阿呆で馬鹿な出来事

〜美容室はるかさん編〜


はじめて美容室で髪を切ってもらおうと、意気揚々と自宅
を出発。(ちなみにこの時、私高3…それまで髪、長かっ
たんだよね)
 自宅の近くにある美容室に行って、髪の毛を切ってもら
う…予定でした。
というか、私はそうしたつもりでした。
が……。ちょっと雰囲気が違うのです。
 まず、扉を開け店内に入ったときに感じたのは、
店員さんの様子でした。怪訝な顔で私を出迎えるおじさん。
「ん??」
 まぁ、お腹の調子でも良くないのだろう、と、あまり気
にも留めず勧められるまま椅子へ座らされ、カット開始。
その時――
「いつも、ウチ(この店)で切ってもらってるの?」と、
おじさん。
「いいえ。今回が初めてなんですよ。今まではずっと伸ば
してたし、前髪とかは適当に(笑) 自分で切って、親に調
整頼んでましたから」
――そもそも、“美容室”におじさん一人しかいないのに、
違和感を感じない事で、気付くべきでした。
 が、当時の私にはそれだけの経験もなく、そして美容室
デビューという緊張からか、正常に機能してもおバカなの
に、さらに機能低下している頭では、何を疑えるワケもな
く、椅子に身を委ねていたのです。
 さて、カットもいよいよ佳境に入ってきた頃、別のお客
さんが店に尋ねて来ました。
「あれ、今日は可愛いお嬢ちゃんがお客さんかい? 珍し
いねぇ」
 彼のそんな言葉を、不思議に感じる私を、表情から察し
たのかおじさん。
カットを続けながら、さらっと一言。
「ここ、床屋だよ」
 あれ――――――っ!?
 気付いた時には時既に遅し。まさかカットの途中で店を
出るわけにも行かず、最後まで切ってもらいました。…お
かっぱ頭になったけど(涙)。
 店を出て、ちらっとドアの方を見やると、床屋には付き
物の例の“くるくる棒”が、無言の訴えをしているんです。
「僕を無視しないで」って(笑)。
 勿論、この話は翌日学校中の友達に広めました(笑)。話
を聞き終わると何故かみんな、口をそろえてこう言うので
す。
「その髪型、よく似合ってるよ」。
 これは、一体どういう意味なのでしょうか?

[はるかさんの場合]
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