―その手の中に―
川瀬と出会ったのは高校に入ってから。…入学式で同じクラスとなった川瀬は他と比べて確かに人目を引いた。もちろん、俺の目も。ただ、明らかにタイプの違う俺とは、絶対に関わる事の無い人物だと、そう思っていたのだった…。
川瀬は、すぐにクラスの数少ない、中心的ムードメーカーとなった。よく笑い、よく怒る。クラスメイトと口喧嘩したかと思うと次に見た時には仲が直っている。…そんな川瀬は頭が良いわけじゃないようだが誰とでも打ち解けるという人間関係においてはよく出来た奴。それが俺の分析した<<川瀬>>だった。
…しかし、俺はそれが少し、間違っていた事を知った。
ある授業で二人でグループになり課題をする事になった。その頃、俺の入っていたグループは俺を入れ丁度6人で作られていたのだがその日は一人、休んでいた奴がいた。つまり、グループ内で一人余ってしまう。…他の奴らは、それなりにグループ意識もあって仲もそれなりだったから、俺が他のグループの奴と組む事になった。それが嫌だったわけじゃない。ただ面倒だとは思ったが…。…他の余った奴と組めば良いと反断した俺は、先に課題を進めていたのだがふと、川瀬のグループに目がいった。
「―べっつに良いってば!気にすんなよ〜!」
そう言って笑っているのは川瀬だった。川瀬のグループはもとから5人。…どうやら川瀬が残ったらしい。
「本当に良いのか〜?」
「良いって、良いって!」
ずっと、いつものように笑っていた川瀬。他の奴らも笑っていた。ただ…
「残ってる奴って誰だ〜〜?!」
そう、グループの奴らが川瀬以外の場所へと目を向けたその一瞬…。川瀬は下を向き、少しだけ、音のない溜め息をついた。……悲しさなのか?寂しさなのか?それは分からなかったが確かに。彼は微かに眉を寄せて、諦めに似たその笑みを見せた。
「――俺だ。」
気が付いた時にはそう言っていた。…そう滅多に口を開かない俺が大きく声を発した事で自分に視線が集まった事には気づいたけれど、大したことじゃない。……しかし、俺が目を向けると川瀬は少し、驚いたように瞳をこちらに向けていた。
…少し…「余った」と川瀬のグループに言う事をためらう自分がいた。…自分が川瀬と組んで良いのかと迷ったのだ。ただ、言った後には、自分でよかったと思う自分がいた。
親友にもしも、好きだと言われたら…貴方はどうするのでしょう?
答えのない質問に自問自答していた。何パターンも思い付くくせに結局は幸せにはしてくれない。自分の頭の中の想像の世界でさえも…。
「…川瀬に言ったよ」
「えっ?」
「好きだって言った」
「―えっ!…あっ…そう…なんだ……」
田川は大きく瞳を開いたかと思うとその大きな目で俺に問い掛けた。”どうなったのか?”と…。俺はほんの少しだけ口端を上げて首を振った。
「まだ、返事は聞いてない」
「……そう…」
すると田川は微かに眉を寄せた。…そして、下を向き…
「頑張って」
と小さな声で言った。俺はそれに無言で頷いた。