―宝物探し―

 

 

美味しいお節も雑煮も一杯食べて、ブラッドとのんびり過ごしている元旦中。ベルは暖炉を燃やしていてもやっぱり肌寒くてカーディガンをクローゼットから出そうとした時の事。目に入り興味を引かれた大きくて薄ぺったい箱を開けて見ました。すると…

「…うわぁ……すごいっ…!」

ベルは一人、声を上げました。というのもそれは、ある物を見つけたからでした。

「……これ、ブラッドのなのかな?」

ビラ―ンと広げた物。それは着物。…渋い縞柄の着物は大人の男性らしい、落ち着いた雰囲気でとってもブラッドに似合いそうだった。

……でも…ブラッドが着てるとこ、見た事ないような……?

ベルが、う〜ん?…と唸っているとふと、棚端に小さな小箱が気になりました。そして、その下にはなんとなく見覚えがあるリボンと包装紙が…。

「……なんだろ?」

 

気になって見た赤と緑の包装紙には……Merry Christas!!……と書かれていました。

 

??…クリスマスのプレゼント?

 

……………あっ!もしかしてっ!

「お姉ちゃんが僕の変わりに選んでくれたやつだっ!」

……そういえば、ブラッドに見せて欲しいって言ったけど、結局見せてもらえなかったんだよね。

でも、なんなんだろ?……か、勝手に見ちゃダメかな?……で、でも…見たいしっ…。

だって、お姉ちゃんに頼んじゃったけど、僕からのプレゼントなんだし…。

それに見せてくれなかったって言う事は……も、もしかしたら、ブラッドが嫌になるような物だったのか…も?

………!!

ふと頭に浮かんだ想像にベルは顔面蒼白。箱を持つ手はプルプルと小さく震え、耳も垂れた状態でフルフルと。…けれど、一度だけ決意をしたようにコクリと喉を鳴らしました。

……ちょっとだけっ!…ちょっとだけ、見ちゃおう!

 

 

ドキドキとベルは、胸を高鳴らせながら、その箱の蓋をゆっくりと開け……頭に?マークを一杯に浮かべました。

そう、箱の中に入っている物はベルが今まで見たことのない物でした。

真ピンク色の変な玩具のようなもの。

……なんなんだろう?これ、電池まで付いてるし……あっ、もしかして健康グッズとかっ?!

ブラッド、働き者屋さんだから体も辛いだろうし………もしかして…お姉ちゃん、そんな事まで考えて…っ!?

 

………ベルはショックを受けました。ブラッドの一番近くにいて、今まで一度だってそんな風にブラッドの体を気遣って上げられなかった事が。……ぼ、僕ってなんて冷たいんだろう(T_T)

……きっと…だから、ブラッドは僕にこれを見せてくれなかったんだ…。

ベルは深く落ち込み、涙をジワリと浮かべました。

………だめだっ!このままじゃっ!

 

 

「ブラッドに謝らなきゃ!」

ベルは、当初の目的であるカーディガンのことも忘れて、暖炉の前で本を読むブラッドの元へと走りました。

 

 

 

「――ブラッドぉっ!!」

「――な、何だっ!?」

落ち着きなく、階段を降りてきたベル。「勢いをつけて階段を降りたりして危ないぞ」とブラッドが注意をしようかと振りかえった先には、今にも零れ落ちそうな程の涙を浮かべたベルが手に着物と小さな箱を抱えてプルプルと震えている姿が有りました。

「…ど、どうしたんだ?」

ブラッドは何事かと焦りながらもベルに近付きました。

「怪我をしたのか?」

ブラッドは心配げに眉を寄せながら、一番心配な事を出来るだけ意識して優しい声で聞きました。するとベルは首を横に何度も振りました。

「……ベル?」

なんだかベルの様子がおかしい。怪我じゃない事に安堵しながらもブラッドはベルの様子を出来る限り理解しようと考えました。……そこで気づいたのです。ベルの持つ、それに。

「……それは…っ…」

ブラッドがゴクリと冷や汗もので喉を鳴らすと、ベルはビクッと体を揺らし、そして体をくの字にして

「ごめんなさいっ!」

と大きな声で謝ったのでした。

「べっ、ベル?」

何がなんだか分からないのはブラッドです。どうにかこうにかベルに話さずに済ませて来たものの、ベルにそれを見られてしまった上に体を震わせるほど泣いて自分の前まで来たということは、それについて非難されると思っていたというのに……。ブラッドにしてみれば、問題のそれはベルの姉が何やら企んで寄越した物で別に捨ててしまっても良かったのだが…どんなものであろうとベルからの物ならば手元に置いておきたいと言う気持ちも嘘ではなく。……だからこそ、ベルが気づきにくそうな場所に置いておいたのだが…

「…ベル?なぜ、ベルが謝るんだ?」

「…だって……だって僕っ…」

ついにポロポロとベルは泣き出してしまいました。ブラッドはベルを落ち着かせようと背中を優しく撫でながら流れ落ちる涙を唇で掬い上げました。

「……ベルが謝ることなんて何もないんだぞ?」

「――っ…でもっ…」

「…俺の方こそ、ベルが嫌がるような物を置いたままにして……悪かった。」

ギュっときつく抱きしめ、ベルの肩に顔を埋めて謝りました。ベルはそれにフルフルと首を横に振り……ブラッドの言葉を反芻し…何か引っかかるものに気づきました。

「……ふっ………ぅっ?…ぇ?……な、んで僕が嫌がるの?」

「……?」

………お互いに顔を見合わせて、変な顔です。

「……これって健康グッズ…とかじゃ…ないの?」

「………」

ベルにまっすぐに見られ、ブラッドは責められるよりも辛い状況に陥りました。

きっと「そうだ」と言えば、運良ければそこで話しが終り…運が悪ければ……。

……ここは、正直に言った方が良いような気も…しないでもない。

ブラッドは迷いに迷った上で…溜息をつくと

「……ベル…」

「……何?…」

「本当の事を説明するから……とりあえず、その着物は?」

「えっ?…あっ!これはクローゼットで見つけてブラッドのなのかなって思って…。それで、ブラッドが着てるの見たことないなって思って色々考えてたら…これを見つけて…」

「そう…か…」

「う、うん」

ブラッドの様子にベルはドキドキです。というのも、ブラッドが困っている顔はあんまり見た覚えがない所為でしたが。

「………ベル」

「な、何っ?」

「……寝室に行こう」

耳元へと落とされた低音に……ベルはコクンとほんのり紅い頬で頷きました。


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