足を粉砕骨折した。
手術した医者はまるで俺の気持ちなど眼中に無いがごとく椅子の脚を直すようにつぎはぎして行く。
「麻酔の効きが悪いか?そりゃお前が酒飲みやからや。まあ、これぐらい我慢せえや。じたばたするな!失神してもええぞ」
翌日、病室巡回の時
「おい、君に女性から花束が届いてるぞ、花を楽しむガラちゃうやろわしがもらってるから、みたけりゃ這って院長室まで見にこいや」
この医者が好きになってしまった。
女も医者が好きになったのか毎日花を持ってきた
「意地を通す」
かの文豪が言っていた
「――意地を通せば窮屈だ、兎角この世は住みにくい」
酒場で1人、呑んだくれてるおやじがつぶやいた
「意地を通す相手もおらん、まったくこの世は味気ねえ……」
思わず俺もつぶやいた
「意地を通せば誰かの意地がへこむ、それで勝った気になれるのは幸せものさ。とっくに負けているのに気が付かないで」
「権威者」
その業界ではカリスマ的な、ある権威者の書いた入門書を読んでいた。
自分の自慢話と、自己宣伝に終始して、これから、勉強しようとするものをなめた内容。
ゴーストライターと分かる文体。しかも間違い記述があった。
電話をして、指摘をすれば
「よく気付いてくれた、お礼に私の本を贈ります」