紅梅の頃、山尾家(新党屋)を訪ねる  

07-3-1


               

道路側の庭には満開の紅梅。
折からの強風に花びらが舞っていた。



 

古梅の下には大きな石を穿った手水鉢。



              

鉢の下は「水琴窟」で、今も澄んだ音が。
遥かな地中で爪弾く琴の音。
ご亭主は「水琴窟の掃除をした記憶もないのに不思議です。」





庭隅の古井戸。
山尾夫人「井戸は今も五つ残ってます。水は湧いてますが井戸さらえをしてませんので使えませんわ。」



              

勅使門(右)と勅使のための玄関。
材は桜で今も一ミリの狂いもないという。





勅使門。
その奥の「架け扉(?)」は、貴人(大名など)のための入口。
道路側からは壁板との区別がつき難いように配慮。
人目を避け、籠ごと屋敷内へ入って金の工面をした?



              

玄関を通って上がった位置の部屋から。





木戸孝充(桂小五郎)が投宿のお礼に書いた揮毫。

御当主「暖かくご接待頂いたお心、忘れません、みたいな内容ですね。」






応接セットが置かれたこの座敷のしたは、そっくり石作りの地下金庫だった。
店側から、節をくり抜いた青竹を筒樋にして
小判をザクザクと地下へ落としていたのだそうな。

『今井新党屋は大金持ちや、金の虫干し玄関までも』(俚謡)

御当主「大判、小判にも、うっすらとアオカビみたいなものが出たらしくて
虫干しで風を当てる必要があったと聞いてます。」



             

季節がら三つの座敷に雛が飾ってあった。
掛け軸は徳大寺実則が書き置いた歌。

「畝傍(御陵)の傍近く、この度お役目上で訪問できて嬉しい限りじゃわい。」(?)





別の雛。



    

「通行止め」の奥座敷。
貴人のために増築されたという三つの座敷。
左手に裃(カミシモ)を展示してある部屋が『山の間』
奥左に『松の間』、奥右側には『鳥の間』が。












             

写真の腕がまずくて申し訳ないが、
二条城の縮小版とされる座敷。
松の間。
右手には鳥の間。



             

「鳥の間」から「松の間」越しに南を見た水琴窟のある紅梅の庭。
この座敷にも雛飾りが。





同じ座敷位置から北を見た中庭。
白梅は既に散ってしまっていた。
本来、ここにも紅梅の古木があったが枯れたために白梅を添え植えしたのだそうだ。
この庭も中央には井戸が。



              

ガラス戸越しに見る「今井町衆博物館」

数多くの蔵のうち南に残る蔵は、
現御当主が私費を以って開設したという私設博物館。





私設博物館への廊下から撮影。
別の蔵との間にある庭。
ご先祖は、梅は豪華な紅梅が好きだったとみえる。
               

日用道具類から食器、豪華な着物まで。
拝領物の茶道具。(中)
何に使うのか用途不明の道具まで。(右)





蔵利用だから私設博物館の「入口」は「出口」でもあるのだが、
ひょいと出てみると、入る時は気にならなかった石灯篭が眼前にあった。



見学料 ¥400

別途、希望すれば、菓子付お抹茶 ¥500