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エネミット 第1話 「謎のメールと不思議な少女」
作者:ゆきにゃん
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ピコッ。 パソコンの電源が入る音がする。 ガシガシガシ。 いつも思うんだけど、どうしてパソコンってこんなヘンな音鳴らさなきゃ動かないんだろ… それに、なかなか立ちあがらないんだよね。 このパソコン、新しいのに買いかえるからいらないってことで、お兄ちゃんがわたしにくれたんだ。 大好きなお兄ちゃんがくれたパソコンだから、今では私の宝物なの。 ガシガシガシ。 ヘンな音だよね、ホント。 と、やっと起動したみたい。 いつもながら時間かかるなぁ…。 さてと。 パソコンの電源をつけたら、まずはメールチェック。 メール来てるかなぁ…? お兄ちゃんから「えねみ、好きだよ…」とか、ラブレターメール貰っちゃったりしたらどうしよ…きゃっ☆ エヘヘ、そのときは…どんな返信しちゃおっかな… …考えるだけでドキドキしちゃう☆ って、いけないいけない。またヘンなこと考えちゃった。 わたしってば、妄想癖があるってよく言われるの。 「一通のメッセージが到着しています」 あ、新着メールだ。 誰からかなぁ? お兄ちゃんからだったりして☆ えっと…差出人名はっと… エネミットさん? うーん、こんな人しらないなぁ。 誰だろ? えぃ、本文見ちゃえ。 「ていぎすげおふぃお」 ………… ほぇ!? こ、これだけ? 差出人名がエネミットで本文が「ていぎすげおふぃお」だけ? なんか変なメールだよね…… いたずらなのかな? ま、気にしない方がいいよね。 ……………………………… このときはホント、全然気にも止めてなかったんだ。 だから、まさかこのメールが、わたしの運命を大きく左右するなんて考えられなかったの。 このメールがきっかけで、不思議な事件に巻き込まれちゃうだなんて… -------------------------------------------------------------------------------- 第1話「謎のメールと不思議な少女」 -------------------------------------------------------------------------------- わたし、柚木(ゆずき)えねみ。 私立里見中学校に通う中学1年生。 誕生日は9月6日のおとめ座で、血液型はB型。 好きな科目は国語で、嫌いな科目は数学。 数字って苦手なんだよね。 あと、まわりからは「ちょっと変わってる」って言われてるの。 だけどわたし、そんなに変わってるのかなぁ? 自分では普通だと思ってるんだけどなぁ… 「えねみー、風呂はいれよ〜」 下の階からわたしを呼ぶ声がする。 「うん〜」 声の主はわたしのお兄ちゃん。 名前は満人(みつと)って言うの。 優しくてカッコよくて、ほーんと大好き☆ あんなカッコイイお兄ちゃんがいて、すっごく幸せ。 それじゃ、インターネットもそろそろやめてお風呂にしようかな? そう思ってパソコンの電源を切ろうとしたとき。 ふと、あの変なメールのことが頭に浮かんだ。 エネミットさんからの「ていぎすげおふぃお」という謎のメール。 今思ったんだけど… これって何かの暗号だったりして。 子供の頃、刑事コロンボが好きだったせいで細かいことが気になっちゃうんだよね。 というわけで、さっそく解読しちゃおっ☆ 「ていぎすげおふぃお」 ……さ、さっぱりわかんないよう… うーん、どういう意味なのかな? 「ていぎ」はそのまんま「定義」かなぁ… 「定義すげおふぃお」… たぶん、この人は酔っ払ってるんだと思う。 だから、舌が回らないんだ。 「すげお」は「すっべよ」って言いたかったんだよ。 「定義すっべよ、フィオ」 フィオって言うのは、人の名前かな? となると、「定義しようよ、フィオ」って意味になるね。 つまり、エネミットさんはフィオさんに「定義しようよ」っていうメールを出したかったんだねっ。 解決、だねっ。 …って、そんなわけないよね…。 ま、あんまし気にしてても仕方がないし、気にせず風呂に入ろうっと。 と、そのとき。 パソコンの画面が突然光り出した。 (はわわっ、なんなの?) 突然のことにびっくりするわたし。 (Windowsのバグかなぁ… お兄ちゃん、いっつも「Windowsは何もやらなくても勝手にエラー出したりするから」って言ってたっけ…。 でも…どうしよう…) そんなことを考えているうちにも、どんどん強くなっていく画面の光。 眩しいよう… さすがに怖くなってきちゃった… 何が起こってるんだろ!? そして光はどんどん強くなり、部屋中が光に包まれる。 思わず目をつむるわたし。 目をつむっていてもすごい光っているのがわかる。 どうなっちゃうんだろ… ………… そして数秒後。 …そろそろやんだみたい… 目をあけても大丈夫かな…? そーっと目をあけてみる。 どきどき…。 そして、目を開けたときだった。 どたっ! あまりのことにわたしは腰をぬかしてお尻から床に転んじゃったの。 「ほ…ほぇ………ほぇ〜〜〜〜〜〜!?」 パニック状態に陥るわたし。 だ、だって…! わたしの目の前に身長15センチくらいで、変わったかっこをした女の子が浮かんでるんだもんっ! 「は…はう…はわわわわ…」 あまりの出来事に腰を抜かして四つん這いになりながらも、なんとか体を動かして部屋から出ようとしてみる。 そして、なんとかドアまで辿りつく。 「……お、お兄ちゃん…!!はみゅ〜〜〜〜っ!」 ドアを開けながら、一番頼りになる人…お兄ちゃんを大声で呼んだ。 ドタドタドタ… 大急ぎで階段を登る足音。 「どーした、えねみっ!?」 お兄ちゃんの声だ… ドタドタドタ… 階段を登り切ったお兄ちゃんの姿が見えた。 「お、おにいちゃぁぁ〜〜〜ん」 「どうしたんだ、えねみっ!?」 急いで走ってきて私の傍まで来てくれるお兄ちゃん。 「あのね!あのね!! 突然パソコンが光って、それで突然小さな女の子が現れて。 それでね、それでね。 わけがわからなくてとっても怖くて!!!」 もう自分でも何を言ってるかわからなかった。 今までの怖い思いが一斉に涌き出てきて、私は泣きながら説明していた。 そんな私を…お兄ちゃんはぎゅっと抱きしめてくれたの。 「オレが来たから、もう大丈夫だよ」 そんなお兄ちゃんの言葉に私はドキッとする。。 お兄ちゃん…やっぱり優しくて頼りになって…大好き… ドキドキドキ… ドキドキドキドキドキ… はぅ…ドキドキが止まらないよ… お兄ちゃんにぎゅっと抱きしめられて…はぅ… お兄ちゃんへのドキドキで、今までのことはいつの間にか吹っ飛んでいた。 「お兄ちゃん…」 そうつぶやいて、お兄ちゃんの顔を見上げる。 胸が苦しい… どきどき… 「えねみ…大丈夫か?」 「…うん…お兄ちゃんが来てくれたから…。 わたし、どんなことがあっても、お兄ちゃんさえ来てくれれば…」 「もう安心だよ」 そういってお兄ちゃんは抱きしめていた私を開放した。 …はぅ…もうちょっとお兄ちゃんに抱きしめていて欲しかったな… 「で、何があったんだ?」 ちょっと顔を赤らめて、お兄ちゃんが事情を聞いてくる。 と同時に、今までのことを思い出してまた怖くなってきちゃったの。 でも、頑張ってお兄ちゃんに説明しなくちゃ! 「あのね… パソコンが急に光り出してね、とってもまぶしくて目をつむってて… それで光が止んで目を開けたら、目の前に15センチくらいの変わったカッコをした女の子が浮かんでいたの。」 ぎこちないながらもわたしが説明すると、お兄ちゃんは少し怪訝そうな顔をした。 …無理もないよね。 こんな話、わたしだって信じられないんだから。 だけど、すぐにお兄ちゃんはにこっと笑って、 「…うーん、とりあえずオレが部屋に入って確かめてみるよ」 といってくれた。 そんな笑顔にまたドキっとしちゃうわたし。 お兄ちゃん、本当に頼りになってすてき… 「でも…お兄ちゃん、気をつけてね」 「ああ」 そういうとお兄ちゃんはそーっとノブを回して部屋に入っていった。 だいたい1分後。 ガチャ。 お兄ちゃんが出てくる音がした。 「あ、お兄ちゃん…どうだった?」 「ああ、ちょっと探してみたけど誰もいなかったよ。」 「…そうなんだ…」 「見間違えか何かじゃないのかな?」 「うーん…そうなのかなぁ……」 でも、確かに見たんだよね…。 「ゲームのしすぎで疲れてるとかだったりしてな」 そう言うと、お兄ちゃんは私の頭を撫でて髪をくしゃくしゃにしながら笑った。 「ぶーっ、そんなんじゃないもん〜〜!!」 「あははっ、悪い悪い。 まぁ、もしまた何かあったら遠慮なく呼んでくれよな」 「…うん」 ちょっと釈然としないんだけどね。 でも…お兄ちゃんのいうとおり、疲れてたのかもしれない。 「風呂入ってゆっくり休めよ」 「うん。」 そして、私は釈然としないながらも下に降りて風呂へと向かった…。 ……………………………………………… 1時間後。 風呂を出てパジャマに着替えてテレビを見ていた私は、意を決して部屋へ戻ることにした。 部屋に戻らないと眠れないもん…。 あ、でも…お兄ちゃんの部屋で一緒に寝かせてもらうって言いうのもいいかも。 お兄ちゃんと一緒に寝るなんて…きゃっ☆ …… うぅん、ダメだよ。 お兄ちゃんに迷惑かけてばっかりだもんね。 頑張って、お兄ちゃんにいいとこ見せなきゃ!! ………………………… 10分後。私は部屋の前にいた。 (…大丈夫かなぁ…) 怖くてなかなか部屋に入れない。 実はもう5分くらいここに立ったままなの。 だって…やっぱり怖いんだもん。 (ええいっ、いつまでもいられないもんっ、もしまたいたらお兄ちゃん呼んじゃえっ!) 意を決してノブを回し部屋に入る。 キョロキョロ。 あたりを見まわしてみたけど。誰もいないみたい。 あはは、やっぱり何かの見間違えだったんだね。 そんなこと、あるわけないよね。 そう安心した刹那。 「こんばんわ、えねみちゃん」 後ろから私を呼ぶ声がした。 だ、誰!? 泣きそうになりながら振り向くと、また目の前にさっきの小さな女の子がいた。 「は…は…はぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」 例によって腰を抜かして床にしりもちついちゃう私。 や、やっぱり見間違えじゃなかったんだ… 「はぅ〜〜〜ぐすっ」 パニック状態になって泣いちゃう私。 ど、どうしたらいいの…? 「そ、そんな怖がらなくてもいいのにぃ…」 ちょっと困ったような顔をして女の子が言った。 「はぅ…だって……わけがわからなくて怖いんだもん… あ、あなた…何者なの…?」 泣きながらも必死に聞く私。 「…そうかもね…いきなり目の前に私みたいなのが現れたらびっくりしてこわいよね…」 ちょっと寂しそう女の子はつぶやいた。 「えっとね。わたしはフィオ。 あなたのエネミット…つまり守護天使みたいなもの…かなぁ…」 「フィオ…? エネミット…? 守護天使…?」 「そう。そしてわたしはあなたの精神が作り出した存在なの」 「…ほぇ?????」 ぜんぜん、話が飲みこめないよ…。 一体何が起こってるのかな… そうだよ、きっとこれは夢なんだよっ。 「あ、言っておくけど夢じゃないからね〜」 はうっ、そんなお約束なツッコミしなくても… 「えーっとね…詳しく話すと長くなるけど… とにかく、わたしはあなたの守護天使のようなもので、あなたを守る…もしくはあなたの力になる存在で、害はないので安心して。」 「う…うん…」 大丈夫なのかなぁ…。 「大丈夫だって。わたしはあなたの精神の一部だしね」 「ほぇ……?」 よくわからずにポカ〜ンとしながら聞くわたしに女の子はにこっと笑いかける。 「そんなわけで。」 女の子は丁寧にお辞儀をしてこう言った。 「わたしはエネミット・フィオ。こんごともよろしく☆」
(作者コメント) 企画倒れ小説です(汗 結構気に入ってるんですけど、設定が難しすぎて書けませんでした(汗
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