その日からまた二日が経ったお昼前の事。ベルがお昼の用意をしていると玄関の扉が「バンッ!!」と、ちょっと乱暴気味に開かれました。
「――ヒャッ!?」
ビックリしたベルがそっちを見てみると…そこには軽く括った髪が乱れているブラッドの姿が…。
「ブラッドっ!!」
「…ベル…ただいま…」
微笑み、逞しい腕を開いたブラッドにベルは、飛び込んでいきました。…すると、ブラッドも痛いくらいにベルを抱きしめ、何度も何度もバードキスを降らせました。ベルは夢にまで見た、大好きなブラッドが帰ってきてくれて嬉しくて堪りませんでした。…が…
「―あ?!えっ!?ブラッド?!」
いきなりブラッドの身体が重くなり…ベルを抱きしめたまま壁の方にズルズルと倒れこんでしまいました。
「ブラッドッ!!どうしたの!?どっか悪いっ!?」
急に倒れてしまったブラッドにベルはパニックになりました。けれど…
「…違ぅ…寝てないから…済ま…ぃ…」
と最後の方は聞き取るのが精一杯なくらい小さな声で言ったブラッドは、急速な眠りに引き込まれて言ってしまいました。
「…ブラッド…寝てない…の??」
…そう、ブラッドは一度帰ってくる前から寝る時間も削って働いていましたが、戻ってからはというと一睡もせずにただひたすらにベルの事を思い、仕事に打ち込んだのでした。……それは本当はとても危ない事でした。いくら灯りがあろうとも真っ暗闇の山の中は、足場が分かりにくい上に回りの状況も掴みにくい。…それを無理してやったので疲労も半端ではありませんでした。
「ブラッド…ありがとぉ…」
じわっと浮かんだ涙は愛しい人の胸に染み込んでいきます。ベルは、もう一度、その腕の中で幸せな気持ちを受け止めると
「タオルケットでも持ってきた方が良いよね??」
と名残惜しいけれど、ブラッドを思いその腕から出ようとしました。でも、それを拒むようにブラッドの腕は逆にきつくベルを引き寄せて…
「…ベル…」
とベルを夢の中にいるのに優しい声で呼んでくれたのでした。それを聞いたベルは嬉しくて嬉しくて…
「大好きっ!!」
と幸せ一杯な気持ちでブラッドに答えたのでした。
…愛しいその人の腕の中。可愛いウサギちゃんは今、幸せそうに微笑んで楽しい夢を見ています。