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                           少し前に、創刊され、話題になった少年週刊誌があった。  
                            今はその力も衰え、他の少年週刊誌にその座を奪われはしてしまったが、  
                            全盛期の売上記録を破る雑誌はまだでていないといわれる集英社系少年週間誌。  
                            その集英社を退職した全盛期の頃の編集者や、漫画家が集まって作ったと  
                            いうだけあって、掲載漫画の顔ぶれがすばらしい。  
                              
                            全盛期。私はやはり毎週この雑誌を楽しみにしていた。  
                            もう一度あの頃の漫画を新作で読めると思うと、顔がゆるんでくる。  
                            この雑誌は絶対に私たちをターゲットにしている・・・。  
                            実際に購買層は、20代半ばから、30代にかけてだという。  
                              
                            さて、日本人はなぜこんなに漫画好きなのだろうか。  
                            アメリカ人が電車で漫画を読んでいるサラリーマンを見て驚くらしい。  
                            「いい年をした大人が子供のものを読んでいる。」  
                            だが、どうやら、日本の漫画は海外の漫画に比べるとすばらしく出来が良いという。  
                              
                            そう教えてくれたのは、この本「マンガはなぜ面白いのか」  
                            これは、マンガにおける哲学書だといっても過言ではない。  
                            実際に作者はマンガ学ができてもおかしくないと発言している。  
                            言語学でいう「記号論」をも彷彿させる内容。  
                              
                            記号論とは、ある記号に対し、万人が共通の意識をもたない限り成立しない。  
                            例えば、「りんご」。りんごといえばだれもが頭に創造が出来る。   
                            しかし、「りんご」についての知識をまったくもっていない文化  
                            (りんごが何かわからない文化)に育った人にとっては、まったく会話が  
                          成り立たない。こういった理論である。  
                              
                            それと同じようにマンガにもさまざまな記号があります。  
                            たとえば、「あせり汗」。  
                            よく登場人物があせる時に額に書かれる大きな水滴のような形。  
                            時には、後頭部に現れることもある。本当ならばあんな大きな汗は存在しないだろう。  
                            しかし、私たちはあれによって、登場人物の表面だけでなく、  
                          隠された心の中身まで読み取ることが出来るのです。  
                              
                            そういった記号論のほか、学術的な内容が盛りだくさん。  
                            マンガの面白さの法則に触れてみたい人にはお勧めの本である。 
                              
                            ちなみに、著者の夏目房之介は、かの有名作家夏目漱石の孫である。  |