12月24日、クリスマスのお昼過ぎの事。外は一面銀世界。木々にも真っ白な雪がつもり、なんとも綺麗です。

……いつものベルなら大はしゃぎして喜んでいるはず。……でも、今年はちょっと様子が違ったのでした……

 

 

シュン…と垂れた紫色のフワフワお耳。悲しそうに寄せられた眉根。

際目付けには、何度となく落とされる溜め息…。そんなベルは、ふと意識せずに天井を見上げ

「…ブラッド……どこ行っちゃったんだろ…」

と呟きました。

そう……なんとブラッドが朝からいないのです。これまでブラッドが何も言わずに出かけてしまった事はなく、初めての事にベルは戸惑いと悲しみで一杯でした。

「やっぱり、まだ怒ってるのかも…」

……二人は、昨日、なんとも珍しく言い合いをしてしまったのです。……今となってしまえば別に何てことない事なのに……後悔先に立たず、です。

ベルは、ポツリと呟くと涙目になってしまいましたが、くいっと一度、手でそれをはらうと自分を奮い立たせるために大きな声で言いました。

「大丈夫!きっと夕方には帰ってきてくれるもんっ!!」

そうだそうだ!と自分に言い聞かせ、ブラッドが帰ってきたら二人でお祝いが出来るようにと料理や部屋の飾り付けに奮闘し始めたのでした。

 

 

 

 

が、ベルの想いも虚しく、ベルは今もぽつんと一人っきり……。

「…か…帰って来ないよぉ……」

チッチッと規則正しい時計の針の音が部屋の中、とうとうベルはソファの上で泣き出してしまいました。

…今はもう、夜の八時半。いつもならば、二人でご飯を食べてお風呂に入るまでゆったりと過ごしている時間でした。

「ブラッドぉ……」

ベルは、昨日のケンカで自分がきっと気づかない内にブラッドにひどい事を言ってしまったんだ。優しいブラッドがこんなに怒っているんだもの…。と自己嫌悪。

一人でわぁわぁ泣いて……ついには、疲れてそのまま眠ってしまいました。

 

 

 

 

……そして夜の11時。……カチャリ…と出来る限り音を鳴らさないように入ってきたのはブラッドです。

……ブラッドがこんなに遅くなって帰ってきたのは、レストランで使われる食材や香辛料を追加したいと夜も明けぬ内から頼まれ、雪のため行き来が思うように出来なかったためでした。……そう、喧嘩の所為ではありませんでした。

 

部屋の中は灯りが点いたままでしたが、シンとしていました。…ブラッドは、ベルの姿を探しに周りを見渡し、その姿をすぐに見付ける事が出来ました。ブラッドは、ゆっくりとベルに近づき、頬を撫で髪に一度口付けを落とすと、軽々と抱き上げて寝室へと運びました。

「……ベル……遅くなってすまない…」

ベッドに静かに降ろして囁きました。ブラッドはもう一度、口付けをして離れようとしましたが、その時、ベルがうっすらと目を覚ましました。

「……ブラッ…ド…?…」

ぼんやりとまだ夢の中にいるようでした。それでもベルは、自分を見下ろすブラッドの服を軽く握り締め

「…ごめん…なさい」

と言いました。ベルの目が泣きはらしたようになっていたのでブラッドは驚き、何の事かと思いましたがすぐに昨日の事と分かってブラッドも謝りました。もちろん、もう一度遅くなった事も謝りました。するとベルは嬉しそうに微笑んで

「……もう、どこもいかない?…」

と甘えるようにしてきました。ブラッドは、優しく微笑むと何度も啄ばむようなキスを繰り返し自分もベッドに入り、ベルを抱きしめました。

「……明日、起きたら二人で祝おうな……」

 

ブラッドの胸にしっかりと抱きしめられてベルは満足そうに微笑むと、もう一度眠るために眼を瞑りました。

今度は二人で幸せな夢を見る事を想いながら…。


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