溶 連 菌 感 染 症


 溶血性連鎖球菌の略称です
  のどかぜ(扁桃炎)は色々な病原体でおこってきますが、そのうちでも溶連菌という細菌が原因の場合は特に症状が強いので有名です。昔は『猩紅熱』といい、法定伝染病でした。

 症 状 は ?
  昼間元気に遊んでいたのに、夕方急に熱があがり39℃もあったといったような始まり方です。のどをのぞくと扁桃は真っ赤に腫れていてのども痛くなります。そして全身に細かい発疹が出ることが多いのです。ふだん発熱しやすい子どもでも、いつもの発熱とは違いぐったりしていることが多いのが特徴です。

 猩 紅 熱(しょうこうねつ)
  昔はこの原因が分からず、猩紅熱という病名をつけて明治30年に法定伝染病の仲間に入れました。しかし現在では溶連菌による病気でしかも抗生物質が大変よく効くことが分かっております。それで小児科医は、赤い細かい発疹がでますが、猩紅熱という病名は使いません。抗生物質で治る簡単な病気なので小児科医は『溶連菌感染症』という病名を使うわけです。

 経 過 は ? 
  発熱から2〜3日たつと、細かい発疹が全身に出て、特に柔らかいところに多く出ます。発疹は少しかゆみがあります。口のなかも赤くなり、扁桃は真っ赤になります。舌の変化もこの病気の一つの特徴で、はじめは舌が白い苔で覆われたようになっていますがそれがとれると舌の表面は赤いブツブツができて、まるで苺(いちご)の表面のようになりますので、これを苺舌といいます。
  薬を飲めばたいていその日のうちに熱は下がりますが全身の発疹は消えるまで3〜4日かかります。10日程あとに手足などの皮がむけることもあります

 合 併 症 が こ わ い
  溶連菌感染症自体はあまり恐ろしい病気ではありませんが、気をつけなければならないのはその合併症で、急性腎炎とリウマチ熱が心配です。喉のばい菌をしらべ、溶連菌(A群β溶血性連鎖球菌)とわかればペニシリン系の薬を飲んでください。お薬を飲んでから尿の検査をして腎炎をおこしていないかチェックし、溶連菌が消えたかどうか確認します。リウマチ熱は最近は非常に少なくてあまり心配はありません。 

 治 療 は ?
  お薬は溶連菌に対してはペニシリン系のものが非常に効きますので、確実に飲んでください。お風呂は発疹が薄くなったら入ってください。またこの病気は免疫が出来ないので何べんでもうつることがありますから、気を付けましょう。保育所などは2日間だけ休んでください。

 最 後 に 
 ポイントはとにかく最低10日間お薬を飲むことと、そのあと尿の検査をすることなのです。

再発、再感染が多いのも特徴です。ペニシリンや、セフェム系の薬が良く効き、すぐ解熱し、元気になりますが、お薬を止めるとすぐ再発するがあります。お薬を飲み止めた翌る日から発熱することもあります。その場合はペニシリンを2ヶ月くらい飲み続けていただくこともあります。またセフェム系の薬物に変更して飲んでいただくこともあります。何度か再発してもその都度抗生物質を服用していただいている間に、しだいに再発が減ってきます。昔のように扁桃腺を切除することはほとんどありません。
昔は溶連菌感染の後で、急性腎炎がしばしば起こりましたが、近年はそれもほとんどなくなり、再発を繰り返す方でもあまり心配することはありません。