三次元漂流記 2003
あ、あと5分.....zzzzz [3月のモデル; 春眠]
まだ全身泥色で、鼻とお尻の一部だけ、ほんのり緑付いています。
冬眠に入ったばかりのカエルちゃんと違い、スマートです。
ひなたぼっこの真っ最中。
今年はどんな1年になるのでしょう?
平穏無事を願って.......

□■■ Mar 30th

桜が咲いた。
蓮華が咲いた。
蚊も、、、、、出た。

冬の道は、意外に緑色。
白い色がところどころを覆っていた涸れた田んぼに、ようやく、黄色や紫が混じり始めた。
きょんが、風に波立った水面に誘われ、用水路に跳び込む。
もうじき、草むらの昆虫を追いかけるんだね。
様々な生命が、自由と危険の中へと生まれて来る。
最も多くが誕生するこの季節。
最も多くが死ぬ季節は、あの厳しい冬ではない。
きっと。


□■■ Mar 26th

懸賞、懸賞、まるで懸賞で生活を支えられるかのような宣伝文句。
数打てば当たるけれど、それに費やす時間を内職にでも当てた方が、確実に潤う。
あくまでもレジャー。
大事なものは、見失うな。

「私には〜〜が全てなんだ!!!!!」
涙を流して語られると、少しぞっとする。
たかが素人参加のテレビ番組の企画。
受けの為に命を張らざるを得ない芸の世界とも又、違うんだよ。
他人の用意した舞台に賭けてどうするの。
視聴者の感動や貰い泣きが、本物だとでも思っているのかい?


□■■ Mar 25th

成功する為の何とかの法則、なんて本が流行ると、
薦められるままに盲信する人は、その心掛けから成功など程遠く、
適度に目を向ける人は又、周囲を観察する目により大きな失敗はしないのだろう。


□■■ Mar 24th

きょんの薬とおやつを探していて見付けたステキチの首輪を掴んで、庭に出た。
大好きな親分の匂いに、はしゃぎ回るきょん。
あの素晴らしい友達は、もう、帰って来ないんだよ。
現実を受け入れる儀式をしなくちゃ。
白い柵に守られたニャンのお墓には、冬の間から一輪だけ咲き続けているノースポール。
その周りに、仲間の花が開いた。
奥では、スノードロップに似た草が蕾を膨らませる準備をしている。
ニャンの頭のある位置には、雪に耐え続けた小さなポリアンサー。
その隣に、形見を埋めた。
白い花々が庭を埋めるこの季節。
もうすぐ、虫達がやって来る。
君達が帰って来る。


□■■ Mar 23th

この間、出会ったベーシストに、ヨーロッパ音楽の影響が感じられると言われた。
元々、歌謡曲との接点が少なく、映画音楽マニアだったから、
クラシカルでドラマチックなものへの憧れと、創世記のロックの融合の結果でしょう、
とのいつもの答えをしておいたのだが.....
昨夜、はたと気が付いた。
そうだ、思いきり影響受けてるわ。
映画の最盛期と言えば、ヨーロッパじゃん。
SFや歴史大作ものの音楽を好んでいたものの、避けて通れる道では無かった。
しかも、時はイージーリスニングブーム。
聴きまくっていたばかりか、ギターで弾いてたじゃん。
ヨーロピアンの歌ものが好きじゃないから、全く意識してなかったなぁ。


□■■ Mar 22th

一昨日、遠くにシバらしき影を見た。
冒険の季節らしい、危なっかしい足取り。
きょんの姿に気付いて、道路の反対側に慌てて渡り、どこかへ消えた。
放浪を始めて間もない野良なのだろうか。
今年の春は、ステキチがいない。
統率者が守っていたのは、犬の社会だけではなかった。


□■■ Mar 21th

登山口近くまで、自転車で登った時のことを思い出した。
親父が職場からくっつけて帰って来てしまったクワガタ君を送って行った時だ。
昆虫好きのバンドマンに、餌はバナナがいいのだと聞き、
何日かゆっくりして貰おうとバナナを入れて様子を見たが、
向こうにしては、狭いケースでゆっくりもあったもんじゃ無かったろう。
バナナも食べているのかどうか判らなかった。
弱らせてはまずいと思い、早めに帰って貰うことにした。
プラケースのまま、バナナにつかまったクワ君を乗せて、そっと走った。
揺れて、バナナの下敷きになってしまわないように。
道路から少し外れた林の中。
バイバイ。
幸運を祈って、別れを告げる。
小遣い稼ぎに、昆虫を取りに行く子供もいるというから。
いや、もっとやりきれないのは、業者が山に入るという話。
金にしようと思えば、何でも道具になる。
昨夜、届いた詐欺メールのことを考えていて、ふと思った。
世の中には、自制心の無い輩がごろごろしている。
思い付く事が賢いことだと信じ込み、実行してしまう、ただのアホである。
たとえば、一匹何万円にもなる昆虫を捕まえたとしよう。
あのクワガタのように扱えるだろうか?
誰にも見付からない場所を見付けて、逃がしてやるのだろうか?
答えは一瞬で出た。
単位が何百万であっても、同じこと。
私にはどうしたって、生き物が札束に見えることは無いだろう。
理性の壊れた人間ならどうだろう。
やはり、答えは同じ。
人社会に於ける行いの非道さと、地球に対する畏怖の間には、大きな関係は無いように思う。
出来ることなら、あらゆる人とまともな部分で触れ合いたい。
欲望と保身に歪められた、口先だけの「誠意」などでなく。


□■■ Mar 20th

攻撃が始まった。
芝居の下手な猿にちゃちな舞台セット。
猿にしては不器用な彼等は、大層なおもちゃを持て余し気味。
大国が自由や平和の為に戦争をおこすとなどいう話は聞いたことがない。
猿にしては不正直だな。
他人事のようにテレビの中の同類を眺める我々は、
猿にしては頭が悪い。

□■■ Mar 19th

丹精込めて縄を綯う。
思いを込めて、或いはひたすら、無心に。
出来上がった1本の縄は、見た者の心の中で様々な思考や記憶と結びつき、
蛇の様に生命力を放ちながらくねり出し、ありとあらゆるものに姿を変える。
我に返って眺めてみれば、やはり動かぬ縄。
創作とは、そういうものかも知れない。


□■■ Mar 15th

友を欺き、利用し、盗む。
これ程に悲しい裏切りがあるだろうか。
いつから人間同士の関係でなくなってしまったのか。
そもそも、最初から違っていたのだろうか。
悲しいというより、むしろ情けない。


□■■ Mar 14th

鹿の子一家が暮らした広くて快適な檜の小屋。
夏には、ステキチに戻って来て貰える筈だった。
防水塗装が剥げ、誰もいないその中は、今では植木鉢が寒さを凌ぐ場所。
陽気を浴びて、一層、色褪せて映る。


□■■ Mar 7th

芸とは.....
奥が深過ぎてよう判らんが、お笑いに関して言うならば、
人を幸せにする事ではないだろうか。
何をやるか判っているのに、やはり、見ると笑ってしまうとか。
テレビで馴染みの芸を生で見て喜ぶのとは根本的に違う。
「芸だ.....」と思えるものに出会った時、非常にありがたい気分になる。
芸を追求しようという芸人が、今はどれほど、いるのだろうか。
音楽そのものを追求しようという音楽家が、どれほど、いるのだろうか。
まことに、おかしな時代である。


□■■ Mar 6th

善の行いとは、悪の行いの証拠をもみ消す事ではない。
悪である事を認めた上で正す。
罪を償う事を知らぬ者に、どんな善が行えるというのか。


□■■ Mar 5th

ちび達の1歳のお誕生日。
1ヶ月も前から、ああ、もうすぐだなと思っていたのに、当日は忙しくて忘れていた。
次の日に思い出して、懐かしく語っていた。
その翌朝、偶然、鹿の子一家の写真が出て来た。
みんな大きくなっているのだろうと話していたら、夕方、郵便が届いていた。
それが鹿の子ちゃんの写真だった。
ニャンの墓に肩をすぼめてずっと咲いていたノースポールは、花びらを大きく広げている。
あの子達がいた冬よりも、今年は少し暖かい。
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