例2の答です

A社の係員は一応購入しようという意思を表明しました。

となると、この瞬間を逃してはなりません。
時間がたつと気が変わるかもしれないからです。

仮に、サンプルを渡して、上司と相談すれば、そこでひっくり返ることも考えられます。

どうしても、今ここで決断させねばならないと判断したわけです。

そのため、商売にかけるロマン部分を強調し、決断する厳しさのハードルを乗り越えさせようとしたのです。

結果はどうなるか、それは勝負ですし、時の運ですが、彼は決断する可能性が高いと感じました。

こういった追い込み方をして、決断させると実際にどういうことになるかもこの販売担当者は知っていました。

1ヵ月後、このA社係員から連絡がありました。

「完売できました!また、仕入れさせていただきます。次になにかめぼしいもの入っていますか?」


結果として、このA社の係員は、貴重な顧客として定着しました。

ところで、なぜ、このように、完売できたのか想像つきますか?

販売権限を越えて仕入れしたものですから、もし、売れ残れば、上司から大変責められます。

は、会社に戻ると各店の特価販売担当者全員に、「こんどこのような商品を送るから、店の一番目立つところにおいて欲しい、これを売り残すと大変なことになってしまうので、是非協力してください」と必死で頼みました。

店の担当者にしてみても、特価品は、いつもは伝票と商品がくるだけなのに、何かただならぬ気迫と気配の連絡が入ってきたものですから、とにかく売らねばならないと店内のいい場所に展示し、販売を強化した結果完売したというわけです。

このように、完売できたことでこの係員は自信をつけました。
そして、商売の醍醐味を知りました。

商品は売ろうとする意思がなければそんなに売れるものではありません。
仕入れ担当と販売最先端の店舗との意思が一致して好結果が出るのです。

販売担当者のちょっと強引な商売テクニックのおかげで彼はビジネスの何たるかを理解することが出来たのです。

販売担当者のしたたかさは、良い結果を生みました。

以上の2つの例は相手にその場で決断させようとする例です。

つまり、したたかさとは、その場で決断させるように追い込むという側面を持っているのです。
後で考える、という余裕を与えないことなのです。

こういった、場面に慣れていないと、ほとんど相手の思う壺にはまってしまいがちです。
通常の生活場面では、こういったしたたかさを発揮しなければならないというケースは極めて少ないので、あまり決断を迫ることを重視しない習慣が身についています。
例の亡命希望者が領事館に侵入したというケースも、その場で決断できなくて、ついつい相手のペースにまきこまれてしまうことになってしまった気がするのです。

 

 

 

では最後の例題です。

セールスには飛び込みセールスといったことがあります。
飛び込みセールスは俗に千三つといわれるように、千軒訪問してもまともに相手してもらえるのは三軒程度といわれるように誠に根性と忍耐の要る仕事の一つです。

普通の感覚では精神的にとても持ちません。

断わられ続けることにとても気持が続かないのです。
そんな、苦しい仕事なのに、すいすいとこなす強者(つわもの)がおられます。

けんもほろろに断られたり、時には人間扱いしてもらえないことも経験します。
誰しも人間としてのプライドを持っていますので、この現状に耐えられなくなってしまうのは当然だと思えます。

ところが、すいすいとこなす人たちの精神構造はいったいどうなっているのかといえば、別段特別のこともなくそんなに変った才能があるわけでもなさそうです。

ただ、これまでの例題で述べてきましたように、したたかさ感覚にとても敏感です。
このしたたかさ感覚を活用して自分をコントロールしておられるようです。

では、いったいどのようにしたたかさ感覚を活用しておられるのでしょうか。
お話を伺いますと随分参考になりました。

ぜひ、あなたもお考え下さい。
このしたたかさ感覚の活用は、きっとあなたの日常生活にも、そして人生にも生かせると思われます。

例によってこの例題は解答ページを準備しておりません。
じっくりお考えいただきたいからです。

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