インビジブル HOLLOW MAN  (ビデオ)

 監督:ポール・バーホーベン キャスト:エリザベス・シュー  ケビン・ベーコン


 2003年プロ野球、日本シリーズ第七戦のテレビ中継が終わり、脱力感に浸ったままでテレビを眺めているとこの映画が始まった。
 まだ野球の余韻が残っていたので、画面は眺めているもののほとんど頭に入ってこなかった。
 ヒチコック監督『裏窓』のパクリと思われるシーンで「またか!」と思ったことだけが記憶に残った。
 こういうシーンを今まで何度見たことか。いささかウンザリしていたのを覚えている。

 それから間もなく私は大阪に転勤になり、引越し早々奈良の電気製品量販店に出かけた。
 その店は二年間の東京転勤の間にパソコン中古品ショップに変わっていた。せっかく来たのだからと店に入ってうろうろとしていると、レンタル落ちのビデオが一本百円で売られていた。東京では映画をほとんど見ていなかった私は、奈良に帰ったら映画を沢山見たいと思っていたので、とりあえず数本買うことにした。王監督の胴上げ直後に見た『インビジブル』が目に入り、もう一度見直してみようと手に取った。

 はっきり言って面白くない映画だった。理科の実験室にあった人体標本を思い出させる、人間が透明化していく映像は『バタリアン』ほどの迫力もなく、後半も『エイリアン』を思わせる閉鎖的な建物内でのアクションシーンも食い足りない。
 ところで、冒頭に書いた『裏窓』のシーン。ふと気がついたのだが、私も小説『最後の夏』で書いていたのだ。
                                                  2003年11月11日