独り言10

 
ここ数年医療崩壊といわれ、特に産科医療の惨状を伝えるニュースが何回も報道されるようになりました。
 その始まりは2004年福島県大野病院での前置胎盤の帝王切開で母体死亡が起き、そのことで執刀医が業務上過失致死罪で2006年に逮捕されたこと、2006年奈良県大淀病院で分娩中の意識不明妊婦がなかなか搬送先が決まらず、結局19番目の病院に収容された後に脳出血により母体死亡にいたった件でしょう。
 そしてまた、本年(2008年)9月、東京で、同じように妊娠38週の妊婦が強い頭痛を訴え、救急病院へ搬送しようとしたが、受け入れ先がなかなか見つからず、9番目の病院に約1時間後に収容されたが、結局脳内出血でなくなりました。幸いにも赤ちゃんは3件とも助かっています。
 大野病院や大淀病院以前はこのようなニュースはあまり報道されませんでした。たとえば、1990年代は年間出生数約120万で妊産婦死亡は年間約100件ほど、現在は年間出生数約100万ほどで妊産婦死亡は50から70位、むしろ年間の妊産婦死亡数は減っているにもかかわらず、報道は却って増え、センセイショナルで感情的になりました。それだけ珍しい出来事ということも出来るでしょう。
 いくら珍しい出来事とは言え、その原因がすべて医師の技量の未熟にあるのでしょうか?国際的に見て、分娩100万に対して、妊産婦死亡50という成績は、最も少ないレベルです。周産期死亡や平均寿命など、その他医療のレベルを示す数字は皆世界のトップレベルです。国民の享受する医療のレベルはWHOも認めるように世界最高レベルなのです。その反面、国民の医療に掛ける費用は先進国で最低です。
 医師の数は多いのか少ないのかいろいろ言われていますが、地形、人口密度にもよるでしょうし、どのようなレベルの医療をどのように提供するかによって違っても来るでしょう。日本には病院数、病床数が多いといわれていますし、国民の受診回数も多いといわれていますので、病院の集約、受診回数の抑制が出来ればまた違って来ます。
 個人的には、資格が無くても出来る仕事は看護助手などに任せるようにして、医師の雑用を減らし、病院の統廃合を進めて、集約化し、診療所と病院の役割分担もはっきりさせて、病院勤務医の待遇を大幅に改善すれば、今の医師数で現在の医療レベルは維持できるのではないかと思います。

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