知らない世界への道標 地図が無ければ迷ってしまう

  だけどガイドブックは邪魔な荷物。現地の匂い 地元の言葉

  危険な視線 思わぬ出会い 何気ない味覚

  肌に訴える気温と湿度 風と雨と雪

  五感に迫るものが旅の醍醐味

  東か西か 南か北か あとは第六感に頼って漂うだけ

旅の入り口

  ねっとりと肌にまとわる空気 鼻につく香辛料の匂い

  じっとり汗ばむ

  意味不明の文字列 聞き取れない言葉

  直線的に刺してくる視線 友好的な微笑み

  意地悪な入国審査官 袖の下を要求する税関吏

  近寄るポーター トイレでハンカチを差し出す青年

  袖を引く運転手

   カプセルの中から突然 喧騒の中に放り出された戸惑い

   何かが始まる危険な予感


夜陰

  オレンジ色の外灯 風も無いのに吹きだめられた新聞紙

  うごめく人影 通り過ぎるバイク 歩道に撒かれたスープの残り   

  片言の日本語で話しかけてくる客引き 機銃を下げた兵士

  乳母車を押す老婆 好奇の目でまとわる子供 交差点で止まっている軍の車輌

  確かにここも人間の生活圏