―バニラ―
――ケホ、ケホンッ!
と室内に響き、ベッドの中で体を丸める。…少ししてから、部屋に龍哉が入ってきた。
「…大丈夫か?」
心配気に俺の顔を覗き込み、額に手を乗せる。
「…熱は引いたけど、咳がなぁ……」
微かに眉を寄せた龍哉は、
「…着替えてから寝た方がいいな」
そう言うと、龍哉は、寝室から出ていってしまった。……俺は、ここ2、3日、風邪を引いてしまったようでずっと、龍哉に面倒をかけてしまっていた。というのも、龍哉はいつもより、早めに仕事から帰って来てくれたし、ご飯も龍哉が作ってくれていた。…俺の方は、ほとんど治って大丈夫なんだけど、龍哉は寝ていないと駄目だと言って忙しいのに俺が少し咳き込むと様子を見に来てくれるしで……本当に、こんなんじゃダメだよなぁ……俺は痛む喉から軽く息を吐いた。
「…澪…」
龍哉は、少ししてから部屋に戻ってきた。
「昨日も風呂に入ってないから体、気持ち悪いだろ?」
…そう言った、龍哉の手には…お湯の入った風呂桶とタオルがあった。
「気持ち良いか?」
そう言った龍哉の手は、俺の背中を撫でるようにタオルで拭いてくれていた。それに、俺は枕に顔を埋めるようにしていたけれど龍哉に分かるように頷いた。すると、龍哉は、背中が拭き終わると俺の下半身も拭こうとしたけど…さすがにそれは…
「た、龍哉っ!…あとは自分で拭けるからいいよっ!!」
自分が真っ赤な顔をしているのはわかってるけどそんなの気にしてる時じゃないっ!…ずるずると引っ張られるズボンと下着を脱げないように必死に押さえながら言った。けど…
「すぐに済むから」
と龍哉は俺がただ、遠慮してるだけ…みたいに思ったみたいで…。俺が出来る限りの力でズボンを押さえているのを上回る力でズボンと下着を引き降ろした。
「――あっ!!」
俺は恥ずかしさですでに目の前がぼやけていた。そんな俺の顔をちらっと覗き見た龍哉は、ふっと笑って
「大丈夫。優しくするから…」
なんて甘い声で言ってくるし…。龍哉は俺の体の力を抜くために背中にキスを降らしながら下半身へとタオルを滑らせる。すると、暖かな感触がお尻や太股を触ってくるのに俺はいちいち反応してしまって……
「…んっ…」
――抑え切れなかった声が…
俺は、赤かった頬が更に赤くなってしまったのを感じながら枕を握り締めて、早く終わるようにと願う。けど…
「澪、ちょっと腰上げて」
そう言うのと同時に龍哉にグイっと腰を持ち上げられた。
「――ゃっ!やだっ、龍哉っ!!」
自分の秘所が龍哉の目の真ん前にあると思うと頭の中がその事実を否定したがる。―そりゃ、今まで何度も龍哉にそこを見られたり…その…舐められたりもしたけどそれとこれとは…っ!!
「―ひぁっ―」
後ろにある中心を拭われてブルっと体が戦慄く。だけど、そんな俺に気付いているのかいないのか龍哉は真剣に体を拭いていった。そして…
「…終ったぞ…」
「………」
「……澪…?」
「……」
「そんなに嫌だったのか?」
「……っ…」
「…澪…何?」
「……ばか…」
「…えっ?!」
「…龍哉のばかっ!…やめてっていったのに止めてくれないからっ…」
…だから…と涙の溜まった瞳を枕に押し付ける。…俺が澪の顔を機嫌を回復させるために覗き込むと耳と頬が真っ赤になって時折、腰が揺れているのに気付いた。…俺は自然に頬が緩むのを感じながら軽く、澪の耳に息を吹き掛けてこちらを向かせ、
「…一緒に治してくれるか?」
と自分のそれを服から取り出して、澪の主張し始めたものとをもう一度、腰を上げさせて合わせ、甘く澪を酔わせるために動かしていったのだった…。
「……ケホ…ッ…」
全ての後片付けが終った後、澪はベッドの中にいた。そこへ龍哉はあるものを持ってやってきた。
「…澪。喉、乾いてるだろ?」
「……?」
もそっとベッドから起きあがろうとした澪は龍哉に戻され、何かをスプーンですくったのを口元に差し出された。澪は戸惑ったが、龍哉が酷く優しく笑っているから口を開けて、それを招きこんだ。すると、それは口の中で一瞬、冷たいと思わせるとすぐに消えて口の中に甘いバニラの香りを残した。
…俺の好きなバニラアイス……
そう思うとなんだか嬉しいのと照れてしまう気持ちとで…また、真っ赤になってしまったけど…
「…ありがとう…」
そう、甘い香りで潤わされた喉で呟いたのだった。