「――こ、ここって何?」

 廊下をまた腕を掴まれたままの姿で歩きながら不安になって聞く。だって知らない場所で何がなんだか分からない。

「ラブホテル」

「――ラっ!?な、なんでっ!?」

「………」

 咲兄ちゃんは答えてくれない。だた、掴んだ腕はそのままに俺を連れて前を歩く。足の長い咲兄ちゃんが早足で歩くと俺は走らないとついてなんかいけず、息が変に上がった状態だった。

 咲兄ちゃんは右手奥の部屋の前に立つとその勢いのまま部屋に入り、ドアを閉めた。そして…

「うわっ!?」

 強引にベッドに押し倒されて驚く。咲兄ちゃんに動けないように両手をバンザイみたいに一括りにされてしまう。

「咲兄ちゃん?!」

 いつものふざけてる時とは違う。いつもは咲兄ちゃん、こんな顔してない。

 ……真剣な表情。痛いくらいの視線。……冷たい瞳。…声。

「や、やだっ!?咲兄ちゃん、放して!!」

 怖くて俺は声を上げる。けど、咲兄ちゃんはそれを無視して俺の服を剥いでいく。片手だけなのに器用にジーンズのボタンとファスナーを開けられ俺は身を捩ってなんとか逃れようともがく。

「――咲兄ちゃん!嫌だって!」

 半泣きになりながら俺は、訴える。けど、咲兄ちゃんは許してくれない。そして、咲兄ちゃんは俺の脇腹を撫で…お腹を通り…

「あぁっ!」

 スルリと咲兄ちゃんの長い指が下着の中に潜り込み、きゅっと握り締められる。

「――ゃっ、やぁっ!」

 ゆるゆると扱かれ…時には激しく翻弄される。……自慰はした事あったけれどそんなの比じゃない。初めて他人に触れられる感覚。俺は、堪らなくなって情けないけど涙をボロボロ零しながら首を何度も振って咲兄ちゃんに助けて欲しいって言う。

「……も、やだぁっ!…放してっ!…」

 咲兄ちゃんは、俺の顔をじっと見て、コクリと喉を動かした。それから唇が近づいてきて……

「んぅっ……ふっぅ……」

 熱い舌。何がどうなってるのか頭が分かる前に咲兄ちゃんの舌に俺の舌を絡み取られ、きつく吸われる。何度も何度も角度を変えられ、唾液が伝うほど深く繰り返されて頭の中がボヤ〜っとする。けれど、その間も俺を握り締めた手は休むことなく動かされてて……きつく舌を吸われた瞬間……

「……んぅ〜〜っ!」

 トロリと伝う感覚が生々しくて、俺は体を震わせながら泣いた。

 ……けど、それで終りなんかじゃなかったんだ。俺は、よくは分からなかったけれどこれできっと終るんだって思ってたからかなりの衝撃を受けた。……俺は、弛緩してだるくて力の出ない体で咲兄ちゃんを呼ぶ。

「やっ、やだっ!咲兄ちゃん、やめてっ!そんなとこやだ!」

 乳首やあそこ。体中のあちこちを舐められ、最後には両足を抱え上げられて信じられない所を舐められて…指を入れられる。恥ずかしいのと不安で一杯になって、涙が止まらない。指一本でも気持ち悪くて苦しかったのを段々と増やされて三本も飲み込まされている。……自分も知らないような場所を咲兄ちゃんにそんな事されてるのが信じられなくて何度も何度も許してくれる事をひたすら願った。

「…擢…苦しい?」

 三本も含まされていて異物の違和感も圧迫感も頂点に達してる。……俺が何度もグシャグシャの顔で首を縦に振ると咲兄ちゃんは俺の涙を舐めて、唇に口付けを落とすと

「……擢、辛いだろうけど……我慢して…」

 そう言って……俺の中へと咲兄ちゃん自身が入ってきた。

 その衝撃は例え慣らされていても声を出さずにはいられなかった位で。

「擢…っ……力抜こうっ?今のままじゃずっと辛いよ?」

 震えてなかなか言う通りに出来ない俺に咲兄ちゃんは何度も何度もキスを降らせて気を紛らわせたり、胸の飾りを転がしたり、引っ掻いたり……俺が初めの大きさに慣れてやっと息をつけれるようになったらもっと深くに進まれてまた、一から繰り返す。……咲兄ちゃんの全てが入るまで一体どれだけの時間が過ぎたんだろう?けど、下肢が鈍痛さえも感じられなくなった時

「……好きだよ、擢……」

 そう、咲兄ちゃんは掠れた、ゾクゾクするほど色っぽい声と微笑みで俺に言ったんだ。……俺がボロボロの顔で見上げるとそれを何度も繰り返し、そして…

「……ずっと一緒にいよう?」

 と俺の手のひらを握り締めながら囁いたのをその日、俺は確かに聞いたんだ。

 

 

 

「…信じられない…」

 ボーっとしたダルイ体をベッドに投げ出して俺は言う。それに咲兄ちゃんは「何が信じられないの?」といつもの咲兄ちゃんにすっかり戻った調子で答えてくる。今なんて腕枕の上にぴったりと体を密着させるように抱きしめてくるんだから一体、どうしたものか…

「何がって!全部だよ、全部っ!」

「全部?」

「そうだよ!…なんでこうなっちゃったのかとか!スキって言うけど一体どういうつもりで、いつからそんな風に思ってたのかとかっ!咲兄ちゃん、もてるのになんで俺なんかをスキなのかとかさ〜〜っ!」

 体はガクガクだし、痛いから動かさずに目と口だけを動かす。

 すると、咲兄ちゃんは……

「……擢君が僕の前に現れた瞬間に全部決まってたんだよ」

 なんて、満開の微笑みで言ってくる。それも…

「……細かい色々な事は、これから一つずつ、ゆっくり話していこう?……ずっと一緒にいるんだから時間はいくらでもあるんだし……ね?…」

 

 …甘くて幸せな言葉を添えて。


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