日本刀


  ようこそ、日本刀のページへ。みなさんは日本刀について、どんなイメージがおありでしょうか。いろいろな見方があると思いますがここでは日本刀のもつ魅力を紹介していこうと思います。鉄と火と刀匠の汗と熱意が作り出す芸術、それが日本刀だと思います。日本刀の製造方法、生産地、刃紋、肌、出来等を紹介していきます。

たたら製鉄

   日本刀の原料になる玉鋼は、なにから出来ているのでしょう。じつは、砂鉄から出来るのです。川岸の砂のなかに砂鉄が含まれており、それをたたらと呼 ばれる炉で製鉄します。たたらはまわりを土でつくります。その中へ砂鉄と松炭を交互に敷き詰めて、火をつけます。このようにして、比較的低温(1400度)で製鉄します。このときに炉のまわりの土を浸食して、珪素を含有した「けら」が出来上がります。

作刀

   ここからが、刀匠の仕事です。まず、地鉄をつくり、何層にも鍛えて、焼きを入れて作ります。順を追って書きましょう。

1.へし 

  けらを加熱して、板状の塊にします。これに焼きをいれてへし金をつくり、鏨を入れて小さく割ります。

2.積沸かし

  へし金を積み上げて、紙でつつみ、藁灰と土汁を塗って焼き、積み上げたへし金を、1つの塊にします。

3.鍛錬

  こうして出来た鉄塊を2kg前後まで積み上げ、沸かして鍛着します。こうして出来た塊を、6〜7寸の長
さにのばして、真ん中に鏨で切り込みを 入れて、折り返して鍛着します。この折り返し鍛錬は、5〜6回繰り返します。
ここまでの作業は、それぞれ玉鋼、銑鉄、純鉄ともに行い、3種類の鉄塊を作ります。この3種類の鉄を混ぜて積み沸かし、刃金、皮金、心金、と鉄質の違う材料を作ります。ここで15回折り返し鍛錬をします。
  このため刀の断面は、32768層の多層構造になります。

4.組み合わせ

  ここで、皮金−心金、刃金−皮金を合わせて、鍛着します。(本3枚鍛え)  この多重構造のために、日本刀は切れ味が鋭く、折れず、曲がらないのです。

5.焼き入れ

  こうして出来た刀身の上に、焼刃土を塗ります。焼刃土は、平地、刃紋、鎬地と3種類あります。これを土置きといいます。この土置きの作業で刃紋が決まります。こうして焼刃土を置いた刀身を、火床にいれ、約700度〜800度に加熱します。(温度が高すぎても低すぎてもいけない)加熱された刀身を水の中へ入れて焼きを入れますが、このときの水の温度は、門外不出だそうです。この水の中へ入れたときに、日本刀独特の反りが生まれます。

 

  このようにして作られているのですが、1振りの日本刀を作るのにいったいどのくらいの材料がいるのでしょうか。約10〜13kgの鉄を使うそうです。これだけの量から出来る日本刀の重さは、1〜1.5kg程度です。このことからも分かりますが、日本刀の刀身は、不純物がきわめて少ない鉄なのです。
 これだけの量を使うので、現代刀の刀匠には年間24振りの作刀制限があります。

五ヵ伝

  日本刀の生産地は、五ヵ伝とよばれる、古刀期から続いている5つの集団に分かれており、それぞれに 特徴をもっております。

大和伝

  名前の如く、大和のくにで興り、僧兵や南北朝時代には南朝方に多く供給されました。その歴史は五ヵ伝中最も古く、大和国天国作の小烏丸は日本刀の原型とされています。作風は、焼巾が狭く、刃紋は沸出来でやや荒く強く光ります。中直刃ほつれ、小丁字乱、小乱、小互の目等があり肌は、柾目肌です。二重刃も特徴の一つになっております。

山城伝

  山城のくにで興り、朝廷のお膝元であるため、その姿は五ヵ伝中で一番優雅です。作風は焼巾が狭く、小沸出来です。刃紋は細直刃ほつれ、直刃に小丁字乱、小丁字乱、直刃小丁字乱等があり、肌は小杢目肌です。

備前伝

  備前のくにで興り、付近に良質の砂鉄がでたため、比較的早くから発達しました。平安期の古備前ものは、山城伝の作風です。備前伝がその作風を確立したのは鎌倉期で、最大の特徴は匂出来と映です。刃紋は丁字乱、乱、腰開き乱で、肌は小杢目です。

美濃伝

  美濃のくにで興り大量生産の実用刀を戦国大名に供給しました。この美濃鍛冶は大和伝の志津一門や転害包吉が移住してその祖となりました。以来、応仁の乱で焼け出された山城鍛冶や大和鍛冶が多く移住し、刀剣の大量生産を始めました。作風は、焼刃が頃合いです。 刃紋は互の目尖り、大湾、矢筈乱、箱乱、互の目丁字、中直刃などです。肌は杢目肌で鎬に柾目肌があります。

相州伝

  相模のくにで興り、鎌倉武士団に供給されました。相州伝の始まりは、備前から福岡一文字助真、山城伝粟田口から藤六左近国綱が、一門を連れて鎌倉に移り鎌倉鍛冶の元になりました。これより三代のちに有名な正宗が完成させたと言われております。作風は、焼巾の狭いものと広 いものがあり、狭いものは直刃小丁字乱、小互の目乱で小沸出来です。広いものは湾乱、大互の目乱で沸出来です。

 

 

 


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