予 防 接 種 に つ い て


 B C G
  BCGは結核に対する予防接種です。副作用はほとんどありません。

生後3ヶ月から6ヶ月の間に接種することになっていましたが、早く接種された赤ちゃんの中には、骨髄炎を起こした不幸な例もあったので、生後5ヶ月以降一年までの間にすることになりました。5ヶ月から8ヶ月ころが最適と言われています。

乳児期にBCGワクチンをする国は、非常に少なく、いろいろ意見もあるようですが、乳児期の粟粒結核、結核性脳脊髄膜炎などの重篤な感染を予防することが目的で、採用されました。
 ポ リ オ
  脊髄性小児麻痺のワクチンです。昭和30年代までは猛威をふるっていた病気ですが、最近は予防接種によりほとんどありません。病気がなくなったから受けなくてもよいのではという人を時々見かけますがポリオは、手足が麻痺し、ときには生命まで奪われる大変こわい病気です。世界にはポリオの蔓延していいる国もまだまだ多くあるので、いつ日本に入ってくるか分かりません。必ず受けるようにしましょう。長い間日本ではこのワクチンだけが口から飲むワクチンでした。日本国内での自然発生はなくなりましたが、生ワクチンの経口接種のあと、100万回に1回くらいの割合で、ワクチン株が野生化し、飲んだ子の周辺に麻痺の患者が出ることがありました。このため、より安全な不活化ワクチンの注射が切望されていました。喜ばしいことに、日本でも不活化ワクチンが定期接種として利用できるようになりました。今は移行期なので、ワクチンの接種方法がかなり煩雑なので、接種している診療所・病院とよく相談して下さい。

次に書いてある三種混合ワクチンとポリオワクチンを混合して、四種混合ワクチンが使えるようになりました。 

 三 種 混 合 ワ ク チ ン(DPT) (ジフテリア、破傷風、百日咳)
  ジフテリア、破傷風、百日咳の3種類のワクチンを混合したものです。以前はだいぶん副作用が多かったのですが、現在は改良されて発熱は2〜3%くらいになりました。しかし注射をした部位が腫れることが多いワクチンです。一番はじめの時は殆ど腫れませんが2回目、3回目となるにしたがって腫れやすくなります。第一期に3回して第二期に1回すれば基礎の免疫ができます。
  このワクチンは合計で4回行うことが大切で、間隔はあまり気にしないでください。

 日 本 脳 炎
 罹ると大変病状がおもく死亡率も高く、治っても後遺症が多いので、接種をおすすめします。
  昭和20年代までは大変多く発生したのですが最近は西日本特に九州に多く、反対に北海道ではありません。九州地方に住む人は是非必要と思われます。また、東南アジア方面への旅行も多くなり、その意味でも接種が必要と考えられます。
  副作用は注射をした当日に37・5℃くらいの熱が出ることがあります。

 イ ン フ ル エ ン ザ
  効果があるかどうかで大変議論が多いワクチンです。全く効果が無いという人や少しだけ効果があるという人もあります。しかしこのワクチンをした場合はインフルエンザにかかってもひどくはならないとも言われております。とくに乳幼児の脳症の予防に効果があると、いわれています。高齢者の場合は、施設での調査で、予防効果がハッキり証明されましたが、年少者ではまだいろいろ議論のあるところです。

現在吸入して効果のある生ワクチンの開発中です。

 イ ン フ ル エ ン ザ 桿 菌 (H i b 菌)ワクチン

乳幼児期に高熱を出し、髄膜炎(脳膜炎)や敗血症、肺炎、中耳炎、クループなどの重症の病気を起こすこれらの菌に対するワクチンです。Hib髄膜炎は乳幼児1000人に1人の割合で発生し、約半数の死亡・脳の後遺症をおこす重篤な疾患ですが、ワクチン接種することにより発生率が100分の1に減ります。国内でも定期接種として実用化されました。

裏話ですが、ワクチンの導入前は子どもの患者さん(当然、小児科医にも) にとってこれほど恐ろしい病気はなく、この病気を早く発見することが小児科医の使命の一つでもありました。今活躍している小児科医の誰もがこの病気による苦い経験を一つや二つ持っているものと思われます。

 乳 幼 児 用 肺 炎 球 菌 ワクチン (結合型)

成人用のもの(23価)を乳児に使っても、抗体の上昇が悪いため、効きません。そのため特殊な操作を行って免疫原性を高めてあります。

このワクチンが広く使われている米国では、肺炎球菌による髄膜炎が約6割減少しています。高齢者の肺炎が減ったというデータもあります。
Hibワクチンと同時に定期接種になりました。現在7価のワクチンですが、欧米と同様に13価のものが、もうすぐ使えるようになります。

 ヒ ト パ ピ ロ ー マ ウ イ ル ス ワ ク チ ン、子 宮 頚 癌 予 防 用

我が国のほとんどすべての子宮頚癌はパピローマウイルスの感染によって起こっています。多くの遺伝子型があり、それぞれがいぼを作ります。子宮頚癌をつくるのが14種類くらいあり、中でも遺伝子型16,18型が最強です。この16,18がたを目標としたワクチンが今広く用いられています。この二つで子宮頚癌の60〜70%をしめています。このワクチンの接種により子宮癌の7割が予防できるという意味です。もちろん、癌検診を併せて行う必要があります。
25年度から定期接種が行われるようになりましたが、様々な有害事象が起こったため、積極的接種勧奨が一時中止になってしまいました。(平成25年6月)。因果関係を十分調査して国として再開するかどうするかが決定されるでしょう。

 ロ タ ウ イ ル ス ワ ク チ ン

昔は、今でも発展途上国では、冬になると、白い下痢をし、嘔吐を頻回にして脱水がどんどん進行し、いのちの危険にさらされた子どもさんが沢山いました。冬季白色便性下痢症ともいわれた病気です。現代の日本では重症の感染はなくなりましたが、脱水が進行して入院を要することもまだまだ多くあります。世界中では年間約100万人のこどもが命を落としているといわれています。そのロタウイルスに対するワクチンです。生後4週間から受けられます。経口で飲む生ワクチンです。接種後4週間は他のワクチン接種ができませんので、受けるときには、日程をよく考えて他のワクチンと同時に受けることもあり得ると思って下さい。

また、このワクチンはほぼ生後6ヶ月頃までに受ける必要があります。それ以後に受けると、腸重積発症の可能性が増えることが心配されています。

 B 型 肝 炎 ワ ク チ ン

B型肝炎ウイルスに対するワクチンです。現在では母子感染予防事業のおかげで、母親からの感染がほとんどゼロとなり、輸血からの感染もほとんどなくなり、新規の感染は性感染症の意味合いが強いということです。その他、輸血、歯ブラシやカミソリの共用、不適切な血液の扱いなどによっても感染します。今のワクチンは遺伝子組み換えワクチンで、効果が高く安全面でも際だって副作用の弱いワクチンとして知られています。