分散型アコースティック・エミッション・システム = スマートAE

 従来かのアコースティック・エミッション(以下AEと略す)は微弱なAE振動を検出する事、大型の処理回路で波形解析をする手法を取っていました。
 しかし、この方法では高いSNでの破損の検出が困難でした。その上装置が高価で一般に使われるまでに到っていません。
 実際の建築物なのでの破損経過を観測すると非常に大きなAE振動が発生している事が判りました。周波数分析など厄介な事をしなくても、AEの大きさと頻度のみで十分破壊の前兆を捕らえる事ができると思われます。
 また、超音波可視化装置で、擬似AEの発生状況を観測すると、従来のAE装置は亀裂発生からの直接波でなく、あちらこちらで反射屈折をした波である事も確認されました。
 この事から、
1)センサー自体にAE頻度計測までの機能を持たせたスマートAEと呼ぶセンサーを
2)亀裂の発生可能性の高い部位の全ての直近に設け
3)各スマートAEセンサーでの重要な結果のみセンター(市販PC)に送り監視する
方式をとりました。

 これに依って、安価で信頼性の高いシステムをなりました。
 右上の写真は、実験用のPCのUSBポートに直接繫げるタイプのSAE11Uです。
 基板上に超音波振動子、アンプ、自己チェック回路、プロセッサー、USBインターフェイスが搭載されています。
 この小さな基板のみで全て簡潔しています。従来からの大きなラックに入ったAE装置は不要です。
 このSAE11Uは1台のPCに複数つなげますし、20m程度は延長できますので、実験ばかりではなく小型の実用システムを構築できます。
 大型のシステムでは各所にハブを設けて、そこから電話線と同様に2本の線で電源と信号を伝える方式のSAE11Rを用います。 
 1ハブ当り16個のSAEを繫げます。ハブは数個をマスターコントローラを繫ぎます。マスタコントローラはPCとUSBで繋がります。
 マスタコントローラは8個のハブを管理できますので、16x8=128個のAEセンサーを1台のPCで管理できます。

 注;本製品は株式会社ジャスト殿と共同開発したものです。