滝はちょっと(?)昔、小学生の時にピアノを習ってま
した。
当時はお母さん達の間で子供に習い物をさせるのが流行
ってて、その巻き添えをくらって行きだしたって感じでし
た。
滝は、ピアノ弾いてるより外で遊んでる方が好きな子供
だったので、練習とか凄く苦痛でした。大体、音感とか、
センスとかが、素晴らしく、天才的に!・・・
無かったんですよ(泣)
それでも、何とか続けて或る日、ピアノの発表会なるも
のに出させてもらったんです。
きれいなドレスに、いつもより高級なピアノ。
そして沢山のお客さん・・・。
ホテルの舞台か何かだったと思うんですが、照明とかま
で凝ってて凄い本格的な発表会だったんです。見事に、緊
張しました。
それはもうこちこちに。
曲は簡単な「ぶんぶんぶん」
蜂が飛ぶ〜〜 って奴です。
出番が来て椅子に腰掛けた途端に頭が真っ白になってし
まって・・・。
「ド」って、何処・・・?
混乱した頭で一生懸命探しました。
ええと、ええとっ!!!!
し〜〜〜ん
当たり前の事だけどみんなが私の演奏を待っています。
早く探さなきゃ。「ド」っ!「ド」はどこーーーー!!!
あったーーーっ!
これだっ!
意気込んで力一杯弾きました。
ぶんぶんぶん〜(ず〜ん)
あれ?
蜂が飛ぶ〜(ず〜ん)
あれれれれ
凄い違和感・・・。
そう、お馬鹿な私は、1オクターブ下で演奏してしまっ
たのです。
「ド」は「ド」でも、本来左手で弾くべき「ド」を右手
で。そして普段は滅多に使わない更に低い「ド」の部分を
左手で・・・。
重苦しい葬送曲の様な「ぶんぶんぶん」が会場中に流れ
ました。
「ともえちゃん、良い演奏だったわよ」
と、先生が舞台を降りた私に声をかけてくれました。
・・・大人って嘘つきだ。
幼心にそう思う私でした。
まあ、あの時先生も、それ以外何も言えないよね〜。と
今なら思うのですけどね(汗汗)
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