三次元漂流記 2002
謎の地上絵 [10月のモデル; 帰って来た未確認シリーズ〜真実を探せ!!]
今年の夏である。
日本のとある山中を探索していた我々の前に、それは忽然と現れた。
地面に描かれた幾つもの平行線。
一定間隔で描かれたその線は、大自然の創作であるとは考え難い。
この巨大な「絵」、一体、いつからここに存在するのか?
人間が足を踏み入れた形跡は無論、皆無である!

忠告;
画面の隅々まで観察するような邪心は、
汝の人生から「夢」や「希望」を奪うであろうぞ。
疑うは、芸ノー人の「作品」の真の作者を探るに等しき罪なり......

□■■ Oct. 31st

ぐるぐる
ぐるぐる
互いの尻尾をくわえて
輪になって回っている
目を開いてご覧よ
出し抜いたつもりの友の横を
何度駆け抜ければ気付くんだい


□■■ Oct. 30th

「火星の土地」なるものを売り買いする冗談が流行っているようだ。
真に受けた正義の宇宙人に侵略者として成敗されても、文句は言えないだろう。


□■■ Oct. 27th

ステキチかと思った。
そんな筈は無い。
だから、走り出していたんだ。
見失ったら、一生、見付からなくなってしまう何かがある気がして。
そんな筈は無いのに、期待しそうになっている自分に気が付いて、
がっかりしないよう、「そんな筈は無いよね。」と頭の中で繰り返しながら。
そう。
そんな筈は無かったけれど......


□■■ Oct. 17th

ポカポカと気持ちの良い日が続く。
子供達よ。
外で遊べ。
大人達よ。
頭の中の布団を干せ!
ダニがわいとるぞ。
本当はもっと陽気な生き物なんだから。
思い出せ。
理由もなく走っていたガキの頃。


□■■ Oct. 15th

雷の鳴る嵐の夜、トイレの窓の向こう側に、ガガンボか何かの影が、
ガラスを一生懸命にノックしていた。
小さな虫には、雨だって、槍が降るのと同じだろう。
中に入っても、フラフラと踏まれてしまったり、
怖がって玄関に入れて貰っていたキョンのおもちゃになってしまうかも知れない。
たとえ踏まれなくとも、なかなか外に出してやれなくて、
水分も補給できない家のなかで干涸らびてしまうのだろう。
外にいて、雨に負けてしまったのなら、それも自然の思し召し。
入れて、死なせてしまうよりはと、そのままにしておいた。
人間だって、同じだ。
帰る場所があると思っているのは、錯覚。
お世辞にも安全とは言えない町で、暗くなり始めても、
どこで夜を過ごせば良いか判らない、そんな不安。
巣があっても、100%安全とは言えない、本来の動物の弱さ。
感じた事のない人には判らないだろうが、それが、本来なら普通なのだろうな。


□■■ Oct. 14th

アスファルトの上で歩みを覚え
コンクリートの中で息をし
テレビで花畑を見ているから
君はダメなんだ
ヒトの小ささを知れば
もっと大きくなれるはず

まぶしい雲を抱いた空と
稲穂を優しくあやす大地と
その間に挟まれて
行き交う虫
ひと


□■■ Oct. 13th

タイトスカートが「きっちりした格好」だなんて、誰が言うのだ???
きっちりというよりもむしろ、ぴっちりむっちり、
仕事の場には、およそ相応しくは見えないのだが?
目の保養に、と正直に言うなら宜しい、「きっちり」とは何だ。
日本女性の体型には、フレアスカートが似合うと思うが。


□■■ Oct. 11th

他人の労働に対する敬意の無い人間に「仕事」などできない。
如何なる業種に於いても「プロ」などになれはしない。

それは、可能だね。
上手く行くかもね。
でもね、ほんとにやっちゃうと、詐欺なんだ。
犯罪なんだよ。
「出来る=やっていい」じゃないんだよ。
どうしてもやりたい、そんなのは理由にならない。

恩を売り歩く人。
え〜、恩は如何すか。
甘くておいしい、恩は如何すか。
なかなか繁盛しないワケ。
人の助けを簡単に借りる人間が、恩をいちいち覚えちゃいないからでしょう。
いや、宝くじに当たったとか、フリーソフト程度に思っているんじゃないの。

グルかと思えば、化かし合っていたり、利用し合っていたり。
付き合いきれない。
その懸賞には応募しません。


□■■ Oct. 10th

キョンのワクチン接種に、長めのお散歩。
前に進むのが大好きだから、休みもせずにぐんぐん行く。
興奮し易く、気の強いお前は、また先生の手を咬もうとした。
そして、美人の助手のお姉さんにおやつを貰ったね。
最初、チェリーがとことこ付いて来た。
皮膚病は、綺麗になったみたいだ。
本当は可愛がってあげたいけれど、うちに入って来るからな。
可哀想だが、追い帰した。
疲れてお腹が空いたから、今日はわがまませずに、ご飯を残さず食べたね。

ステキチ。
本当に行ってしまったの?
淋しいよ。
どんなに賑やかなところにいても、仲間がいても、
君がもう、どこにもいないんだと思うと、淋しいんだ。
もう少し、もう少しで、また一緒にお散歩できると思っていた。
仔犬達の世話が終われば、また、遊びに来てくれる筈だったよね?
そう思って、頑張った。
君が連れて来た子だから、面倒見なくちゃ、て。
あと1ヶ月だけ、待って欲しかったよ。
君は、鹿の子一家に居場所を譲って、気高く孤独なまま、消えてしまった。


□■■ Oct. 9th

ウソはウソ。
好きな子でも、大嫌いな奴でも。
私は、ホントのことしか言ってあげられない。

携帯が鳴った。
表示されているのは、懐かしい人の名。
一体、どうしたのだろう。
そうそう、この、少しくぐもった声。
何してんだよ〜〜〜、と思ったら、向こうは間違い電話だったらしい。
こちらの名前を伝えると、ひどく不思議そうな様子で、謝って切ってしまった。
向こうは職場の黒電話なのだろう。
仕事中なのかも知れないが......
「あのなー、何か一言くらい、言うこととか無かったんかぃ!」
ま、相変わらず、たいして幸せでも、不幸でもなさそうで。

ヨーロッパでは、芸術家は、裕福な愛好家に囲われることにより、
お金の心配をせずに、理想を追うことが出来た。
創作の資金や環境を得る為、
パトロンに気に入って貰えるような作品をという思いがあったかも知れない。
自らも芸術をたしなむパトロンは、良いものを見分ける目も皆無では無かっただろう。
良心は、神。
日本に於いて芸術は、判らない者をも楽しませる要素を加えることにより、
一般に受け入れられ、大衆性を獲得した。
芸の判る者と全く判らない者、数で言えば圧倒的に後者が勝る。
このことにより、現在の芸能が、
良し悪しも判らない大衆に媚びたものになったということはは疑うべくもない。
ウケるがどうかが答え。
ど素人が、判決を下す。
意識する視線が違えば、本質にも違いが出るものだ。


□■■ Oct. 8th

大木よ
虫たちは、お前の液を目当てにやって来る
お前を慕って来るんじゃないんだよ
花よ
蝶は、黄色い花粉を目印にやって来る
美しさに惹かれるんじゃないんだよ
甘い、甘い蜜は武器
奪われるだけじゃ、やりきれない
わかっているんだね
だからなんだね
だからなんだ......

あなたには、嘘しかない。
嘘を守る為に、また次の嘘をつく。
もう本当のことは言えなくなっている。
おしゃべりなあなたは、口を開けば、もうボロが出る。
その度、言うことはバラバラ。
過去も、現在も、未来も。
あなたには、嘘しかない。
ほら、今ついた、その嘘が、
またひとつ、過去を嘘にした。


□■■ Oct. 4th

誰もが知っている私を知らない
私が知っている私を知っている
覗いてごらん
昔を語る私の瞳の中に 君がいる

顔色を見ながら合わせるのじゃない
君の弦を私がこすり
君の指が私をはじく
それが ハーモニー

噂とは下世話でなければ広まらない
下らなければ
たとえ信憑性が薄くとも 火の勢いさ

ボンの写真が届いていた。
大きくなっちゃって。
もう、あれから半年近くも経つんだね。
殆ど変わっていないけれど、お姉ちゃんと弟に圧倒されていた頃よりも、
のびのびとしていて、自信に満ちた顔をしている。
お前を気に入ってくれていたおばあちゃんも、抱っこされたお前の隣でにこにこしている。
幸せなんだね。
甘えん坊そうな口元と目つき、一段と男前になったね。
少し、驚いたよ。
カメラの方を見て首を傾げている顔が、
お前達一家を救ってくれた、ステキチおじちゃんにそっくりなんだもの。

海図の読み方も知らない 口の達者な船長に導かれて
沖へ沖へと出て行くのを 私は止められない
遠くなって行くのは 前へ進んでいるからじゃない
もう このロープも 声も届かない
危険を知らせる身振りも伝わらない
景色の変わるのが楽しくて はしゃぐ子は
沈んでいることに気付かない
たとえ気付いたって
方向も判らないし
ネジの締め方すらも知らないのだろう......


□■■ Oct. 3rd

誰だって、優しくなりたい。
美しいことがしたいんだ。
みんな甘えずに、己に厳しく、歯を食いしばって頑張っているのに、
涙を流して弁解されたら、耳を傾けてしまうだろ。
足が痛いとしゃがみ込んだら、負ぶってやりたくなるだろ。
だから難しいんだよ。
公平であるということは。

嘘の国の住人は
真実なんて語らない
本当のことを材料に
リアルな大ボラこねるのさ
話を聞きたけりゃ
同じ国の民になるんだね

ねぇ、これはゲームだよ
画面の中のお話だよ
真と区別がつかなくなってしまっているのなら
もう、消そうか?
あぶないね

誰かが騙されそうなときに
知っていて黙っていたとしたら
それは 騙したと同じこと

今も昔も変わらず
真実を重んじるだけなのに
都合がいいか悪いかで
褒めそやしたり けなしたり
信用の薄い人は忙しい

哲学とは「普遍の真理」を探すこと。
人によって違うものじゃない。
違うのは道であって「真理」ではない。
真実は真実。
崩せないからと言って、誰かの「哲学」にして逃げられない。

「善悪」と「好き嫌い」は違う。
「すべきこと」と「したいこと」は違う。
「やってしまったこと」と「やったと思われたくないこと」は違う。
分別のないのは「成人」扱いされるべきではない。

法は法だよ
「価値観」じゃない
言い訳したって動かない


□■■ Oct. 2nd

嵐の夜には、思い出すよ。
最も強く、最も賢く、最も優しく、最も勇敢な友を。
生きることの本当の意味を教えてくれた、たくましい君を。
© K. JUNO ALL RIGHTS RESERVED.
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