―バタンッ!!といきなりドアが開く音が背後でした。…ベルは、手を止めておずおずとそちらを見上げた。ブラッドは立ったまま、ベルの様子をすぐに理解したようだ。
「…ベ・・ル??……」
ジッと目が離す事ができないというようにベルの体を見詰める。その瞳が次第に下へと降りて…
「―あっ!!見ちゃ、やっ…」
もぞもぞと服の中に自身を直そうとするが体が上手く動かない。…咄嗟にベルは顔を真っ赤にして近くにあった(ブラッドの変わりだった)クッションで、そこを隠した。…ベルの瞳には沢山の涙が溜まって…
「…だって…僕…っ…」
ベルはなんとかこの場を乗りきろうとするが言葉が見つからず、ブラッドの瞳を見返した。…ぶつかり合った視線を先に外したのは、ブラッドだった。ブラッドは、一度、大きな溜息をはき
「…そういう事は…鍵をかけるとか…人に見られない場所でした方が良い。」
と言って、部屋を出て行こうとする。
「………」
…二人しかいないこの家の中で鍵をかける事の方がおかしく思えない事もないが、ベルは、ブラッドに突き離されたように思えて…ポロポロと涙を流し、
「……ブラッドは…僕としたくなくなったの…?」
「――なっ?!」
「―だって!!…ブラッド…僕のこと全然…」
ここまで言った後、ベルの口からは悲しさで言葉を紡ぐ事は出来なかった。…そんなベルを見てブラッドは歩を進め、ベルの前で座った。
「ベル…??」
「……ふっ…ぅっ…」
ポタポタと零れる涙を拭ってやり、ブラッドはベルの瞳をまっすぐに見上げた。…ベルは、にじんだ視界の中、愛しい人を見返した。
「…ぼ、く…ブラッドとした、くて…っ…」
「…ああ…」
「……ずっ、と…ブラッドに抱きし・・め・・欲し…」
「…ああ。俺も…したかったよ…」
「……えっ…?」
「…本当はずっと、ベルを抱きたくて堪らなかった。…けど、少し前から……」
「…前から…な、に?」
不安そうに見てくるベルに、ブラッドは一気に捲くし立てた。
「―ベルを壊してしまいそうで、自制しないと駄目だと思ったんだ!!」
「――へっ??」
ベルはあまりに驚いた所為で声が出ない。硬直したベルに続けてブラッドは
「…ベルが前から少しずつ慣れてきて…でも、負担が掛からないわけじゃないって頭ではわかってるんだ。…だけど、最中には忘れてしまうし…。…俺は…ベルを傷付けてしまいそうで怖かったんだ…」
…すまない…とブラッドは、優しい腕で僕を包みながら、謝った。…僕は嬉しくって思いっきり、ブラッドに抱き付いた。
「―べ、ベルっ?!」
「僕ね…ずっとブラッドに抱きしめてもらえないよりも…壊れちゃうくらいギュってしてもらえる方が嬉しいよ??」
…それでもダメなの??と瞳で誘うように聞かれたブラッドは、苦笑いをした。
「……しよう?…」
そう囁いたベルが可愛すぎて、本当に歯止めが利かなくなってしまいそうな自分に、この悩みはきっと解決する事はないんだろうなぁ…と思いながら、ブラッドはベルの体を横たえさせたのだった。