第二話―安らぎ―
・・・ピンポーン
インタンホンが鳴った.僕の家には、誰も訪ねてなど来ない.きっと、何かの勧誘だろうと、玄関を開けた.
「久しぶり!!遊びに来ちゃった.今、大丈夫かな?」
「…悠?」
いきなりの訪問に驚いた.合ってから、ニ週間が経っていて、悠は、もう、来ないのだと思っていた。
「ああ、別にかまいませんよ。どうぞ、中へ.」
僕は、悠を家の中へと入れ、リビングへと通した.
「へぇ、外からも大きいって思ってたけど、ほんと、広いや.」
「ええ、親が残してくれたんですよ.・・・なにか飲みますか?」
「あっ!!ううん、良いよ.気にしないで」
僕は、くすっと一度笑って、
「良いんですよ?家の中なら、誰よりも知っていますからね。遠慮しなくても」
「・・・うん、じゃ貰う.」
「はい。少し待っててくださいね」
にっこり笑って、僕は、コーヒーを煎れに行った.
「―ハイ、どうぞ.」
「ありがとう。ごめんね、何にも持ってこなかった.」
「気にしないで。それで?なにかありましたか?」
「え?ううん、別になにも。ただ、元気かなって思って.」
「・・・・」
なにか、用事があるわけでもなく訪ねられるなんて、本当に久しぶりに思う。以前、友人も怪我の直後は、心配だと言ってよく来ていたが、もう、誰も来なくなった。
「別に、なにもありませんよ?ずっと、家にいましたし。・・・僕が話せるような事ってあまり、ありませんね.」
僕は、物珍しさで関わってくる人達が、好きではなかった。同情されるのも同じ。不便な所は、どうやっても直す事は出来ないし、他人にそうされるのが、しかたのない事だとしても結局は、飽きれば、すぐに離れて行く。…まるで、おもちゃに飽きたように離れていくのだ。そうでなくても、目の見えない僕に関わって、自分がいかに良い人であるかに酔っている人間に、元に合ったことがあるから、もう、そういう人間に関わるのが嫌だったのだ。だから、今も、悠に少し、突き放すように言ったのだ。
「そっか…。俺も、なんもかわんないなぁ。あっ!でも、この前の日曜にここに来ようとしたら、なんかスカウトされた。」
「スカウト?」
「うん、芸能人にならないかって。メチャメチャ、怪しかったから、逃げたんだけど、付きまとわれて、逃げ切った時には、もう、6時半位になっちゃてて、来れなかったんだ。」
「そうでしたか。大変でしたね。・・・それで今週に?」
「うん、そう。いきなりじゃ、どうかなぁって思ったけど、電話番号もわからなかったし。」
そう言えば、なにも教えてなかったと、今更気付いた。
「ごめんね。・・・怒ってない?」
「ええ、大丈夫ですよ。」
僕は、安心させるために笑って言った。
「よかったぁ。嫌われたら、どうしようかって思ってたんだ。」
嫌う??それは、僕がではなく、悠が…。と、なぜか、頭の中に浮かんだ。その時、胸が、ズキッと傷んだのが分かって、戸惑った。
「・・・あの、聞こうって思ってたんだけど、光輝さんは、恋人とかっている?」
「…恋人…ですか?いませんよ?・・・こんな僕には、一生出来ないでしょうね。」
僕は、本当に思っていたから、素直に言った。すると、
「なんで?!」
と、本当にビックリしたと言わんばかりに、僕の肩をつかんで、聞いてきた。
「・・・こんな面倒な男と付き合おうとする人はいませんよ。僕も、無理して付き合うのは嫌ですしね。」
「そんな…。そんなことない!!」