澪の体重を受けて、ギシ…とベッドが軋む。龍哉は、空いている傍らに腰を降ろして澪を見詰めた。…久々にゆっくりと澪の顔を見たように思う。日頃、それなりの自由な時間があるといっても、ふと気付くと、そういう時間が無かったということが分かる。お互いの顔が有って当たり前になって、だんだんと意識して相手を見ることがなくなってしまう。それは、良い、悪いとは簡単に言えないけれど、なんとなく、寂しいように思える。

「…澪にも…」

寂しい思いをさせているのかも知れないな…と、日頃の生活を振り返る。…今までと変わらない澪との生活。だが、自分が忙しくて、家の事を任せっきりになったり、帰りが遅くてマトモに二人の時間を作れてあげれなかった事が脳裏に浮かぶ…それを思うと、やはり、澪に悪かったなという感情が起こった。

「…もっと、我侭を言っても良いんだぞ??」

眠っている澪の髪を梳きながら、心からそう呟いた。…龍哉は、澪の髪にそっと、キスを落として部屋を後にしようとした。すると…

「…んっ…」

と薄目を開けた。

「……たつ…や?」

「ん?なんだ?」

「………」

澪は、無言のまま龍哉のシャツを握り、引張ると荒く、唇を合わせてきた。慌てて龍哉が澪の身体を押すと

「……もっと…」

と甘えた声で言った。龍哉は澪を抱き起こして、自分もベッドへと横になり上半身を枕に預けて、澪を見つめた。澪はじっと我慢していたかのように龍哉がおいで…と両手を広げるとにこっと微笑み飛び込んできた。

「……んっ…」

触れ合うだけの優しいキスを繰り返すと、澪は焦れたように自分から龍哉の顔を掴むと舌で唇をノックして口内へと入ってきた。…キスに満足したのか少し離れると龍哉のズボンに手を掛け…

「今日は…俺がする!!…俺だって、もう大人なんだから!!」

と俺のパジャマのズボンと下着を下ろす。まだ、俺の言った言葉を覚えていて躍起になっているみたいだ。けれど、恥ずかしそうに顔や耳を赤く染めているのでなんだか、苛めてやりたくなるような可愛さが堪らない…。

「俺だって…龍哉を気持ち良く出来るもん…」

と幾分、熱を帯びた声で言って、ペロリ…っと唇を舐めた。…直に触ってくる澪の細い指が緩く俺を刺激して欲情を呼び起こす。澪は、俺の腹筋の上に軽くキスをするとそれを舌で舐めた。…澪は、巧みとは言えない舌遣いだったけれど、俺には、それでも充分感じれ、澪が先を少し強く吸うようにした時、澪の口内へと放った。

「……んっ!!…くっ…」

―ケホ!ケホッ!!っと咽て涙目になった澪の背中を摩る。

「……たつや…気持ち、良かった??」

まだ、咽るのも治らない内に聞いてくる姿がどうしようもなく可愛くて、俺は、頬が緩むのも止めずに澪を抱き締めて目じりにキスをした。澪は、嬉しそうに笑って

「……ねっ…俺にも頂戴??」

…これ…と、まだ、堅さを保った俺を握る。俺がOKのサインに澪が上に乗りやすいようにすると、澪は妖艶な笑みを見せて、俺を呑み込んでいった…。

 

 

「…んっ……っ??」

龍哉がまだ寝ている傍で澪が身を起こした。なんだか、頭には微かな頭痛。しかも腰には…と自分の体を見ると…真新しいキスマークが散乱している。…た、龍哉が付けたんだよね…?と龍哉をふと、見てみると…

「……ええっ?!」

…龍哉の胸元やおへその近くにキスマークっ!!

「う、うそ…」

顔面蒼白、次には、赤面。自分が何をしたのか覚えていないのにちゃんと証拠が残ってる…。―ああっ!!俺、一体どうしたんだっ?!―っと龍哉に聞きたいけれど、聞きたくない…と澪は、この日初めてそんな体験をした。

 

…さてさて、初めて、澪にキスマークを付けられた龍哉は、特に澪にリアクションは起こさなかったが、心の中では、結構、嬉しがっていたようである。…ちなみに澪の百面相を見て楽しそうに微笑んでいたそうだ…。


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