第四話ー恋しさー
今は、11月の下旬で冬の寒さを体でひしひしと感じる時期だった。
「・・・ただいま」
「お帰り…今日は、遅かったね。」
そう、今は12時過ぎ。俺の帰りにしては、遅い時間だ。しかも、忙しすぎて電話もかけれなかった。それと言うのも部下がある失敗をしてそれを今日中に直さなくてはいけなくなったからだ.…それは、直す事が出来たがのだが….
「ああ…澪、明日から4日間出張に行かないといけなくなった.」
「えっ?…どこに?」
「…北海道」
「北海道!?なんで?!」
「いや…部下の失敗を謝りに行く事になったんだが、どうせなら先方の仕事を手伝って来いって言われて…」
そう、はっきり言って、謝るだけなら北海道まで行かずに済ませる事が出来るのに社長が言い初めた思い付きに先方が乗ってきて俺が行かなくてはいけなくなったのだ。…気が重くなる…
「・・・ふ−ん、そっか。じゃ仕方ないよね。頑張ってきてね。」
そう言って、澪は、俺に明るく笑って見せた。
―「じゃ、行ってくる」
「うん、頑張ってね。」
「ああ…」
俺は、最後に澪にキスをして出かけて行った。
「……」
龍哉と離れていなくちゃいけないなんて、会ってから初めての事だ。龍哉に心配をかけたくなくて笑っていたけれど、本当は、凄く寂しい。たった4日間…そう思うのに次から次へと心が悲鳴を上げるようにズキズキしてくる。
「ハァ……」
俺は、いつも通り掃除を始めて、それが終わるとなにもする気になれずに…また、寝ることにした。
澪は、大丈夫だろうか…?俺は、澪が一人でいる事が人一倍苦手で寂しがりやなのだと知っているから、それがずっと、心に引っかかる。こんな事なら、菱谷さんにでも澪と一緒にいてもらうように頼めばよかった。・・・俺は、空港に向かうタクシーの中で舌打ちした。
「ん・・・・?」
俺は、ボォ−としている頭で目覚まし時計を探った。すると、もう、5時を回っていて、しまったと思った。だって、龍哉が出て行く前に俺にちゃんとご飯を食べたり、ベットで寝るようにと注意していったからだ。龍哉は、俺が、以前にそういう事を避けていて、そんなことをしていた理由も知っているから、よけいに心配なんだろう。・・・俺は、龍哉を信じているし、出張という仕方のない事なのだからそんな事をしようとは思わないけど。それに、俺は、龍哉が俺のこと心配して言ってくれたことだから、ちゃんと守ろうって思ってたんだけど・・・。どうしよう・・・?と、思いながら台所へと向かった。一応、簡単なおかずを作ってご飯を済ませた。だけど、一人で食べたご飯は、美味しくなくて。・・・俺は、そういう理由で龍哉がいない間のご飯は、ご飯とお漬物やお茶ずけといった、普通味気ないといったメニューで全部済ませた。そして、龍哉は、一日に1回は必ず電話をくれて心配もしてくれていた。
―3日目―
今日も、俺は、変わらない生活を送っていた。目が覚めれば一番に掃除を済ませ(毎日のようにしてるから綺麗だし、別にしなくていいんだけど、なにもする事が無くて寝てばっかりになっちゃうから)一応、三回の食事をとり、シャワーを浴びてベットで寝る。そして、龍哉からの電話には、明るい声で答えるのだ。でも、段々と寂しさが込み上げてきて龍哉に弱音を吐いてしまいそうになったこともある。「龍哉に会いたい・・・」と電話を切る前にいつも思ってしまう。でも、そんな事を言って龍哉に迷惑をかけるのは絶対に嫌だからぐっとこらえる。
「あと1日・・・」
俺はボソッとこぼれた言葉に安心すると同時にその一日の長さを思い、溜息をついた。・・・その日の夜、俺は、わずかに香る龍哉の匂いのする布団を抱きしめ、顔を埋めて眠るのだった。