「………っ…」
岡田のその声に…言われた俺は、震える指で乱された服を直そうとした。初めて聞いた、岡田の泣くのを押し殺したような声に…もう、何も出来ない…何も言えないように思えて…帰ろうと思った。
…けど…けど、ここで帰ったら?…このまま岡田と別れたら?
我侭かもしれない。俺の方が岡田よりも数倍、勝手かもしれない。けれど、頭の片隅にはずっとその言葉が帰ろうとする俺に語る。
…もう、二度と話す事も…笑い合うこともない。…傍にいることなんて永遠に出来なくなる…それで良いのか?…
これから起こるだろう未来に背筋が凍った。…岡田が傍にいない。何年経とうときっとこの日を忘れられずに…無くしてしまった居場所を…他の誰かに求めて生きていくのか…?
「…い、や…だ」
そう、俺は口にしていた。岡田の体が微かに反応したのが空気で分かった。…俺は顔を上げて
「…お前と…離れたくない…。――離れたくないっ!」
思い描いたのは、得られない居場所を熱望しながら…過去に得たその場所を心の頼りに生きていく自分。そこでもきっとそれなりの幸せを感じ笑っていられるだろう。けれど…あの虚しさを…人を羨ましいと思うあの心をもう一度味わうのか?…そして…岡田は?…何時かは俺の事を忘れ、親友も…恋人も得て幸せに暮らしていくのか?
「…そんなの…絶対…嫌だっ…」
「……川瀬…」
嗚咽を零しながらもハッキリと口にする俺になんとも言い表せない顔する岡田。…信じられない。そう瞳が伝えてくる。
「…俺…恋人として…お前が好きかなんて分からない、よ?けど、お前と離れるのは絶対っ…絶対に嫌だっ!」
「………」
岡田は俺の言葉を待っている。…気持ちが分からない。そう口にした俺に岡田は辛そうに目を閉じたけれど、俺の言葉に確かに耳を貸してくれている。
「……今から…」
「……?…」
「今からじゃ、ダメか?…岡田と付き合うかどうか…これからもっと好きになってからじゃ…ダメか?」
ギュっと強く握り締めたシーツが皺をいくつも作っていたけれど離せなかった。
「………」
「…岡田…それじゃ…ダメか?」
不安で…不安で堪らなかったけれど、精一杯の気持ちで岡田に縋るような気持ちで話す。
「……俺は…俺はお前を恋人として…恋愛対象として扱う…それでもか?」
岡田のその言葉を聞いた俺の指は跳ね…けれどまた、シーツを強く…強く握り締めた。岡田は…ただの一度でも…友人として俺の横に居る事は出来ないのだと繰り返した。俺の気持ちが固まるまで…その日を待つ。けれど、決してただの”親友”ではない。
「…いい、よ。」
…俺は…喉を震えさせながらも…そう答えた。その答えに迷いはなかった。
岡田はその俺の言葉を聞いて…俺をきつく…抱きしめたのだった。
…それから以前のような岡田のいる生活が始まった。けれど、やっぱり岡田の宣言通り違う事もあって…
「……恭弥…」
二人だけでいるふとした瞬間。囁くように名前を呼ばれて体を震わせると柔らかく笑うあいつがいる。そして…
「……ん…」
触れ合うような軽くて…けれど、今の俺には精一杯の…心臓が壊れてしまいそうなくらい特別な気持ちが篭もった口付けをするようになった。
…それはまだ、始まったばかりの気持ちだけれど…確かにほんの少しずつ…今も育っている。
なんだか、押し問答の小説となってしまいましたね(汗)しかも、甘々にも遠いような…(滝汗)
…高校生ですし…先は長いって事で…(逃げっ!)
長い事お待たせしてしまい申し訳ありませんでした〜☆<(_ _)>