ア ト ピ − 性 皮 膚 炎


 ど の よ う な 病 気   
 この病気は『アトピ−性皮膚炎』という湿疹の一種です。これは『アトピ−』という親から受け継いだ体質によっておこる皮膚病でこの『アトピ−』体質はこのほかに喘息、アレルギ−性鼻炎などといったほかの病気も起こします。

 い つ ご ろ 治 る の
 アトピ−性皮膚炎は、乳児期に始まり、大部分の人は中学生になる頃までに、自然に治っていくことが多いですが、重症のままに成人になってしまうこともあります。

 勝 負 は 長 い の で す
 他のかぶれ、湿疹、とびひなどとは違い、短期間の治療ですぐに治り切って終わるものではありません。そこで最も大切なことは、この病気の経過を良く知っておくということ、急に治らなくても、あきらめずに根気よく治療を続けることです。

 病 気 の 経 過
 赤ちゃんのときは頭や顔に赤み、ぶつぶつ、かさぶたなどができ、また体にも広がります。冬に悪くなることが多く、かゆみが強くてよく眠られず機嫌も悪くなります。4才〜10才の頃は、特に肘や膝の曲がった内側、顔、首などの皮膚が固くざらざら、かさかさし、かゆいため引っ掻き傷などが見られます。からだ全体の皮膚も乾いて光沢や柔らかさがなくなり、青白い或は褐色の肌となります。これも一般に冬に悪くなりますが、逆に夏に悪化することもあります。以上のように経過し、年とともに軽くなり、やがて自然に治ってゆきます。 

 治 療 は ど う す る
 したがって治療方針も病気の悪いときには軟膏を塗ったり、またかゆみどめの抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤を飲んだりして切り抜けるというふうにし、自然に軽快する時期にずれ込むのを待ちます。
最近日本にも、アトピー性皮膚炎の治療の決め手であるステロイド軟膏を、最も効果が高く,副反応が少なくなるような塗り方が導入されました。
プロアクティブ療法(Proactive thearapy)といいます。当診療所の医師にお尋ねください。
軟膏の種類や塗り方の指導もさせていただきます。
当診療所では、漢方での皮膚のコントロールにもちからをいれています。ご相談ください。

 日 常 の 注 意 は
 @治療はいわれたとおりにやりましょう。
 A食事については、兄弟に喘息やアトピー性皮膚炎などがある場合は、1才まで卵を食べないようにしましょう。そのほかの食物は何を食べてもかまいませんが偏食のないように注意してください。また香辛料はかゆみを増加させるので控えるようにしましょう。
 B爪はよく切って清潔にしましょう。どうしても引き掻きますので、爪が汚いと化膿(とびひやおできなど)の原因となります。   
 Cお風呂は毎日はいってもかまいませんがそのあと保湿剤の軟膏などを塗って手入れを充分してください。石鹸は普通のものでもかまいませんが、よくすすぎをして石鹸をすっかり落としましょう。ごしごしこすることは絶対に禁止です。
 Dアトピ−性皮膚炎の子供はかゆみや不眠などのためどうしてもイライラしがちです。お母さんの子供に対する思いやりも治療と同じように大切です。
 E大切なことは皮膚をいつも清潔に保つことで、砂遊びをしたようなときはシャワーやお風呂できれいに洗い、そのあとは軟膏類を塗って手入れをしてください。

アレルゲンを除去するための注意事項


 最 低 月 1 回 は 大 掃 除 
 電気の傘の裏や上、タンスの裏側、テレビの裏側、冷蔵庫の裏、電気炬燵の内側、額の裏、との上、戸棚、押し入れ、天井など、普段掃除するとき見落としがちな場所まで念入りに掃除をしましょう。ジュ−タン、カ−ペットは使用禁止です。

 寝 具 に 気 を 配 っ て
 毛布は襟の部分だけでなく完全に包むようにし、布団の中に詰めるものは、木綿、絹、真綿を避け、合成繊維のものを用います。枕もソバガラや羽毛のものはすべて捨て、スポンジか、フォ−ムラバ−のものに変えましょう。ベッドの場合はマットレスはスポンジ性のものに変えて下さい。同じ部屋で誰かと一緒に寝るときは、その人の寝具も同じにしましょう。布団は時々丸洗いしてください。いろいろなメーカーから、ダニを通さないシーツが発売されています。布団や毛布などをくるんでしまうこともいいでしょう。

 ペ ッ ト は だ め で す
 犬、猫、小鳥、モルモット、ハムスタ−などを屋内で飼育させないことが大切です。どうしても何かを飼育したがる小児には、金魚や熱帯魚などを勧めます。

 食 物 を こ ぼ さ な い
 食物、牛乳などを床にこぼさないようにして、こぼしたら綺麗にふき取るように。わずかにこぼれた食物、牛乳を栄養分として、ダニが繁殖します。
近年食物アレルギーの感作は,以前考えられていた母乳や胎盤を通して行われるというよりも、乳児の早期に皮膚から抗原が入って感作されることがより重大だと考えられるようになってきました。

 掃 除 機 で 掃 除
 寝室、寝具を電気掃除機で1日に1回掃除をしてください。この時、掃除機の集塵機はできれば屋外において行ないましょう。室内に置けばホコリやダニやダニの死骸が集塵機の穴を通して周りにばらまかれることになるからです。最近細かいホコリやダニも除去できる掃除機も出回っておりますからそのような掃除機をお勧めします。

 カ ビ も 退 治
 湿気の多い場所でカビが発生するのを予防しましょう。浴室、便所、台所、押し入れの奥、物置、ル−ムク−ラ−などにはカビがはえますから、洗剤でよくふき取り、その後通風を良くして、乾燥させてください。

 食 物 の 注 意
 アレルゲンとして疑わしい食物は除くようにしましょう。幼少児では、鶏卵、牛乳、大豆、豚肉、などが食物アレルゲンとなっていることが少なくありません。アレルゲンとして疑わしい物は食べないようにして下さい。アレルギ−体質の強い子は少なくとも生後8ケ月まで離乳食に卵を加えないようにすることも必要です。当診療所でも食物負荷試験を行うことができます。ご相談ください。

 も ち ろ ん 花 粉 も
 花粉の飛ぶ季節も注意が必要です。
   ス ギ  3〜4月  マ ツ  4〜5月  ホウレン草4〜5月 
   カモガヤ 5〜6月  ヒメガマ   7月  ト−モロコシ 7月
   ブタクサ 8〜9月  ススキ  9〜10月  カナムグラ9〜10月