜いものから目をそらしたところで、心は清くなどならない。
見たいものだけを見つめていている事が美しいのなら、私は汚いままでいい。
だって世界は汚いんだから。
真実を見据える力の無い人間ではありたくない。

美しさは、そのものを追い求めても得られない。
何故ならそれは結果であり、ひとつの状態だから。
飾り立てては虚しいお世辞しか手に入れられない女達。
本当は何が欲しいのだろう。

自分のことで精一杯になんてなれない。
世界と自分を見比べ、宇宙を観察しながら生きずにはいられない。
だから、自分の中だけを見て暮らすことなんて出来ない。
一生懸命な余り自分しか見えない、そんな生き方が出来たらいいけれど、私には無理だ。
もういいよ。
何がって、さすがの私もちょっと疲れた。
とにかく、もういい。

帰り道で白い犬を見た。
ニャンを思い出していた。
いや、思い出そうとしていた。
待ち切れなくて眠ってしまった。
ほんの数時間が、とても長かったんだろうね。
膝の上で見せるような、いつもの寝顔。
四肢を投げ出して、少し大きく見える体。
今にも起き上がりそうなのに、顔を撫でると毛が氷の様に冷たい。
今にも気付いて尻尾を振ってくれそうな、不思議な寝顔。

昨日より帰りが早く、空はまだ水色を残していた。
飴色の月は高く、天頂近く、荒れた海の様な空の合間から語りかけた。
「涙はおやめ、私がおぼれてにじんでしまう」

金粉を固めて作ったような三日月が、何も無い空にぽつんと置いてあった。
庶民の口には入らない、高級なお菓子のようだ。
気品に溢れた輝きを振りまいている。
全く誰の仕事か、見事なもんだ。
見とれていると家への道を間違いかけた。

暫くして、遊びに来たステキチを迎えに出ると、
今度はさっきの金からメタリックレッドの月になっていた。
時折、薄いうすい綿飴のような影に輪郭をそがれながら、
モノトーンの山の端に近付き、一層大きくなったそれは、如何にも"惑星のかけら"を思わせた。

あの月だって、自分のものになるかも知れないと思う人間がいるんだろうな。
愚かなことだ。
ガラスケースに飾って、客を招いて見せびらかして。

胃か心臓か、どちらかを痛めつけるとしたら、、、、、、
今は心臓を大事にしたいので、胃に泣いて貰おうか。

その人の"愛"は 健気などではなく見苦しい
惜しみなく与えるような顔をしては
くれるとも言わないものをくすねてばかり

犬を可愛がるように猫を抱こうとして
あっちへ行ってしまっても傷付かないで
だって猫だもの
おいしいご飯を用意して一晩中待っていて
帰って来なくてもがっかりしないで
だってその子は猫だもの

今、幸せかと問われれば、はて、どうなんだろう。
総合的にはYESかな。
物事には優先順位があって、その上位にあるものが○だと、その下が幾らダメでもハッピー。
逆もまた真なり、てか。
ま、こういう時期は人生で何度も無いから、素直に喜んどけって。
多分、その資格は充分にあるから。

......なのに、一体な〜にが気にくわないワケ?!
いつからそんなに我が儘になった?
貸しは貸した人からしか返して貰う権利は無いのに。

割ってしまおう
この水晶
お前がもっとお馬鹿で役立たずなら大事にするのに

バースデーパーティーを開こう
ケーキにろうそく立てて
派手に騒いで
主賓は家で寝ている
誰のお祝いかも知らない様子
めんどくさいってさ
いいの みんな酔っぱらって幻を見て
歌を唄って楽しんでいるから
誰かが勝手に開いたパーティーだから

大臣に"癒し"など必要ない。
タレントと政治家の区別もつかないとは。
しかも"系"って何やねん。
日本のテレビ番組の破壊力の凄まじさは、他国の追随を許さない。
細菌よりも強力な新時代の兵器として、国を挙げてその開発に力を注いでみてはどうだろう。

最近流行の"癒し"の意味がよく判らない。
それを求めている人達が、癒しが必要な程に自分を追い込んでいるとは思えないのだ。
鍛えていないからすぐに疲れるだけじゃないのか、そう言いたくなる。

大人になったんだな。
悪夢や白昼夢以外に夢がある事を知った今。
知っているだけで、持ってはいないけれど。

「欲しいもの」って何だろう?
それは、貰えるものなのだろうか。
或いは、拾うものなのだろうか。
大人になった私は、"作る"という手がある事に気付いていたらしい。

子供は純粋だ、大人は汚い、などと言うけれど、
燃やしてしまった方が良い子供時代もある。
子供は、大人が期待する程に無欲でも善良でもない。
大人が、自覚する程に賢くないのと同じ。

NET上で創作物を公開する人が急増している。
心配なのは、作品のパクリよりもむしろ、思想やアイデアのパクリだろう。
教養として誰もが知っている本や格言など、出所がすぐに知れるものは問題なかろう。
深刻なのは、ほぼ無名と言っていい人間の世界観そのものを自分の作品に移植したり、
共感した内容をそのまま自分の価値観として語ってしまう、文章に取り込んでしまう、
悪意が無くとも、日頃から著作物に対する意識を特に持たない人は、ついついやってしまうだろう。
返歌やもじりのつもりでそれをやってしまったとしても、
見た人には、説明が無ければ全くのオリジナルアイデアとしか映らないのだ。
著作権を保護する法は、世界観まで守ってはくれない。
創造という行為に対する敬意の希薄な日本人が簡単に作品を発表する場を得た今、
個人が如何にモラルレベルのマナーを守れるか、それが鍵になりそうだ。
表現の自由は無制限では無いし、決してあるべきでは無い。
創作の自由は、発表の場を失う覚悟があるのなら、無制限と言ってもいいだろうが。

地雷原に向かって行く。
必ずしもそこを通る必要は無いのだろう。
だからと言って避けることも無い。
そこにあるのだから越えて行く。
火薬の炸裂するよりも速く、爆風の中を夢中で走り抜けた後は、
次の場所へと突進して行かねばならないだろう。
気を抜くな。
勝負はむしろそこからだ。

天使よ
埃だらけの空へお帰り
ものにはそれぞれ 映える場所というものがある
お前の翼は近くで見ると思いの外 薄汚い
ひび割れた私の魂の方が余程きれいだ

やましい人は皆、小学生以下の言い訳を並べるという法則。
国会議員には、記憶の確かな人を選ぶべし。

戦の犠牲者に軍人も民間人も無い。
死者の数すら意味を持たない。
戦いがあった、ただその事実が問題なのであって。

沖縄基地問題には、民族問題が絡んではいないか。
日本が単一民族国家であるなどというたわけた発言が、
未だ知識人とされる人々の口からマスメディアを介して流れる。
島国の、方向を誤ったナショナリズムは今世紀も続いて行くのか。

現実の中に真実が存在しない。
だから行かねば。
寝言を言っている場合じゃない。
他でもない、私だから。

たったひとつと言わないで下さい
あなたにとって百分の一でも
私にとっては全部なんです
よくある事なんかじゃありません

雨風に耐えた殻を破り 自由を得たというのに
花たちが甘い蜜をプレゼントしてくれるというのに
舐めるふりをしては疑い 今にも渇いて死にそう
思いのままに操ることの出来るこの羽を手に入れても
体には醜い頃の記憶がしみ付いたまま

美しい羽だけ守って下さい
たったひとつの財産
眠っている間に誰かに盗まれてしまいそう
華やかな羽だけ愛して下さい
体とは別の意志を持った生き物
不思議な色合いの秘密はどうか覗き込まないで

"フリーター"なんて日本文化ならではの言葉だ。
たとえばアメリカ人に職業を訪ねたなら、
バイトだろうが社員だろうが、雇用形態ではなく、仕事の内容を答える筈だ。
「アルバイトです。」なんて言い方は想像できない。
実際にそれに正確に対応する単語は無いと思う。

ねぇ。わざと目をそらしている君に、知りたくない事を教えよう。
さっきから君の足は何匹もの蟻を踏み潰している。
見ていれば少しは避けられたかもね。
気付かぬ振りをして平然としている君は、罪の意識に頭を抱える君以上に見たくない。

悪魔がやって来た。
おやおや、そんなに物欲しそうな顔してたっけ?
悪いけど魂は予約済みだし、私の欲しいものはお前なんかの手の内には無い。
悪魔の癖に、そんな事も判らないのか?
それとも、悪魔の姿を借りた、ただの詐欺師かい?

孤独な人間は淋しいという語彙を持たない。
行った事のない土地が懐かしくないのと同じ。
思えば、そんな連中ばかりを友として来たような気がする。
何年も顔を合わせていない、一生会わないかも知れない、だが忘れる事はない。
互いに筋金入りだなぁ、なんて思いながら、どこかでばったり出会う偶然に期待している。

力説されても、この目にはありのままにしか映らないし、私はとっても付き合いが悪い。
何を信じようと勝手だが、押しつけるのは難しい。
真実は人の数だけ存在し得るのだから。

何だか面倒臭い。
人間を見ているより、虫や花を見ている方が面白いもんね。
誰かの恋の行方よりも、地球の明日の方が気になる。
こんな状態は、私が心身共に調子のいい印。

ねぇねぇ、もっとこっちに来て。
光が屈折して、君の顔がよく見えない。
ね、目の前まで寄ってのぞき込んで。
自慢の優雅な尾を見て。
もっとちゃんと見て。
せっかくだから暫く見ていて。
大丈夫、時々水をはねかけるかも知れないけれど、
グラスから飛び出す程の度胸は無いんだから。

何の為に生まれて来たのかって?
きっと凄いことをする為なのだろう。
たとえば、力尽きるまで生き、倒れて、墓地に花を咲かせる。
これは紛れもなく凄いことじゃないか。
限りある地球を包む、果てしない宇宙の流れの中の、小さな、大事な環に違いない。

相変わらず自分を好きになれない私が、
私の事を好きでいてくれる君の事は好きだとしたら。
だとしたら私と私は三角関係か。
ああ酔っぱらい......

この先に何があるという訳ではない
ただ 辿り着く為に行く
何かを手に入れる為ではなく

元気そうだと安心する 体中の力が抜けるほどに
たとえ昨日会ったところでも......
自分は無鉄砲で怖い物知らずな癖に
臆病で心配性で 勝手なやつだな

窓を木で塞ぎ 扉に鍵を掛けて
銃を懐に外の気配に気を配る
何も知らない君の笑顔を守る為に
私は何をしでかすのだろう
おやすみ
今はまだ微かな砲火の音がやがて近付き
君の眠りを奪う前に

現代社会に於いては、人並みに幸せな人に"超能力"は宿らないのではないか。
必要の無い能力は退化するものだ。
都会に暮らして視力が悪くなるのと同じかも知れない。
そんなもん存在しない、なんて益々言えなくなって来た.........

ヒトんちの浴槽に浸かってのんびりしている感じ。
お〜い、石鹸が無いよ。
ぬるいよ。
なんて事は言えない。
勝手に上がり込んで入っているんだからねぇ。

売られていく牛に芸を授けて
捧げられる羊にリボンをつけて
送り出される兵士に愛を説いて
それで満足か?
それで満足か?
お前は満足か?

後悔はするだろう
苦しみもするだろう
責任とは 振り返らない事じゃない
決断とは 悦びを確信する事じゃない

人間達が争っている間に
さらって逃げよう
おいで 七色の鳥
お前は誰のものにもなるべきじゃない

拒まないのは受け入れる気が無いから
接近を許すのは興味が湧かないから
毎日届く真っ赤な薔薇
受け取るのは毎日枯らすから
窓際に飾るのは花言葉を知らないから

するめになろうと思って
世間の人並みに肌をさらしても平気でいられるように
乾燥していく間はひりひりするけれど、それにも慣れつつある
甲羅は脱げると弱いから
生身を強くしておこうと思って

実をもごう
この身になった果実に手を伸ばしてみよう
真っ赤になる頃にはいつも鳥達のおやつ
日照り続きの今年は一番に口にして
笑顔で残りを分けてあげよう
渇いて枯れても あの鳥達は
よその木へ移るだけかも知れないけれど

飢えているなら
恐怖をお食べ
悲しみをお食べ
孤独をお食べ
味の割にはエネルギーになるもんだ

空き地で小さな猫がカラスにいじめられていた。
可哀想に。
うちの子もよく馬鹿にされてたっけ。
真上にある低い木にとまり、ニャンに向かって、わざと神経を逆なでするような声で
「ガァ〜〜〜〜〜〜、ガァ〜〜〜〜〜〜」
ニャンが怒って背伸びをしながらワンワン吠えると、
「届かへんやろ〜、アホ犬〜〜〜」
とでも言うように更に羽を広げて体を揺する。
ま........... ニャンよりは利口だったかも知れない。

庭の鳥
ワナがあると知っていて何故来るの?
この手に握った紐の端が本当に見えないの?
それとも 私がこの紐を引けないと
知っていて鳴くの?

独りきりのこの空間の果ては、壁の遙か彼方にある。
ずっと向こうで、誰かの宇宙の端と交わっているのだろう。
自分を信じる時、初めて自分を信じる誰かを信じる事が出来る。
そんな時の私はこの上なく楽天的。

強姦を"悪戯"と言うのなら、本来の悪戯を表現するには言葉を変えるべきである。
何故ならこの2つに共通点は無いのだから。
下半身は一人前で頭の中身は子供、そんな大人が増えていく。

迷子の子猫ちゃん
不安げな顔を見ると 実は私も迷ってると言えなくなった
君を抱っこして おうちを探そう
あんまり早く見付けないように注意して

現実に慣れて夢想を忘れる
夢想を忘れて逃げ場を失う

今宵も枕元で鳥が歌う
まるで精神安定剤
いつ尽きるとも判らないのに
その内 やめられなくなる

報われる歓びを手にする時......
この罪悪感は何だ?!
暗闇に光る無数の瞳は何だ?!
私は駆けたろう
挑んだろう
そのよだれは何なんだ?!

人間やめていいですか。
どうしようもないこの生き物を止める事が出来るのは人間だけだと頑張って来たけれど。
象ではいけませんか。
狼ではいけませんか。

親の教育。
社会の教育。
この2つがまともなら、学校の教育が悪くても何とかなるもんだ。
逆にいくら学校が頑張っても、家庭と社会がダメなら、何をやっても無駄だと思った方がいい。

この間の山道散策で思った。
もしも更正を真剣に考えるなら、受刑者の独房は四角い部屋でなく、原っぱであるべきだ。
あくまでも、もしもの話だが。
罰が全く必要でないとは思わないから。

カレンダーを真っ白にして。
君が訪ねてくれた日を記念日にしよう。
君が装いを変えたら季節に名前を付けよう。

厳しい.......生命とは何と厳しいものか。
今日、散歩中に擬態したカメレオンに丸呑みされなかったなら、
夜、眠っている間にフクロウにさらわれなかったなら、間違いなくラッキーだ。
その当然の環からはみ出して高等生物面をしている我々は、紛れもなく"自然界のモラトリアム"だ。
生き物失格、と言っても過言ではない筈だ。

万物は水で出来ている、、、、、或る意味、正解だったのかも知れない。

決意.......
そんなものが今更必要だということは、まだまだ揺れている証拠だ。
重い体を引きずって、呼吸をコントロールしながら行こう。
その内、ふっと軽くなる。

ぐいぐいとあなたを締め付ける
この体を縛り付けている縄を
一緒に切って欲しくて

淋しくなるとやって来る 気紛れな子犬
お腹が空くとやって来る 無邪気な子犬
今日もおいで
ふわふわの毛で 私を柔らかくしておくれ

苦労は必ずしも人を輝かせはしない.........か。
確かに。
世には笑顔の似合わない人もいれば、笑顔しか似合わない人もいる。
苦労の少ない人には得られない"深み"があれば、苦労し過ぎた人が失った"艶"というものもある。
どちらがいいとも言えないのが"芸"の世界、かも。

興味の無いものに対しては観察力が鈍くなって当たり前。
私だってそうだ。
どうでもいいビルの何階の何番目の窓の灯りが点いているかなんて、
誰がいちいち気にするものか。

糸を通そう
縫い繋げよう
失くなってしまった訳じゃない
真実の断片を縫い合わせよう

何が欲しい?
どれがいい?
希望に頬を染め あれこれ迷いながらも娘は知っている
差し出された写真のどれひとつとて
その男の持ち物ではないことを

みだりに 近付くな
触れて けがすな
騙して 奪うな
影達よ 忘れるな
ここに狙撃手がいること

知らなくていい 知らなくていい
砲弾の音など聞かなくていい
カーテンを開けないで
気まぐれな神々の去るまで
この子守歌でかき消しながら
抱いていてあげるから

人は何故 欲しがるのだろう
何故 誰のものでもないものを
誰かのものにしたがるのだろう
野の花を 美しいと思うなら摘まないで

カッコーがやって来る
手紙をくわえてやって来る
なんにも書いていないその手紙を
窓を開けて待っている

   君が鳥なら失格だ
   綺麗な巣を作り誘わない
   君が鳥ならオス失格だ

    君が鳥なら失格だ
    羽逆立ててべんちゃら言わない
    ほんとに鳥ならオス失格だ

     君が鳥なら失格だ
     メスと見るなり寄って来て
     優しくささやき歌わない

      君が鳥なら失格だ
      君は鳥なら失格だ

筒抜けさ
水晶の中から響く
邪悪な陰謀の声と声
さぁ 飛んでいって
首領の目玉をくり抜いておいで

"人に感動を与える"ことを目的とする"創作"は、
感謝されたくてする人助けに似ている。

人には貢ぐタイプと貢がせるタイプがあるように思う。
金銭や色恋に限られた話ではなく。
それはやはり変えられるものではない様な気がする。
与えたくても、その前に欲しがる心を抑えきれない者、
もう沢山だと思っていても、与えるのを止められない者。
そしてごく稀に、どちらでもないタイプというのもあるかも知れない。

君の足跡の傍の草むらに毒蛇の死骸
襲おうと待ち伏せしていたんだ
君が蜜を呑んだ花の横に蜂の死骸
仲間を呼びに行こうとしていたんだ
君の行く手に危険の死骸
決して指を触れされはしない
気付かないで進むといい
この手が汚れ続ける限り

見えているゴールを目指し、知っている道をひたすら行くのは虚しい。
決して平坦で楽なものではないのだけれど。
だからこそ、余計に虚しい。
まるで、大きくなったら何になりたいかと訊かれて"学校教師"と答えるようだ。
その事自体は、素晴らしいことかも知れない。
でも私は、口では先生になると言いながら、
本当はスーパーマンになろうと思っているような馬鹿な子供でいたいんだ。
どこかで崖を吹っ飛ばして、コースを変えてしまいたい。
誰も待っていない、新たなゴールを探しながら、体力の配分も考えずに全力で駆けたい。
そんな思いを抱きながら、心に爆薬をひそませて出発点に立つ。

おせっかいな召使いは
この宝の聖なる輝きに触れることも無く
洞窟の守り神に身を裂かれるだろう
城で盗人を待つ王女は
知らせを聞いて一粒だけ涙をこぼしたあと
新しいドレスに心躍らせ
目を輝かせて舞踏会へと出掛けるだろう

不思議の湖が手招きする。
また足をつけてしまっている。
何故? ........何故でもいいのか。
きっと理由なんてない。
泳ぎ出し、浮かんでいよう。
気の済むまで、飽きるまで、体がふやけるまで。
気楽にね。

君が笑わないと
私は笑えない
私がふさいでも 君は笑っているのかも知れないけれど
君が目を伏せているのに 私一人では笑えない

何だかんだと愚痴ってみても
我々は建物の中で暮らし
布団にくるまって夜を過ごす
就職難だと言っても飢え死にする奴なんかいない
どこに不幸があるんだ
哀れな人がどこにいると言うんだ

ね〜〜〜〜〜〜お願い。
あっち向いて。
ちょっとだけ休憩したいの。
重いけど我慢してね。
だらり〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん

春だって
芽が出たんだってさ
遅いね
今からゆっくり咲けばいい
みんなこの季節に飽きてきた頃だから
視線など気にせずに
好きな形で咲けばいい

あるべきものが、ようやく元あった場所に戻って来た。
もっと早く返して貰うべきだったのだが、まぁいいか。
少し時間が経ってしまったから、ちょっとしっくりしない。
移植手術後の拒否反応のようなものが起こっている。

結局、何も変わらない。
窓の外の景色が変わったところで、それが何なんだろう。
居場所が変わったところで、それがどうしたというのだろう。
泥の中で茶色くなっていても、草の上で緑に染まっていても、
この蛙はやはり同じ事を考えているのだから。

人生なんてどうでもいい。
地上に芽吹いた一生命として、ただ真面目に生きていたいと思う。

優しさがどんなものなのかよく判らない。
優しそうに見える人が、実際に優しかった試しが無いから。
厳しさだらけの私もまた、優しいなんて思えない。
どっちにしろ、どうでもいいもんなんだろう。
保身でも偽善でもない、真の誠実さとは無縁のもののような気がする。

何だか厭だな。
ほんとにシナリオみたいなんだもん、私の人生。
偶然にしちゃあ、あれこれ上手くつながり過ぎだよ。
誰か書いてるんでしょ?
いいオチ、頼むよ!
ちゃんちゃん♪

あの手紙は今頃 旅の車の上
せめて着くまで
この心が変わらなければいいけれど

激しい歌だからと言って、激しさだけで歌いたくない。
その感情が、狂気から出るものでない限り。

自分にラブソングを贈ろう。
たまには愛してやらなきゃ可哀想だ。
ほんのたまにでいいけれど。

悲しみでは決してない。その証拠に、
腹の底から笑っているし、こらえなくても涙が出ない。
痛むのは胃だけだし。

ステキチは格好いい。
顔に堂々と怪我をして、痛そうな顔ひとつしない。
半端に隠そうとする人間や、
見せびらかしたがる人間、
最初から逃げている人間とは違う。
こいつの前では、背中を見せたり出来ないな。

傷は弱点であって特権ではない。
盾にしては絶対にいけない。
卑怯な真似はすべきではない。

晴れ 時々砂漠
所によりオーロラ

"死の星"でも星そのものは生きているに違いない
人間とは何でもかんでも
無責任に名前を付けたがる傲慢な生き物だな

この馬を駆って いっそ逃げてしまおうか
いいのか? それでいいのか?
誰も追っては来ないから
その決断は本当の決断になるぞ

甲冑をまとった相手に生身で挑むな
お前はまだそれ程強くはない

ノックの音が聞こえたら
隙間からのぞいて
如何にも怪しい奴なら入れておあげ
気を許すことは無いだろうから
却って安全なんだよ

ナメクジの死ぬ様子を楽しげに語るのが文明人だと言うのなら、
そんな野蛮なものに仲間入りしたくない。

ステキチの目は優しくなった。
甘える仕草が可愛くなった。
出会った頃の厳しさ、裏切られた直後の疑り深さが薄れ、ずっとずっと暖かくなった。
昨日までの私もそうだったかも知れない。

君の刃が鋭いんじゃない
アザの真上だからだ
この血は君には関係ない

ボランティアという言葉が偽善的な響きを持つのだとすれば、
それは、助け合いの精神が如何に生活に根付いていないかということの証明だ。

さぁ、始めるぞ。
かかって来い!

曲作りなんて苦しいんだよな。
なんで又やるんだろう。
賢くないねぇ。

苦しみをいかが?
後悔をいかが?
幻をいかが?
マッチを売る方が儲かるかも知れないけれど
私の笑顔が売り物になる程にまぶしければいいけれど

カマイタチ
微笑む度に斬りつける

瞳をのぞいてどうするの?
涙が見たいの?
それとも
作り笑いが見たいの?
心はどこからも見えないよ
もう

扉を自分から閉めてみた。
背後に聞く時の冷たい響きよりもずっと重く、
全身を挟んでしまったかと思う程に痛かった。
二度と開けることは無いだろう。
こんなに血がにじむのなら。

生まれ変わることが出来るなら
絶対にプライドなんて選ばない
ガキ大将にもイジメられっ子にもならず
ただみんなに混じり
羨まれることも蔑まれることもなく
普通に不満をこぼしながら泳いで行く

この手で自分の墓を掘るから
後から誰かを一緒に埋めたりしないと
それだけ約束して欲しい

今日見たこの傷のことは誰にも言うな
何故なら私は
戦士だから
弱点を攻めるのは闘いの基本
だから
傷の場所は絶対に誰にも教えないでくれ

怖い顔をして 優しく微笑んで
それから馬鹿笑いしたかと思うと一目散に逃げ帰るけど
変に思わないでくれ
新しい鎧に体が馴染んでいなくて
息をするだけで精一杯なんだ

震える
涙が出そうだ
歯を食いしばり 己の肩を抱く
再び訪れる終わり無き孤独と
上下すら忘れさせる底知れぬ闇に向かって
歩み出す決心 その重さを改めて
確認し 覚悟を決めている

それでいい そのまま真っ直ぐに行け
誰も知らなくても鏡の中から私が見ている
いつしか真の美しさを身に付けたお前に
勲章をやろう

崖に咲くあの花のために
よじ登ろうとして命を落とす者
溜息をつく者
私はひとり歩き去る
誰の為に咲く訳でもないあの花が
いつまでもあそこにあると知っているから

オーケストラが消え
バンドが消え
コーラスが消え
迷いの無い私の声だけが残った
今、はっきりとメロディーが判る
それはいつまでも
この心の中だけで響き続ける
本当のラブソング

農耕民族の血が流れている筈なのに
馬に乗れるのがいけないのか
旅に出ろと天が言う

もう冒険は沢山だよ だけど
ここに留まる口実が無い

会わなくては、会わなくては、と思い続けていたあの人に、何だか今すぐ会いたい気になった。
言わなければならないことがあって、返さねばならないものもあって、あれこれ渦を巻き始めている。
落ち着いてまともに話せるのだろうか?
ちょっと自信が無いね。
何も話さなくてもいいような気もするけれど。
適度に不幸で、適度に幸せです、そう伝えたい。

困ったね。
さっきまでの獣の目がどこかへ消えてしまった。

山麓の道には連休も労働日もなく
時計の針ではなく太陽が雲の流れを支配していた
雀達の会合が夕刻を告げていた

眠れねむれ プライドの高い雌馬よ
まだまだお前の出る幕じゃない
今 暴れても
撃たれるだけだ
出番は必ず用意するから
臆さずに出て来て
思う存分いなないておくれ

善人のつもりでいる人も、実は大して善い人ではなく、
悪人のつもりでいる人も、実は大して悪い人ではなく、
みんな同じぐらい、中の下、てとこなんだな。

ハラキリセレモニーの途中で、介錯が非番だったことに気付いた。
何たる不覚!
仕方がない、縫っとくか。
な〜んかきりきりするな。
そのセコイ傷痕、何ですかって訊かれたらどう答えよう。

ありゃま。
インターホンと間違えて、ミサイルの発射スイッチ押しちゃった。
当たってはいないだろうけど、すっ飛んで逃げたろうな。
ま、いっか。
本当に用があるならまた来るでしょ。

もう最悪。
私達みんな。
犬に言葉を習わなくちゃな。

ゴリラに人の言語を教える研究をしている人がいた。
犬に言葉で命令するのも極一般的だ。
人が動物と暮らす時には、往々にして、動物に人の言葉を覚えさせる。
それは何を意味するのか。
人が彼らの伝達方法を身に付ける能力よりも、彼らが人の言語を覚える能力の方が高いということだ。
もしかしたら、謙虚さと根性の問題かも知れない。
時にチャレンジする人間が現れ、その成績はそれ程ヒドイものではないように見えるから。

根性。
それだけ持っていても仕方がないけれど、無ければ何も成し遂げられないもの。
要らないや、そう言って寝転がった瞬間から、体は腐り始める。

も〜〜〜踏んでふんで。
均してならして。
見た目が穏やかな方がいいのなら、気の済むようにして。
見た目しか変わらないけど、好きにして。

見据える先にあるものは罪。
その重さを思えば、何だって許さざるを得ない、そんな気がする。
この世に起こる事なんて皆、些細な、何でもないものばかり。

あの空の穴にまた気付いてしまった。
今度はもう消せないかも知れない。
虚の光景の結ぶ像は、既に盲点よりも大きく成長している。
どこへずらしても視界にある。
誰か、デタラメの呪文を唱えに来て。
誰か、気やすめの抱擁をして。
見開いたままの目に映る、怖いのはあの宇宙......

ペテン師は目を見て話す
その声と空間の魔術を見破れるほど
私はスレていないみない
どうやって見分けるのか教えてよ
それはしたためられた言葉よりも説得力があるんだね?

帰る
泳がないと死んじゃう
バケツすら用意してくれないのなら
海に帰る

びんぼうくじ
賞金ついてたら
億万長者!

あはは.......
コンロに火をつけるのは材料を切ってからにしないと。
え。今から買いに行くんかいな。
え!今から植えるんかいな!
え”.....今から種選ぶんかいな...........
マジみたいなので消しときます。
な、鍋返してちょうだいね、今晩使うから。

静寂の意味の判らない人に 音の意味は判らない
距離を意識できない人に 接触が意味を持たないように

干涸らびた人参が奴隷馬の支えだった。
目の前にぶら下げられたそんなものを、本気で追った訳じゃない。
荷を負わされ、鞭打たれることに理由が必要だったんだ。
高尚な目的をでっちあげなければ、一秒たりとも生きていられなかった。
ゴミにしか見えない人参は心臓なんだ。
手を出すのはやめときな。
ほら、歯を剥いてるよ。

馬は解き放たれた。
自由になった馬は、時折、酷い仕打ちをした筈の人間の呼び声に反応するだろう。
だが傍まで来た時には正気に戻り、何もかも蹴散らして意気揚々と去るだろう。

はてさて、面倒なことになったもんだ。
あの馬は、勇者か馬鹿者にしか捕まえられない。
慎重に計画を練ろうが、注意深く近付こうが、絶対に無駄だから。

恒久の真理と不変の心が欲しい。
自分自身の保証書を発行したい。
生きている限り有効なやつ。

涙って不思議だなぁ........
横になった時や激しい運動をした時、目を酷使した時に出るんだな。
壊れちゃいないみたいなんだけどな〜〜〜んか.........
使い道を間違っていないだろうか???

今、答えられないというのも答えなら
答えないのもまた立派な答えであって
たとえはっきりと返事をしたとしても、それはその瞬間の答えでしかない
人は永遠を誓ったり、信じることを拒否したりするけれど
我々の多くは予言者ではない事を、私はもう経験から学んで知っている
つまんないね〜
多分、まだまだなんだろうから
これからちょっとは世界の素敵な部分を発見してみたいなんて思う
半端な形の月の夜

守って欲しいと言うのなら
縛り付けて足かせを付けて
さるぐつわをはめて目隠しをしてあげよう
欲望に向かう歩みを止められない足
奪い、争う手
繕い、逃れようとする口
景色を歪めてしまう瞳
弱い心に操られたその肉体以上に
恐ろしいものがあると思うの?

やり直そうか?
罪と功徳、どっちが多い?
壊したものと救えるもの、どっちが多い?
奪われたものと勝ち取ったもの、どっちが多い?
やっぱり、やり直そうか???

傷つける
血をにじませたあなたに
この体に刻まれた古い爪痕の
濡れ衣を着せるために
逃げないあなたを傷つける

馬鹿だね。
ゴールデンウィークだ、春だと騒ぐ世間のことなどつゆ知らず、
あの子は時の流れの外にいた。

無垢な心には見えない魔物達がうごめく部屋
好奇心なんて起こさないで
どことどこにいるか、教えてあげたら恐怖で眠れなくなるよ
咬み付き合い、怪我を負った怪物達の呻きが聞こえたなら、おかしくなってしまうよ
そしていつの間にか、変身してしまうんだから

数々の知ったこっちゃない事が、のどに刺さって外れない。
次々にやって来るどうでもいいような事をなかなか呑み込ませてくれない。
痛くはないが、いちいち邪魔だ。
地球の明日にも、生き物達の営みにも何の影響もない、私の生活にすら無関係な事ばかりなのに。
正直でいよう、できるだけ..........

覚悟を決めて手を開いたのに
青い鳥はこっちを見つめてさえずっている
何してるの?
早く飛んで行かないとまた手を閉じるよ
青い鳥はただ
首を傾げてさえずるばかり

ニセモノだらけ。
目の利かない鑑定士だらけ。
あのさ、今捨てたの、本物だよ。

雑誌やテレビよりも更に質の低い情報が入り混じるNETの世界。
どこかでヒトラーが爪を磨いている。

私が手放したものはやはり私のもの。
誰にも拾わせない。
屋根の上で見ているカラス、無駄だよ、あっちへ行け。

君ら、飢えてなんかいないよね。
舌が贅沢になって、化学調味料に慣れて、繊細さを忘れただけ。
ありがたみが判らないだけなんだ。
それ、"飢餓"じゃなくてただの空腹だと思うよ。

君が5時間待った人は、君を10分も待ってくれない。
哀れだね。
どんな理由があろうと、あんまりだね。
君はマヌケだね。

叫びたくなるのを我慢して。
じっとしていれば答えがやって来る。
この静けさは決断のおと。
体を切り裂く稲妻。
屍の様に横たわったまま、どっちに進むか考えよう。
どうせ暫く動けはしないだろう。

スノードロップはまだ未熟な実を残して枯れた。
4月の間一杯に頑張っていたのかも知れない。
ご苦労さま。
来年も顔見せてよね。
待ってるから。
みんなが忘れても、私は待ってるから。

嫌い。
気遣うふりするあなたが嫌い。
身勝手なあなたが嫌い。
人の心に無関心なあなたが嫌い。

文明社会のハイエナ達。
思いおもいの姿に化け、扉の外で猫なで声を出す。
助けてくれ。
もう骨しか残っていないんだから、いい加減に放せよ。

奇遇だね。
そう言って声を掛ける為に、幾日も寒空で待ち続ける馬鹿がいた。
愛しい人は、又ねとまぶしく微笑んで君を置き去りにし、
踏みつけた君のことなんて記憶の隅にも留めてはくれないだろう。

畑の間の舗装道を歩いた。
カラスノエンドウの豆笛を吹きながら。
お。地面に近いところにある赤い実はヘビイチゴ?
家からほんの10分ほどの距離にこんなところがあるなんて。
犬達と歩きたいなぁ。

4月に入った頃から咲き始めたスノードロップ。
青々とした葉を、ニャンの手を握ったように、毎日握っては撫でた。
ピヨの土の上の草も同じように。
枯れ始めた最後の花が、名残を惜しむように、ゆっくりと実を膨らませて行く。
大きいね。
優しいね。
いつの間にか逆に守られている。
あの子たちが相変わらずの愛らしい姿で会いに来る、私のお盆はこの季節。

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