―ハート―
今日は、なんといってもバレンタイン。いつも幸せ一杯のベルにもこの日は”特別”なものである。
「ブラッド、喜んでくれるかな〜〜?」
ベルは頬をほんの少し赤らめながら、手にしたものを見る。その手の中には、ハート型のチョコ。…しかも、そこには白とピンクのチョコで<大好きなブラッドへvv>と手作り&手書きならではの味のある、どこか歪んだ文字が書かれていた。それを目で追うベルは毎度
(なんだか恥ずかしいな〜〜)
と照れながらも思わずニコニコと微笑む。
「ブラッドにこんな風に文字で言ったことなかったし…。喜んでくれると嬉しいな〜〜!!」
…ついつい、何度もブラッドの喜ぶ姿を思い、ラッピングまで進まないベルでした…。
「……やっと、見つけた…。」
ブラッドは、やっとの事で手に入れた紙袋に入ったチョコを見、ふと口元を緩めた。それは、ずっと前にテレビに出て、ベルが食べてみたいと言っていたチョコレートだった。…乾燥いちごをホワイトチョコでコーティングしたチョコと、もう一つチェリーを使って作られたチョコケーキをブラッドは買った。
「……あんなに買って食えるんだろうか…」
ふと、目の前を歩く羊とヤギの袋を見る。……男である自分があの人込みの中に紛れて買ったというのを思うとなんとも言えない気分になるが、それもベルのためと思えば苦ではなく…
「早く帰らないとな…」
口元はそのままに。ほんの少し、目元まで優しくして、ブラッドは、家までの道を急いだのだった。