ドラゴンクエスト2
FC、SFC、GB/エニックス/RPG

 ドラゴンクエストといえば、誰もが知る国民的RPGです。
 さすがにその面白さは折り紙付きで、まさにRPG黎明期の傑作といえるでしょう。
 そんなゲームをそれをここで扱うのはどういうことだ、と仰るお方もおられるかもしれません。

 しかし。バカゲーとクソゲーは違います。
 このゲームは確かにクソゲーではありません。
 しかし、この頃のRPGにはデスクリムゾンの「せっかくだから」で始まるストーリー以上に理不尽な展開が盛りこまれています。

 特に2の壮絶さは他を圧倒するパワーに満ち溢れています。
 今回は、名作RPGのそんな一面を垣間見て行きましょう。
 って、そこっ!! バカゲー専科の真似とか、いわないのっ!!(笑


●ドラゴンクエスト2の華麗なる幕開け

 ある日、ムーンブルクのお城がハーゴンの軍団に襲われます。
 そして落ち延びた兵士がローレシアに向かいます。
 よく考えるとサマルトリアの方が近いのですが、サマルトリアはちょっとアレなこともあり、 どうやら彼にはローレシアしか眼中に無いようです。

「ローレシアの王さま!
 大神官ハーゴンの 軍団が わがムーブルクの 城を!
 大神官ハーゴンは まがまがしい神を呼びだし世界を破滅させるつもりです!
 王さま! なにとぞ ご対策を……! ぐふっ!」


 まさしく決死のメッセージ。衝撃なる幕開けが始まるのです。

 ちなみにここでは便宜上、主人公であるローレシアの王子を「もょもと」と名付けます。
 ええ、発音できない例のアレです。

 兵士の決死のメッセージを聞いた王様は言います。

「王子もょもとよ。話は聞いたな?
 そなたも また 勇者ロトの血を引きしもの。その  チカラを試されるときが 来たのだ!」



 いきなりです。
 勇者ロトの血がどうのこうのいってます。嫌な予感爆発です。
 王様の中ではロクな対策案が練られてないような気がしてなりません。


「悲しんでいる時間は ない…。
 旅立つ覚悟ができたなら、わしについてまいれ!



 いきなりこれです。
 もう先の展開がまったく読めません。
 何をどう受け取ったら、王子が旅に出ることになるんでしょうか?

 きっと、このときの王子の心境を言葉にすると「なんじゃそりゃあああ!?」の一言でしょう。
 もうひとこというなら「いきなり、それは無いだろう!?」でしょうか。
 旅立つ覚悟もクソもないです。

 あまりに突然の出来事に唖然とする王子、とりあえず周りの兵士や大臣に話をしてみます。


大臣「もょもと王子!
 じいは王子と離れるのがつろうございますぞ!」
 しかし、これもひとびとのため。泣かずにお見送りせねば……うっうっ。」



 こいつら、絶対グルです。
 きっと、王子を無理やり旅立たせて、すべての責任を王子一人に押し付けるため、 王子が旅に出ることを決めつけて、悲しんでいる振りをしてるとしか思えません。


兵士「旅のご無事を祈っております。
もょもと王子さま、どうかお気をつけて」



こいつもです。
ぜーったいにグルです。
誰も旅に出るなんて言ってません。

しかし、ハーゴンの軍団にムーンブルクが壊されてから
旅立つ必然性がどこにあったんでしょう?
もっと前に対策練るつもりはなかったんでしょうか?

とりあえず、仕方ないので旅立つ覚悟を決めて、階段を降ります。


王「さぁ、もょもとよ!
 その宝箱をあけて旅の支度を整えるがよい。」



 とつぜん目の前に宝箱です。作為的です。
 一体どこにこんなもん用意していたんでしょうか?
 これはどう考えても陰謀としか思えません。


王「サマルトリアとムーンブルクには同じ血を分けた仲間がいるはず。
 そのものたちとチカラをあわせ、邪悪なるものを滅ぼしてまいれ!」



 そして、これです。
 同じ血を分けた王様はどうしたんでしょうか?
 自分もロトの血を引いてることを自覚してないんでしょうか、このひとは?

 で、宝箱を開けずに進もうとすると…


王「どうした、もょもと。さあ、その宝箱を空けるのじゃ!」



 なぜか、やたら宝箱にこだわります(笑
 そんなにこだわるんなら、きっといいもんが入ってるんでしょうね。
 王子は宝箱をあけてみます。


 もょもとは宝箱を開けた。
 なんと!
 銅の剣と50ゴールドを見つけた!



 これだけです。1のようにロトの血を引くただの若者ならまだ仕方ないです。
 所詮は他人ですから。
 でも、自分の一人息子に対して、50ゴールドと銅の剣しか与えないのは無しでしょう。
 これでは死ねと言ってるようなもんです。

 気分はまさしく神風特攻隊。
 王家の財政がそんなに厳しいのでしょうか?
 近くで金の扉で封じられた宝物庫があったりするのに。

 「これだけ?」と唖然としながら王様に話をすると…


「行け もょもとよ。わが息子よ!」



 聞いても答えてくれません。
 そうです。たったこれだけで、ハーゴンを倒せといいます。
 そして王子と同じくロトの血を引いている自分はのうのうと暮らすつもりです。
 ゆきはハーゴンよりも、こいつ殺す方が先だと思うんですが。

 こんな王さまのこと、きっと王子が戦死したらハーゴンに泣いて謝って部下にしてもらうに違いありません。

 とりあえず上に戻って兵士たちに話を聞いて見ましょう。


兵士「ああ わたしも もょもと王子についていきたい!
 しかし、私には王さまをお守りする役目があるのです」




 あんなおっさんいいから、お前がついて来いというセリフが出てきたのは、ゆきだけではないでしょう。



●陰謀渦巻くエンディング

 そして、この後王子は旅に出て、数々の困難を経て魔法使いであるムーンブルクの王女とともにハーゴンに勝負を挑むわけです。
 もう一匹はクソの役にもたたないんで、カウントしません。

 さあ。いざ、ハーゴンの神殿…と、思いきや、そこはローレシアの城でした。
 町の人の話によると、王様はハーゴンと和解し部下になったということらしいです。
 街の人々はハーゴンのことをいい人だと称え、神父は神としてあがめてます。
 王様に会うと、幸せそうにハーゴンの部下としてやってます。

 精霊ルビスによると、これはハーゴンのつくった幻だといい、まやかしをといてくれます。
 しかし、これは本当にまやかしなのでしょうか?
 あの、自分の息子を神風特攻隊のように扱う鬼畜父親のこと。
 王子が死んだら、ハーゴンに泣いて謝って本当に部下にしてもらっていたとしか思えません。

 ゆきにはこれは、或いはあり得たかもしれないもうひとつの未来としか思えません。

 王子が死んだ場合の未来をハーゴンがうつしだし、王子に対してやる気を無くさせる作戦だったとしか思えません。
 大体、悪の大神官ハーゴンが、自分のことをいい人だのどうのこうの言わせて
 王子たちと戦わず平和的解決させるでしょうか?

 それはともかく。
 死闘の末、ハーゴンは邪神シドーとともに王子たちの刃によって倒れ、世界に平和は戻ります。

 そしてローレシア。
 王はこの2人の勇者たちをたたえ、王子に王位を譲ろうといいます。
 王子は、まだ自分にははやいとおもい、それを拒否します。
 しかし。ここでの王様の言葉が


「これ、わがまま言うでない」


 です。

 結局、王位を継がせたいだけですか?

 どれだけ拒否してもダメです。
 強制的に王位をつがされます。

 先が思いやられる…というより、何か企んでるとしか思えません。
 それか王様やるのが嫌になったか。

 こうして感動のフィナーレは、やはり王様の陰謀によって幕を閉じるのでした、めでたしめでたし。