おかつ婆ちゃんが源治さんと幹朗さんに話を聞きました。

 

石井源治さん(63歳 大阪在住)の話

おかつ

源治

おかつ

源治



おかつ

源治

おかつ


源治



おかつ

源治



おかつ


源治


おかつ

源治

「源治さん元気がないみたいやけど、どうしたの?」

「最近、面白いことがなんにもないのや」

「元気出さんといかんよ。一体何が面白うないの?」

「わしら年寄りの行くところがないのや。街へ出かけても若いもんを相手にした
店ばっかりやし、そんな店へは入りにくいし、仕方がないから図書館へ行ったり公園へ行ったりばっかりや」

「それはいえるなあ。ほんまに年寄りのいけるところ少なくなったなあ」

「そやろ。わしら街に出てくるなと言われてるみたいやねん」

「そんな言い方したらひがみみたいよ。そうそう、源治さんはもう60歳超えたから福祉センターにいけるのと違う?立派なのができてるみたいよ」

「知ってるよ。確かに建物もきれいし、いろいろ催しもあるし、ええのやけど。わしあそこへ行くのいややねん。こんなこと言うのはわしだけやないで。辰吉もいややと言うとるで」

「辰吉さんもそんなこと言うてるの。どうしてやの?」

「センターに行くとな、いじめにあうのや。年寄りいうてもな、わしらセンターではまだまだ若造や。前からおる年寄り連中が、なんやいろいろわしらに命令しよるのや。命令に従わんと、ねちねち嫌味ゆうたりしてわしらを責めよるのや」

「へ〜!子供らが学校でいじめられてると聞いたことあるけど、年寄りの世界でもそんなことあるの。初めて聞いたわ」

「わしがいったとこだけかも知れんけど。腹立つで。そやから常連や古株が巾きかすとこへはいきとうないねん。昔はよかったわ」

「昔のこと言い始めると老けるの早まるよ。でも昔の何が良かったというの?」

「昔一番良かったのは、なんというても、パチンコの連チャン台や。あれは良かった。ほんまに興奮したもんなア。今のパチンコは中途半端な当たりしかないから、負けてもなかなか取り返されへんのや。もう一回連チャン台復活して欲しいわ」

お年寄りの世界にもいじめがあるとは、なんともやりきれない気がします。

もっとおおらかに老後を過ごしていただきたいと願う気持ちで一杯です。

何かご意見ございましたらメールをお待ちいたしております。

ご意見ご感想

 

 

乾 幹朗さん(71歳 大阪在住)の話

幹朗

おかつ

幹朗

 

おかつ

幹朗



おかつ

幹朗

おかつ

幹朗


おかつ

幹朗





 

おかつ

幹朗


おかつ

幹朗

 

 

おかつ

幹朗

おかつ

幹朗

 

おかつ

幹朗

おかつ

幹朗

 

 




おかつ

幹朗

「おかつさん。面白い話聞かせたろか」

「幹朗さん。久しぶりやねえ。面白い話してなに?」

「あのな。つい最近の話しやけどな。社協(社会福祉協議会)の主催で、何たらいう人の講演があったんや。その講師の名前はなんやったかなあ。ちょっと忘れてしもた」

「幹朗さん。講演聞きに行くとは、えらい勉強家やねえ」

「別に、勉強したいから聞きにいったんやないで。家にいても暇やし、何もすることないやろ。社協主催やから講演は無料やし交通費もシルバーパスや。
何にも、金使わんでええから、そやからいったんや」

「なんや、暇やからいったということ?」

「そうやそのとおり」

「それで面白い話はどうなった?」

「それやねん。その講師と言うのがな、たしか40前ぐらいの若い奴や。わしは正直この若造何を話すつもりやと、内心みくだしとったんや」

「いくら、年が若くても、講師に来る位やから、きっとなにか賢いのと違うの?」

「この若造、演壇に上がるとな。いきなり大声で皆にききよった。『皆さん方の中でお金を払ってこの講演聞きにこられた方いますか?』といいよるねん。さっきも言うたようにな、わしら金はいらんし、ひまやからきただけのことや。そんなわしらに、何言い出すつもりやねんとおもたがな。反感感じるがな。
もちろん誰も返事せえへんがな。
会場はピーンと空気張り詰めたがな。
えらいこといい始めよったなと思わずつば呑みこんだがな」

「ふんふん。それからどうなった?」

「誰も返事せんのを見てその若造『いらしゃいませんか?』ともう1回念をおしよったがな」

「ふむふむ」

「そしたらな、その若造がな。突然大きな声で『あなたたちは甘えすぎです』と叫びよったんや。
会場はシーンとなってしもてな。咳払い一つ聞こえへん。
空気が凍ってしもたがな。
わしも一体どうなるねんと息を潜めてしもたがな」

「それから」

「えーっと。あいつ名前なにやったかなあ?」

「じらさんといて、続きはどうなったん?」

「会場は緊張に包まれて、ちょっとの間時間が止まったみたいやった。
ところがな、そのうち誰ともなく立ち上がってな一斉に拍手しはじめたんや。そらもううねりみたいな拍手やったで」

「え!? 皆怒らんかったん?」

「そやがな、割れるような拍手やったで」

「それはどういうことやの?」

「わしもそうやが、きっと皆、内心では年寄りの甘えがあるのと違うのかなあと前からおもとったんや。年寄りに金遣わさんように役所は考えてくれるやろ。
そやからわしらも、それが当然の権利と思うがな。
権利と思うから別に感謝もせん。
そのことに誰も何にも言わん。
それがな、あの講演のときあの若造きっぱり言いよったんや。
最初は驚いて声もでんかったけどな。あの若造の勇気に感心したんや。
帰るとき、皆あの若いの勇気があって立派やったと誉めとったで。
評判はうなぎのぼりやったで」

「それで、その講演の内容はなんやったん?」

「それがな、最初の一発の印象があんまり強かったんで、内容は忘れてしもたんや。
えーっと名前何やったかなあ」

お年寄りの方々に話する場合、一番難しいのは、あまりずけずけ

言うのも角が立つし、といって、言わなければだめなときも有るし、

タイミングを間違えれば大変です。                 

何かご意見がございましたら是非お聞かせください。

 

ご意見ご感想     ホーム