高温用超音波センサー
弊社では、高温用の各種センサーを製造しています。
高温用は大きく分けて2種あります。振動子など温度に弱い部分を水冷又は空冷するタイプとセンサー自身が高温に耐えるタイプです。例えば配管の中に高温流体が流れていて、その配管の外から測定する場合は、探触子の接触部分のみが温度が上がります。水冷又は空冷で対処できます。前者のタイプが使われます。
環境全体の温度が高い場合は後者を使います。
なお、短時間の検査の場合は、接触部分のみ温度が上がり、センサー全体は上がらないので、常温走査高温用探触子を使います。参照:StressTel社製高温用探触子
1)耐高温タイプの探触子
概略の製造可能範囲は以下です。高温での目的は多肢に渡り、対象が必ずしも固体とは限りません。
その為、目的によって探触子の仕様が常温用とはかなり異なる事もあります。
細かな詰めが必要ですので、詳細な使用目的、環境を御連絡ください。
超音波振動子の温度 ℃ |
〜150 |
〜250 |
〜500 |
〜800 |
参考:遅延材付1200℃ |
製造可能周波数範囲 MHz |
0.5〜100 |
0.5〜15 |
0.5〜7 |
0.5〜5 |
0.5〜25 |
製造可能振動子サイズmm |
1〜100 |
3〜76 |
5〜30 |
5〜30 |
5〜30 |
広帯域型 |
○ |
△ |
☓ |
☓ |
△ |
直接接触型 |
○ |
○ |
○ |
○ |
☓ |
遅延材付/斜角型 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
1−3/2−2構造振動子(感度UP目的) |
○ |
○ |
△ |
☓ |
△ |
フェーズドアレイ用 |
○ |
○ |
△ |
☓ |
△ |
150℃まではセラミック、ポリマーなど従来から使われている振動子の大半が使用可能です。ポリマー系は種類に依っては120℃程度が限界です。常温との違いは接着材と周辺部材です。通常の探触子に使われている接着材は70℃、性能が良いもので100℃程度が使用限界です。接着材料等を選定して、150℃まで超音波の送受信が可能な様にしています。
150℃を超えると殆どの常温で良い性能の振動子自体の特性が悪くなります。セラミック系の振動子で高温対応のものを使う事になります。PZT系、ニオブ酸系で温度に強いものは250℃程度まで使えます。接着材なども性能が劣化しますので、250℃超えても機能があるものを選びます。配線材の絶縁材はテフロン系を使います。
250℃を超えると、PZT系、ニオブ酸系の振動子では適当なものがなくなります。水晶などの単結晶を使います。水晶でも実用上は400℃程度までしか使えません。特殊な単結晶を使います。接着材も樹脂系のものが無くなります。無機質系の接着材を使う事になります。保護膜も適当なものが少なく、振動子の電極を厚くして保護とする等の方法を取ります。この温度では材料の熱膨張の違いの為に、熱サイクル劣化が激しくなります。配線材料も同軸は細いのが無く、太くなりますし、硬いので、半固定となります。
500℃を超えると、電極材料も溶け始めます。高温用の電極材料を使います。アルミのケースなどは溶けてしまいます。セラミックのケースを使うなどします。配線材料は限定されます。温度が低い部分までプラチナ撚り線で配線する事になります。全ての材用が高価で、高級宝石並です。
2)冷却タイプの探触子
環境は常温(〜50℃程度)で非検査材の表面温度が高い場合、水冷又は空冷法を使用します。
探触子の周囲に冷却フィンを付けるだけでも、十分温度が下がる場合もあります。
探触子の内部に、冷却配管を配して、冷却水又は空気を流すとより効果的です。
局部水浸法の場合は、特別な細工をしなくても高温に耐える事もできます。例えば厚板の自動探傷の場合250℃の表面温度の厚板を、通常の探触子で、局部水浸で問題なく使用可能です。