ロタウイルス感染症(ノロウイルス)

(冬季乳児下痢症、白色便性下痢症)

(ウイルス性胃腸炎、かぜからくる下痢)


 ウイルスによる下痢
  11月の末になると、例年のことですが、赤ちゃんの下痢が多くなってきます。ことに離乳期から1、2才頃の年令の乳幼児に多くみられます。
  はじめは吐き気で始まりその後、下痢になります。下痢(写真)は泥状便から水様便で、色はふだんの便より白っぽく、何回も出るので、からだの水分が失われて赤ちゃんは元気がなくなります。これに鼻水や、くしゃみせき、熱などかぜ症状を伴なうこともあります。この原因の多くはウィルスのためです。その主役のウイルスがロタウイルスです。ほかに小形球型ウイルスと総称されるウイルス(今はノロウイルスと名前が変わりました)があります。
  11月頃からのかぜは、その原因であるウィルスがおなかをねらいやすいので、呼吸器よりも消化器の症状がおもに現われやすいのです。したがって、時には下痢だけで、かぜの症状の出ないこともあるし、かぜの症状から下痢の始まることもあります。
  そして、かぜのウィルスの感染ばかりでなく、気温の低下で体の調子がくずれることなども、この頃の下痢の原因と考えられます。年令が大きいほど症状は軽くすみ小さいほどひどくなります。1才前後の乳児では1〜2日間吐き気があり、5〜7日間、下痢が続き治るときは急によくなることが多いようです。
  昔の話で恐縮ですが、輸液療法の未発達の頃は(約30年前)、この病気で多くの乳児が亡くなりました。現在でも体力のない子どもさんの場合には、点滴やひどい場合は入院することもあります。現在ではこの病気で死亡することは日本では滅多にありませんので、安心してください。

大変よいことに、近年ワクチンができました。日本でも平成23年度から定期接種になりました。

多くの乳児がそのおかげで助かるでしょう。

ワクチンには二種類ありますが、効果に差はありません。

 吐 き 気 が あ る 時 に は
  @ 体の右側を下にして横向きに寝かせておく。
  A 牛乳、粉ミルク、母乳、オレンジジュ−スなどは与えない。
  B イオン飲料(○○○スエット、○○○リアスなどのスポーツドリンクではありません。)を少しづつ(20cc30cc)
     時間をあけて(5 分〜10分ごとに)与える。必ず温めて飲ませてください。
  C 吐き気どめの薬を飲んだり、吐き気どめの坐薬を肛門に挿入して30分してからイオン飲料などを与える。
  D 食べ物は、吐き気がある間は与えません。

 下 痢 の 時 の 食 事 に つ い て
  @ 温かいもの、軟らかいもの、消化の良いものを与える。
  A 量の制限をしないこと。
  B 下痢の激しいときは水分の補給が大切です。
       ★ 番茶、湯ざまし → 塩、砂糖をほんの少し加える
       ★ イオン飲料、リンゴジュース、などがよい

 例 え ば 与 え て も よ い 食 物 は
  @ おも湯、粥、ウドンなどで、温かい牛乳は下痢の状態によっては与えないほうがいい場合もあります。
  A リンゴ、トマト、柔らかく煮た白菜、豆腐などの味噌汁、柔らかい煮魚。
    人参や野菜は煮た上で、おろしがねでおろしてあたえます。刻んだだけでは線維がバラバラにならず、
    下痢にはよくないです。

 与 え て は い け な い 食 物 は
   いちご、なし、みかん類 、生野菜、肉、卵
  
 便 の し ま つ は ど う す る の ?
  @便の中には、ウイルスが沢山います。それを不注意に扱うとウイルスが家の中にばらまかれてしまいます。
    他の人が感染する機会が増えます。
  Aでは便をどう始末したらいいでしょうか?
  B介助者はビニールの手袋をはめ、お尻を拭いたり、おむつをさわったり、便を始末します。素手で触らないようにします。
  C自分で始末できるひとは、用便がすんだら、水道水と石けんで手を洗い、タオルで拭き、乾いたら、
    アルコールなどで消毒し、はじめてトイレのドアを開け、トイレから出ます。トイレのノブが感染の端緒となります。
  ノロウイルスの場合はアルコールが効果ありません。塩素系の漂白剤、○ルトン、○イターなどを100〜200倍くらいに希釈したものを使います。