三次元漂流記 2001
ニャンの墓に咲く花 27KB [4月のモデル; スノードロップ]
蝶が舞い、
命が今年もまた巡って来たことを告げた。
ニャンの墓に、
ニャンと同じ白い花が咲いた。
葉にとまった弱々しげな青い蚊さえ、
愛しく見えた。

一月経って枯れ始め、
膨らんだ花の根本は種を育んでいる。
善良な犬も、破壊者も、聖人も罪人も、
大地は分け隔て無く懐に抱くのだろう。

それは、あなたにとって意味のあることですか
後悔しない時間ですか
何を代償にすることも厭いませんか
報われなくとも構いませんか
今日も繰り返される容赦ない尋問に
一秒でも答えをためらったなら、その場で失格!

"最も男らしい"のが女で、
"サムライ"は外国人。
一体どういう国なんだ?!

"No"と言えるおなごが言葉を濁す時は
"Yes"ってことじゃあないかしら

舟底に開いた穴を
ふさぐことなんて出来ない癖に
知らせもせず
両手で覆い隠して親切のつもり?
繕いの笑みなんて誰も救わない

要らないものじゃないよ
友達にあげたりしないでよ
こっそり棄てる位なら
遠慮せずに返してね

大阪の街を歩いたのは何年ぶりだろう。
昼間のオフィス街は静かだった。
連休前の銀行内のATMには長蛇の列。
どこかの倉庫の前を通りかかった時、懐かしいような、いい匂いが溢れて来た。
有機溶剤のような、いわゆる悪臭であることにすぐに気付き、
一瞬でもいい匂いだと感じたことに少し戸惑うと同時に、不思議は無いと納得した。
生まれ育ったのは確かにこんな町だった。

今日の月は又一段と綺麗だった。
昨夜よりはかなり早い時間。
天頂近くにひとりぼっちで、どこか呑気に、誇らし気に浮かんでいた。
相変わらず、金の粉を振りまきながら。
ステキチが来ているかな、と外を窺いた時だった。
空が綺麗な夜は何だか嬉しい。
どこかで同じように見上げている誰かと、何か分かち合えたような気がして。

久しぶりの三日月の景色。
並び立つ街灯が邪魔で、畑の前の暗い道まで見に行った。
ぼんやりと縁を霞ませながら、恥ずかし気に、低い山際に今にも消え入ってしまいそうな上弦。
その真上に残された一粒のしずく。
麓の集落の灯が星座のようにきらめく。
ねぇねぇ、西の空を見て。
独り占めするには惜しくて、また誰かに教えずにはいられなかった。

水をくれるひと
首輪を付けて
軒先で寝かせて
喧嘩犬の夜に
眠りをくれるひと

クロちゃんがへらへらやって来た。
玄関に入れて晩飯の仕度をしていたら、いつの間にか眠っていたようだ。
食後の我々にさんざん甘えた後、山のにおいのする方へとぴょんぴょん帰って行った。
妖精.......?

吠えてみた
怖がってくれなくてがっかりした
咬みついてみた
まずい上に歯が欠けた
お座りをして尻尾を振ってみた
綺麗な笑顔を舐めたくなった

誰かにおやすみを言わないと眠れないのだとしたら、それはその人ナシでは生きていけないという事だ。
眠らないと人は死んでしまうのだから。
そう考えれば世の中、結構ロマンチックだね。
しかしながら、死んでしまう程に疲れているのなら無条件に眠れるとは思うのだ。
こりゃまたドライだね。

専門技術に対する敬意というものが感じられない国だな。

秘密の箱の中。
ちらっと見せるのは構わないけれど、ついでに他のもの、放り込まないでね。
お願いっ。

内弁慶なネズミだから
かごの外に餌を置いたって無駄だよ
馴れてる人なら入口までは行くけどね
引きずり出すか、入って来るか、どっちかだね

世の中、不運な人が意外にも多い。少しばかり安心する。
よくまぁ、文句も言わずに生きてるね。
出産なんて大変なこと、みんなよくやるね、と感心するのと同じ位、愚かなことかも知れないけれど。

馬は理解が遅いとも言われるが、とにかく用心深い。
仲良くなるにはそれなりの時間と誠意を要する。
長〜い顔でじゃれついてくれるのは嬉しいが、手加減を知らないのでよろめいてしまう。
少しの音にも驚いて転びそうになるほど臆病な癖に、厭なことは譲らない頑固者。
何とも繊細で、ぶっきらぼうな生き物。

やり残したことはあるけれど、やり終えたことも少しあるかな。
言い残したことは今のところ無いから、気が楽だ。
加えて、色々なことの切替地点に於いてやりかけのものが無い。
これ以上にお気楽なことは無いだろうから、ここからは重くなる一方なのだろう......

日本の食生活は豊かになった。
庶民の舌はとてつもなく肥えていると思う。
はたと思う。
"食"も文化の一部であり、それを深く追求するのもアートなのだろう。
しかしそれは、満ち足りた人にしか用がない。
限られた世界の中をぐるぐる巡るだけ。
音楽もまた同じ。
豊かな国にしか回らないもの、他のことに目を向けさせる力を持たないものは、
少なくとも私にとっては意味がない。
放課後の恋物語がちっとも魅力的に感じられないのは、そういうことなのだろう。

セキセイインコと遊ぶ
話しかければ 首を傾げて聞き入り
頭の毛を逆立てながら 遠慮がちに返事をする
くすぐったく響く声
手のひらにあずけられた 温かく頼りない体
粟のにおい
小さな舌先
長い尾の羽が 回りながら床に落ちた

春が好きだ
土からにょっと顔を出す今年のあの子達と
握手できる春が好きだ

虎の巻を借りてもいいかな
他にやることが沢山あって とても追いつきそうにない
出来ることなら 早く仕上げたいんだけど........
宿題の答え 見ながら写してもいいかな

想像力が旺盛過ぎて、いつも余計なことまで心配している。
それほど鋭い訳でもないから、その憂いも又、想像の産物だ。
あれも、これも、きっと思い過ごしなのだろう。
日に日に真実みを増してくるけれど、そんな筈はない。
だって何もかもハチャメチャ過ぎるもの。

懐かしい人に会う時は緊張する。
随分、昔のことなのに、私にとってはほんの昨日。
果てしなく長い今日ではあるけれど、それほどの遠い日々ではなく、
見た目以外は何も変わらぬ人達は、私とっては懐かしくなどない。
今日の私は、昨日とは別人。
外見は何もかも同じでも、中身は違う人。
本当は途方もない月日が流れている筈。
玉手箱を開けることができず、また、昨日の姿を借りに行く。

いつも期待に添えなくてごめんなさい。
追い求めるものがあるのだから、どうしようもないのです。
今も普通の幸せを望んでくれているあなたの期待には、やはり応えられそうにありません。
私には、相変わらずこんな生き方しか出来ません。

揚羽蝶がやって来た。
黒地に薄黄の筋模様。
醜くもなく、美し過ぎることもないその容姿が、お前と子孫を守るだろう。

真珠をあげる
ノックをするひと
厚い殻の内側を見せてあげる
一生のうち
ひとつしか作らないもの

ずーっと前にくれた恋文は 字がヘタクソで読めません
どさくさの告白も 何だか冗談みたいです
戸惑っていいものか 笑い飛ばしていいものか
それとも 無かったことにしましょうか?

まどろむ瞳を連れて月が去り
揺るがぬ心を連れて朝陽が昇る
女神のような野獣を 野獣のような女神に変えながら

おやすみ
私は或いは
私のものですらないのかも知れない
せめて 夜の間だけ抱き留めて
ずっと 見張っていて
............な〜んてね

退化した猿たち
木登りも下手くそで
目も耳も鼻も悪く
跳ぼうとすれば 跳ぶことが出来るのに
走ろうとすれば 走ることが出来るのに
メニューを見ては選ぶだけの
退化する猿たち

海でひと仕事終えた後のイグアナのように
鋭い目つきのハンターのいぬ間のミーアキャットのように
日だまりに集い 折り重なって
地球を見ないか

ひきこもっていたっていいじゃない
ひとりで生きて行けるのなら
そう思っているのなら
ほっときな
おとなたち
ここは草の無い氷の島でもなければ
天敵だらけのジャングルでもない
ほっときな
立てるんだろ

何でもかんでもヒトのせい
サバンナに放り出してやろうか?
誰のせいであろうと
飢えた獣はやって来る
あたま使って隠れるんだ
からだ使って逃げるんだ
言い訳したって 泣いたって
飢えた獣は追って来る

いつ逢えるのか判らないから
いつ終わるのか判らないから
同じ言葉をくり返す
大げさではなく
いつ消えるのか判らないから

朝、笑顔を交わすことが出来たなら喜ぶべきで、
陽の光を感じることが出来たなら感謝すべきなのだろう。
もしもそれらが出来ない時、どう感じるべきなのかは判らない。

世界中の人が幸せでありますように、なんて望まない。
日本人の言う"幸せ"なんて世界中が手にしたら、残飯だらけで地球が腐る。
餓死する子供が減りますように。
子供を病院に連れて行けない母親が減りますように。
金持ちが贅沢に気付きますように。
"幸せ"な人が減りますように。
誰もが少しずつ我慢する、そんな国になりますように。

綺麗な花が咲いてたの
おいしい泉を見付けたの
雨宿りの木を探しに行くの
小鳥たちの忍び逢い
今日は何を口実に?

観ないテレビはオフにして
聴かないラジオはオフにして
売れない本は返品して
休ませてあげないと

そろそろ星が綺麗な季節だね
蚊に刺されながら一緒に見ようね
イヤだって言いながら、出て来てくれるよね
星座の名前なんて訊かないでね
本当はどうでもいいんだもの

乙女の気まぐれに振り回されるのは何も
男だけじゃないよ
きっと..................

待っててね そう言って帰って来ない君を もう待たないよ
振り向かずに足早に行ってしまう君を もう追わないよ
君の言葉 疑いはしないけれど 当てにはしないよ
神経がすり減って もうなくなってしまいそう

徐々に藤色からバイオレットに色付くビオラ。
咲く時は真っ白な蝶のよう。
バンビが間違えたのも無理はない。
そこへ、本物の白蝶がやってきた。
ほんとにそっくり。

"沈黙"はYESを意味するのかなぁ。
YESと言える日本人を目指す私にとっては、それは"NO"としか受け取れないけど。

何故、現代日本人はこんなに情けないんだ?
責められればまず言い訳をする。
嘘をつく。バレれば舌を出す。
責任転嫁をする。
キレル。
その前に何故、自分の行いを顧みることをしない?
間違っていなければ貫く、反省するなら誠意を見せる。
「ごめんなさい」は何時言っても遅くはない。
取り返しのつかない事態に発展していない内ならば。

庭のさくらは散った。
白い細かな破片は、よく見るとその花びらだ。
無惨に縮んで、怯えた顔を見せる余裕すら無い。
紙くずのようだ。
きっと花などではなかったのだろう。
私の目は誤魔化せない。
さぁ、行こうか。

止めるな。
代わりに行く気が無いのなら。

命を賭ける覚悟がないのなら 愛とは呼ばない
安易に口にするもんじゃないよ
母の愛 父の愛
得られないならば不幸であるけれど
それ以外にひとつでも手に出来たとすれば
疑うべくもなくラッキーなこと

私に挑む者は皆
命を棄てる覚悟があるのだと解釈している
それなりの礼儀を以て
もてなすべきだと思うのだ

ここから先はひとりで行こうか
一生付きまとう危険にこれ以上
他人を巻き込めないから

虎の目
狼の牙
ハイエナのあご
カモシカの腿
象の足
そして蛇の執念
判っていて挑むのだろうな この私に

天に伸ばした手が払いのけられる度に感謝するよ
眠りかけていた獅子が目覚め、哮るのが聞こえる
忘れかけていた使命を思い出すから

計算に沿って進めている余裕は無い。
顔色を窺っている時間も無い。
すぐに発とう。
道すがら、誰かを踏み潰すことになっても。
正直に告げよう。
遅過ぎる返事でも。もう届かないのだとしとも。
開けた視界。ひとりゆく道は足取りも軽く、
失うものの無い体は、まっすぐに導かれる。
いつ消えても大丈夫。
生まれる時だって偶然だったのだから。
同じ覚悟のある者になら、いつだって向き合って見せる。

ありがとう
本当はもう充分だよ
きっと
私は既に死んだ身だから
誰かの腕の中で息を引き取るような錯覚を与えられたなら
それ以上の幸運は無いじゃないか

差し伸べられた手に甘えてすがるのではなく、拒むのでもなく、
しっかりと掴んで、不安定な岩に足を掛け、
狙われやすく、見晴らしの良い所で見張りに立とう。
足をすくませて泣き出す者や、矢を受けて傷付いた者がいるのなら。
ならば、私は背を向けるべきではないのだろう。
私だから。

太鼓を叩く者がいて
一緒に走る馬がいて
送り出す風がいて
隠れた敵に狙いを定め盾ごと貫く
無慈悲な勇者がいて

割れた大地。渇いたラクダの頭蓋骨。
それは明日の地球。人類の姿。

守られている。抱かれている。
人が、生き物達が、私を取り巻いて歩いてくれる。
彼らと同じように、広い大地をこの強靱な足で踏みしめる時、遙かな果てを見渡す時、
何も怖れることは無いのだと悟る。

スノードロップの横に、背の低いキンギョソウと小さな花が植えられていた。
ニャンと同じ白、透けた花びら。
限りなく白に近い藤色の草花も。
みんなに愛された子。
スノードロップは一つ目の株の後、次々に花開き、ぐんぐん伸びた。
この草の中にニャンがいる。
青い蚊が葉の汁を吸う。
やがて蚊は蜘蛛になり、魚になり、遠く離れた場所の土になる。
触れるもの、届かないもの、世界がニャンで満ちてゆく。

どうか私を急き立てないで。
何も求めないことを認めて欲しい。
私の決断なんてあなた方の生活には何の影響も及ぼさないから。
言い訳になってあげることも出来ないから。
あきらめてくれない?

隣のチェリーが今日も遊びに来た。
交通事故が大した怪我にならなかったようで本当に良かった。
普通は、車を恐れるようになると聞くが、あのアホ犬、全く学んでいない。
さすがはニャンのライバル、アホさ加減でもひけを取らない。

疑うことを全く知らない鈍感なあなたは、北風と力比べをした太陽のよう。
何でも信じてしまうあなたに嘘なんてついたら罰が当たってしまいますね。
せめてあなたの前ではいい子でいましょうか。
繕うことを知らない正直なあなたは、同時に多くの人を傷付けるのでしょう。
無愛想なようで愛想が良く、愛想が良いようで無愛想。
天使なのか、悪魔なのか.......

携帯電話の使用は控えなくてはね。
鳥達に迷惑がかかる。

誰かの心。取り巻く他の人の心。
相関関係はある筈が無く、あるべきでもない。
好かれたって好きにはならないし、嫌われたって嫌いにはならない。
人間関係に付けられる名前には何の意味も無い。

おいおいマジか。冗談じゃね〜べよ〜〜〜。
何でこう次から次へとトラブルをまき散らされにゃならんのだ?
私のせいじゃないから"巻き込まれた"ことにもならんぞ。
もーーー知らん。私らは関係にゃあ!

ごめんよぉ。
判ってるんだけど、、、、、、判るわけないの。
でも近頃は嘘で笑う余裕は無いから。

考えるだけで忙しい。
それも、これも・・・・・
てきぱきと仕事を明日に割り振って行く。

今、結論を出せるのは70%。その確かさは100%。残りの30%は証拠待ち。
満点未満は切り捨て。
私の心に端数はいらない。

カタバミが好き。
暗くなればハート型の葉を閉じて眠るし、種ははぜる、5枚葉の変わりものを探すのは楽しいし。
面白いったらありゃしない。

何か..........
金網電流デスマッチな感じ。
或いはキバを抜かれて大山倍達と闘わせられる熊。
何の意義も無い。下手に勝ちそうになりゃ他の人間に殺されるし。
熊の方が"死んだフリ"したいよなぁ。

自分も人も愛せない人間は不幸に映るのだろうか。
人の愛情を肯定できない私は病気に見えるのだろうか。
生きる歓びを説きたくなるほどに。
私に同情し得るほどに恵まれた人になんて出会ったことも無いのに。
確かに、何も無いことに気付かないことは幸せなことなのかも知れない。

扉を閉ざして行き来を断ち、マジックミラーにして外から見えないようにしてみようか?
開けっ放しにしていたって埃が舞い込むし、不用心なだけだから。
中は何も変わりはしないだろう、少し暗くなる以外は。

ここほれワンワン
探し物があるなら
犬達について行こう 小さなスコップ持って
見付けたいものがあるなら
どこを掘っても 何か出てくるはず

近所の川沿いの道へ、満開の桜を見に出掛けた。
花弁の白い我が家の裏庭のものと違って一般に言われる桜色で、葉も殆ど無い。
種類は無いけれど、大阪の通り抜けのように人の頭を見せられることも、
屋台の臭いや見せ物小屋の呼び込みの声を押し付けられることもなく、
川を挟み、山を背景にした、本来の花の景色を観賞することが出来る。
ところどころにプラスチックのゴミや空き缶が転がる。
人は失わねば判らないのだろうか。

小さな橋の上に立てば、花びらになりすました蝶がひらひらと行き過ぎる。
真っ蒼な空に染みゆくしずく。
緑の中を漂い、川面に舞う。
水際の青々とした草。
高くそびえる葦。
ホトケノザによく似た草が土手を薄紫に包む。スノードロップも咲いている。

広い堤防に出ると、市の観光協会の灯が並ぶ。
出店が一件。
昼間からちらほら、若者達が座る興醒め地帯。
反対側の空き地の雑草がきれいだ。

コイやあめんぼが見えたので川原に降りると、いるわいるわ。
ザリガニやハゼ科の魚、大小、名前の判らないのまで。
数少ない日本の天然魚は、観賞魚店ではかなりの高値をつけられている。
網を手にはしゃいでいる子供達がそんなことを考え始めたなら、たちまち自然は絶えてしまうだろう。
バランスを失い、キリン草だらけになってしまった大和川の川原のように。

魚のようで魚でない、虫のようで虫でない、妙な生き物がいた。
泳ぎ方は魚、移動の仕方が虫。
体はメダカ、尾はヤゴとグッピーの中間。
水中の四不像と名付けようか。

自分がかつてどれほど冷たい人間であったか、今になって思い知らされる。
人の心に時効は無い。
幸せでありたいという欲求も無く、人を幸せにしなければならないとも思わなかった。
ただ、飢えていなければならなかった。
間違っていたとは思わないけれど、申し訳ない。

確かめなければならないことがある。
その為に開けなければならない箱の鍵が手元に無いために、中身を見ることができないでいる。
このままいつまでも開かないのなら、固く縛って川に流してしまっても構わない。
たとえどんなに尊いものが眠っているとしても、
これ以上、時間を止めてまで待ち続けるべきではないだろうから。

魔法の水晶の中の住人達はとても身勝手。
起こり得ない奇蹟を見せては人を喜ばせ、わざと厭がることをしては困らせる。
のぞき込むまいと思っても............

誰のせいともつかない虚無感。
早く眠ろう。
明日という日を長くする為に。
夜行性の獣の目をしていても、ヤマネコじゃないから。

エビ反り布団。
だんだん張りが無くなってきたね。
ギブアップするかどうか訊いて欲しいんやろ?
私は訊かないと思うけど、誰か訊いてくれたらいいのにね。

今日は筋肉痛が取れないと思ったら、トレーニングの後のストレッチを忘れていた!
こんな"やりっぱなし"の鍛え方は、反省会の無いショーのように、効果も薄い。

たとえば、海鮮料理にアタって肝炎になったり、金銭的事情から嗜好品を断たねばならなかったり。
それはそれで大変だし、誰にでもある程度の不運だろう。
それを"不幸"として、衣食住もままならぬどこかの難民に語る度胸があるなら、
その馬鹿さ加減だけは筋金入りとして認めてあげてもいいと思う。

いい音は時に人を憂鬱にする.........のかも知れない。

頼りたい気分になってるようじゃ終わりだね。
自分の足で立っていないような奴は、重くて支えていられない。
でもとにかく重い、横になろう。
明日、ちゃんと起きよう。
夜はろくなこと考えないから。

風にあおられっぱなしの崖の上。
たった独りで築いたもの。
踏み潰されるのは瞬間。
何でそんなに無神経になれる?!
1人で来られないなら勝負なんて挑んで来るな。
覚悟もできていない癖に横に並んでくれるな。
...........疲れてる、何だかとても。
疲れてる。

世間一般の人というのはほんっとに、、、、、、、
曲名のすぐ隣に書かれている"作詞・作曲・編曲"程度の情報も見ないんだね。
いやんなっちゃうね。日本語ぐらい読もうよ。

うぐいすの声を聞いた。
驚かさないように注意しながら、そっと話しかけてみた。
うぐいすは答えてはくれずに、澄んだ声で鳴き続ける。
答えはあったのかも知れない。
私には理解できなかったけれど。
ただ、いつまでもそのさえずりを聞いていたくて、ちぐはぐなやり取りを繰り返した。

吸気に紛れて侵入したそれは、
いつの間にか血管の中を流れていて。
DNAの中に組み込まれていて。

淡色の吹雪。
視界を真っ白に埋めながら積もりゆく断片は、やがて冬の名残を覆い尽くす。

どっちへ向かっても同じだね。
地球は丸いんだから。

早く殻を壊してしまわないと。
さなぎは青虫よりも無力。
八方向に均等に力が働く場合、物体は動き出さない。
それぞれの要素がまんべんなく不安定な場合も同じように、どこへも踏み出せない。
丸で、冷戦と呼ばれた時代の張りぼての均衡のように。
どこへも向かう必要の無いほどの理想的な場所に身を置いているのならば、それでもいいのだろう。
まんべんなく欠けたまま、ただ、うずくまる。
馬鹿になり切れるほど賢くもなく、賢くなろうと思うほどの馬鹿でもない。

土の中から顔を出した
小さなこの花に名を付けてあげて下さい
昼も夜もずっと窓の方を見て
背伸びをして待っているみたいだから

何か、、、、、、疲れた。
全然マイペースでいられない。徒労感。
徒労なら、、、、、、ま、いっか。

獲物を追う、飢えた豹は美しい。
狩りの下手なライオンは、昼寝をしている悠然たる姿が魅力的。

クロちゃんと久々に散歩していると、ステキチが走って合流した。
嬉しそうにスキップで。
どんより曇った夜空の下、どろんこ足の犬達と行くアスファルトの湿った道。
少しひんやりした空気。
もうつくしが出た。
山に溢れた春が、人里にも降りて来る。

ぬるい風呂は、浸かっていても寒くてなかなか身体を洗う気になれず、出る決心もつかず、
いざ、湯からあがると風邪をひくわ、疲れは取れていないわ、、、、、、、
生半可な温情によく似ている。

"結婚は人生の墓場"とは男がよく言うけれど、
"墓場度"は、むしろ女にとっての方が高いのではなかろうか?
誰もが気軽に離婚する現代には、それほどの重みも無いのだろうか。

今夜もやっぱり"つづく".........か。
がっかりするような、ホッとするような。
おやすみ。

判らないことは判らないままに尊重する風習を取り戻すことが出来たら。
答えがひとつではないかも知れないことも、
正義も悪も絶対的なものではないことも、
昔の人は知っていた筈。
人の小ささを認められる程度の大きさは持っていたい。

女神の微笑みの中に見え隠れする深い慈悲の影。
それは、かつての破壊の記憶だろうか。

私って意外にお喋りだったんだな。
気が付けばいつも、大事なことは何も話していないけれど。

明日も水をやって下さい
風から守って下さい
涸れた土地に立ち続けた心に
花を咲かせてやりたいから

私を追う人の後ろ姿が見える。
世にも不思議な現象、、、、、、

もはや迷いは無い。
ここから始まる。
やっと始まる。
また始まる。

針に引っかかった訳じゃないんだけど
釣られたことになるのかな
見たことないでしょ?
魚拓とっとく?
何て名前にする?
日付はいつにする?

音楽って自白剤だな。
心の一部が周りの空気に浸み出して行く。
時には、自分でも気付かない感情が目の前でゆらゆら。
脳に直接作用するから、ある種の"麻酔"なんだろうね。

孤独を求めるなら孤独の地へ向かえばいい。
安らぎを求めるなら安らぎの地へ向かえばいい。
欲しいもの全て手に入るとは限らないけれど、
それぞれの目的地に近付くことこそ、一番大事なことだろうから。

呼ぶ
誰かが呼ぶ
戻れない場所で
何かが呼ぶ

重力にあらがう砂粒のように
流れゆく時に爪を立てながら
この指の間にさらさらと散る
漆黒の硬い糸
船を引き留める綱のように
旅立ちを遅らせる風のように
絡まり合い頬を撫でる
栗色の長い軌跡

  吐息 一条の煙となり
    立ち昇り 雲に紛れ
      流され 辿り着き
        降り注ぐがいい

今日も庭の桜にモズが来ていた。
羽の生えた虫をくわえている!
枝に刺そうとしている様子をみんなで見ていたら、
窓の内の気配に気付いたのか、飛び去ってしまった。
この間、はやにえ現場を目撃したところだ。
何度目かで枝に突き刺すのに成功した獲物を、両側から"おどり食い"。
食べ終えたものを刺しに来るのかと思っていたら、刺してから食べるとは。
もう1羽がやって来て同じ木にとまり、横を向いてケッと何かを吐き出した。
間もなく、2羽は空き地の向こうのフェンス上に移動した。
今だ!
土の上に降りてモズのいた辺りを探すと、、、、、、
カイコのような白い幼虫がぐったりとうなだれている。
少しかじられただけのこの虫は、恐らくこのまま干からびて行く。
ひぇ〜っ。

"free"とは。
手の中に何も持っていないという意味。
それ故に、自由に動かせるという意味。

何も変わることはない。
何も変えるべきでない。
干渉しない。干渉されない。
私の周りに死にかけている人はいない。

地球のどこかで
瞬きする間に何かが解ける
瞬きする間に何かが絶える

四月バカ。
これ以上何がある?
せめて今日一日のニュースが全て嘘であってくれたなら。
末法めいた世の中、ジョークを飛ばす余裕すら失う。

スノードロップが咲き始めた。
平たい葉に挟まれ、守られて育ち、ようやく姿を現した蕾は、
遠慮がちに下を向いたまま、少しだけ開く。
6枚ある花びらの先には、珍しい黄緑色の斑点。
白い犬の咲かせる白い花。
風の中には、虫達が運ぶ声。
記憶の果てから、耳元へ。
どこでどんな姿で暮らしているのか判らない、遠いとおい友たちからの手紙。

© K. JUNO ALL RIGHTS RESERVED.
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