ちょっといい話

 

 昨年あたりからマイフィールドで野良猫を見ることが多くなった。時々カメラの被写体にすること

もあり、私としては一向に差し支えないのであるが。

 10月23日マイフィールドに到着すると、立て札の前で、一人のおばさんが猫に餌をあげていた。

立て札に逆行する行為。困ったものだと、その時は思った。猫の餌につられ、数頭のハシボソカラス

もやって来た。カラスと猫が仲良く食事をする光景も一種異様ではあるが。鳥好きの私が熱心にカラ

スを撮影していると、そのおばさんが話しかけてきた。「猫を撮影しているのでしょ。新聞に一度投

書してくださいよ」言っている意味がよく解らず、途方にくれていると、「実はね、ここには捨て猫

が8頭いるんですよ。産んだ子供の始末に困り、飼い主が次々と捨てに来るんですよ」「そうなんで

すか」とうなずくと、「餌をやらないとこの子達どうなると思います?私もこれ以上増えないように

雌猫には自費で避妊手術を受けさせました。でも、また誰かが捨てに来るのでしょうね」と悲しい顔

をされた。「頑張ってくださいね」と言ってその場を後にしたが、非常に複雑な気持ちになった。

 昨今、我が子を虐待して死なせる親がいる。それに比べ、このおばさんは自分の飼い猫でもないこ

の子達に毎日餌を与え続けている。なかなか出来ることではない。しかし、また誰かが捨てに来ると、

どんどん猫の数が増えるのではないだろうか。多くのハイカー達が訪れるこのフィールドが猫だらけ

になるのもいささか困ったものである。立て札を設置した方も、「猫に餌をやるな」よりも「猫を捨

てるな」の立て札をまず設置すべきではなかろうか。そのおばさんも、この現状を写真入りで投書し

て欲しいと、私に言ったのだと解釈しているのであるが?  完