+ 緋勇クンへの想い〜葵日記 +

 通称「菩薩GUN」こと美里葵の理不尽な感情変化を日記にしてあらわしてみました。
 フラグを立てそこなったのに、散々抱きつかれたせいで葵に告白してしまったプレイヤーの分身・ひーちゃんの末路です(笑



4月8日 第壱話 転校生

 今日、ここ新宿、真神学園に1人の転校生がやってきた。
 名前は緋勇龍麻。私は彼を見たとき何か不思議な運命のようなものを感じた。
 そう、なにか言葉では言いきれぬ不思議な定めとも言うべき運命を。

 こんなこと感じるなんてわたしどうしちゃったのかしら?



4月10日 第弐話 怪異

 今日は不思議な一日だった。
 アン子と一緒に旧校舎に潜入したの
 そして、何かに襲われた、そう思った次の瞬間…
 私は緋勇クンに起こされていた。
 だけど、どうしてだろう。
 なぜか嫌な気はしなかったわ。
 それどころか、彼の腕には何か心地よい…そしてなぜか懐かしい感覚までも感じた。

 そして、突然私にめばえた私の不思議な《力》。
 誰かを癒す《力》…。  わたしだけじゃない。
 みんなにも、不思議な《力》が芽生えていた。
 この不思議な《力》は一体なんなのかしら?
 なんだか怖い・・・。



4月13日 第参話 妖刀

 今日もまた、不思議な事件に巻き込まれた。
 花見中に刀を持った男が突然暴れ出すと言う事件が。
 私たちは《力》を使うことで、これをなんとか乗り切った…
 だけど…本当に一体、何が起ころうとしているの?

 そういえば、花見の待ちあわせのとき緋勇クンにさそわれたわ。
 わたし、とっても嬉しかった。
 わたしったら緋勇クンのこと好きになっちゃったみたい。
 緋勇クンも私のこと、そう思ってくれているのかしら?  だったら嬉しいわ、うふふ。



6月3日 第六話 友

 今日、失踪していた小蒔を助け出した。
 醍醐君の昔の友人の凶津って人に石にされていたみたいだけど、無事に戻ってきてくれて本当に良かったわ。

 だけど、緋勇クンッたら、途中であった比良坂さんにデレデレしてたのよ、もう。
 なんだか腹が立っちゃったから冷たくしてあげたら、彼、すごく焦ってたわ。
 ふふ、面白いわ。
 緋勇クン、私のことだけ見ていてね。



7月12日 第七話 恋唄

 今日、比良坂さんが死んだ。
 緋勇クンを護るために命を賭けて、そして死んだ。
 大切な人を守るために。

 私にはあんなことは出来ない。
 緋勇クンもすごく悲しんでた…
 私も悲しかったけど…

 だけど、私、比良坂さんはなんだか生理的に嫌いだったのよね。
 緋勇クン、あなたの心は私が癒してあげる。
 だから、私のことだけを見つめていて…



8月19日 第九話 鬼道

 今日は、小蒔と緋勇クンと一緒にお買い物にでかけたの。
 私は緋勇クンに日記帳を買ってもらったんだけど、彼は花柄を選んでくれた。
 ちょうど、わたしが欲しいものを選んでくれるなんて、私の心と彼の心ってつながっているもかしら?
 だけど、小蒔に「ひーちゃんのこととか書いてあったりして」って聞かれたときはちょっとびっくりしちゃったわ。



9月21日 第拾弐話 魔人

 今日は、誘拐されちゃった。
 だけど緋勇クンやみんなが助けに来てくれた。
 それはとっても嬉しかったんだけど、緋勇クンッたら嫌らしい目でわたしのことを見つめていたのよ、もう。
 男の人ってみんなこうなのかしら?

 だけど、それよりもよ!!
 緋勇クンッたら傷心の私を差し置いてマリア先生を捜しに行くなんて許せないわ!!
 私なんかよりもマリア先生の方が大事だって言うのね!
いいわよ、もう!これを理由にふってあげるから覚悟しなさい!



9月25日 第拾参話 外法都市

 とうとう鬼道衆の一件に幕が降りたわ。
 色んなことがあった一日だった…
 だけど、なかでも気になったのが緋勇クンのこと。

 私が自分の力に悩んでいると、彼は私を優しく愛してくれた…
 だけど、今更遅いのよね。
 私はあなたのことなんて、もう好きじゃないの。
 まあ、仕方ないからそのまま彼に抱きついちゃったけど、後で鳥肌がたっちゃったわ。
 緋勇クン、女の嫉妬の恐ろしさって言うのを教えてあげるから!!

 

10月7日 第拾四話 京洛奇譚

 今日はちょっとしたハプニングがあったの。
 みんなして私と緋勇クンを一緒に帰らせようって計画していたみたい。
 緋勇クン、とっても嬉しそうにしてたから、とりあえず付き合ってあげたけど。
 公園で「私、ずっとあなたのこと・・・・いいお友達だと思っていたいの」って言おうとしたんだけど、不良に邪魔されちゃって言いきれなかったわ。

 だけど、このシチュエーションってひょっとして、すごく面白いかも。
 彼に気を持たせるだけ、持たせておいてから、振ってあげた方がいいわね。
 私のこと、こけにしてくれた恨みよ!!
 うふふ、罪な私・・・。

 

11月1日 第壱拾六話 魔獣行・前編

 今日はアイドルの舞園さやかちゃんに会っちゃった。
 やっぱりというか、なんというか京一君はデレデレしてたけど、仕方が無いわね。
 確かにさやかちゃんは、とってもかわいかったから。

 だけど、緋勇クンまでデレデレしてるのは許せない。
 あなたは、私がどう思っていようとも私のことだけを見つめていなきゃだめなのよ!!

 

12月17日 第弐拾話 龍脈

 今日、緋勇クンの過去の話をみんなで聞いた。
 彼が真神学園に来たのも全ては宿星による定めだったのね。
 そしてわたしと彼は運命によってつながっている…か。
 緋勇クンも運命を信じるって言っていた。
 だけど、私はそんな運命なんて信じない。
 私と彼が結ばれるはずなんて無いわ。
 だって彼のことは私が振ってあげるのだから。



12月18日 第弐拾話 龍脈

 今日は道心さんに菩薩眼のことについて教えてもらった。
 この《力》は、黄龍の器である緋勇クンを護るための《力》だったのね。
 だから私ははじめてあったときから彼に惹かれていたのね。
 そして…すべてを賭してでも、彼を護りたいと思ったわけね。
 …あくまで過去形だけど。

 彼は、私のその言葉の真の意味を理解してないんでしょうね。
 もちろん、そうでないとつまらないんだけど。

 だけど、彼、凶星のものにやられて、重傷を負っちゃったのよね。
 お願いだから眼を覚まして!
 あなたは誰にも負けちゃいけないわ。
 わたしがあなたを壊してあげるのだから…



12月22日 第弐拾壱話 封土(インターバル)

 今日、ようやく緋勇クンの目が覚めたわ。
 あのまま死んじゃったら、どうしようかって思ったけど助かって良かったわ。
 これで私の今までの苦労も無駄にならないってことね。

 彼ったら、わざわざ私を病院まで呼び出して「好きなんだ」ですって。
 いきなりのことでびっくりしちゃったけど「答えはクリスマスまで待ってね」なんて意味深なこと言っちゃったわ。
 絶対私も彼のこと好きだって思ってるに違いないわね。
 うふふ、クリスマスが楽しみ。



12月23日 第弐拾壱話 封土(インターバル)

 とうとう明日は待ちに待ったクリスマスイヴ。
 色々なたのしみがいっぱい。
 私にとっても、彼にとっても…ね。
 彼、絶対に私を病院に呼んでくれるわね。
 どんな風にお断りしようかしら。

 「お友達」…この言葉は絶対に譲れないわね。
 あと、それから「ごめんなさい」…このフレーズも譲れないわ。

 だけど、最初から振っちゃうよりかは、すこし期待させたほうが面白いわね。

 うふふ、今からホント、ドキドキしちゃう。

 

12月24日 第弐拾壱話 封土

 とうとう緋勇クンを振ってあげたわ!!
 彼ッたら、私が「今日は誘ってくれてありがとう」っていったときは、すっごく嬉しそうな表情してたわ。
 それから私が何て言うかも知らずに、ね。

 その後に「だけど…私…」って言ってあげたときの顔ったら、もう傑作。
 彼、絶対、勝利を確信してたみたいね。
 あの顔…まさに呆然自失って言葉がぴったりだったわ。

 その後のしばらくの沈黙。
 彼が何を考えていたのかはわからないけど…あの顔はきっと、あり得ない勝利を信じることしか出来ない、かわいそうな負け犬の顔だったわ。

 そこで、間髪いれず「ごめんなさい、いいお友達でいましょう」よ。
 そりゃ彼、泣きそうな顔してたわ。「
 うそだろ、葵」って声が今にも聞こえてきそうだったわ。

 その後、振り向きもせず帰ってあげたけど、彼、結局どうしたのかしら?
 ちょっと気になるわ。

 あしたは終業式ね。明日も緋勇クンに会えるわ…楽しみ。
 どういう風に接しようかしら?
 一言も口を聞かない…うーん、ありきたりね。
 彼がもっとショックを受けるような対応は無いのかしら…。

 そうだわ、決めた。
 これなら彼も、もう気が狂っちゃうんじゃないかしら?
 うふふふ。



12月25日 第弐拾壱話 封土

 今日は特に何事も無い、いつもと同じ一日だったわ。
 少なくとも私や小蒔、京一君、醍醐君は、だけどね。

 緋勇クンはというと完全にこわれきっちゃって、京一君や醍醐君に愛を語っていたわ。
 ふふっ。期待通りのあきさせない人ね。

 なにしろ、昨日の今日にもかかわらず、私は何事もなかったような顔で接してあげたんだから無理も無いわね。
 もう、あのときの彼の対応といったら…開いた口がふさがらないってのは、まさにあのことなんでしょうね。

 我ながらアレは絶妙な追い討ちだったわね。
 彼ったら「もう東京なんてどうでもいいさ」って雰囲気だったわ。



エピローグ 〜新たなる世界への旅立ち〜

 その後、男に愛をひたすら振りまく、壊れきった緋勇龍麻がいた。
 もはや修羅と化し破壊への欲望のためだけに陰の器、渦王須を倒した陽の器、緋勇龍麻。
 彼を救うことが出来るのは、蓬莱寺京一の暖かい愛のみであった。
 だが、京一が緋勇のことをどのように思っていたかは定かではない。
 ある噂によれば、彼らは劉弦月とともに中国へ渡ったらしいが、これも噂のひとつに過ぎない。

 今はただ、静かに見守るしかないであろう、彼、緋勇龍麻の行く末を…
 彼を待つ新たなる宿星を…
 そう、今はただ…